116. 令嬢、凱旋する ③
本日一回目の投稿です^^
十日が過ぎた。
ロア曰く、ノブレスオブリージュとその仲間達による魔王ザトゥヴィロ討伐の物語、その『アレンジ』は順調に進められていたのである。
その内容は一言で言えば、『何それ、誰の話?』であった。
お忍びで街に出たダニエル王太子は冒険者たちの噂話から恐ろしい魔王が復活した事を知って自分で退治しようと決意をする。
ここまではまあ事実のまんまである。
問題はここからであった。
魔王討伐を決意したダニエル王太子は、懇意にしていた商人のクリスに協力者を集めるように頼み込む。
義侠心にかられたクリスは、王太子同様親しかった侯爵家の令嬢アメリアに助成を請い、頼られたアメリアは家中の実力者、デビット、イーサン、マリアと共に冒険者となって力を蓄える為に逐電する事となった。
彼女たちを陰から支援していたのがシンシア、タギルセ伯爵家令嬢であり、アメリアの親友その人であった。
自らの婚約者であるストラス、ダキア伯爵家の子息が拠点としていたルンザにアメリア達を送り届ける事、その後の生活や訓練もシンシアの影ながらの支援が有ったればこそ、四人は耐える事が出来たのだそうだ。
ストラス自身も、対魔王戦に向けて、又、別個の手を打っていた、らしい。
かねてからその潜在能力の高さを見抜いていた、二人の新進冒険者であるレッドとホワイトに対して協力を願い出て仲間に迎える。
彼ら二人は師匠としてアメリア達四人を厳しく指導し、四人を短期間でシルバー冒険者へと導いた。
クリス・ポンダーは時を同じくして、ルンザ近郊の林の中に、国中の開拓村を巡って集めた数百人の若者の集落を作り出した。
集められたものは皆、クリスの説いた世界の危機を黙って見過ごす事が出来なかった憂国の志を持つ烈士たちであった。
そして王都を出てルンザに現れたダニエル王子を迎えた一同は、魔王ザトゥヴィロ戦に向けて決起したそうである。
付いて行く、その一点張りだったストラスとシンシア、レッドとホワイト、集まった数百人の烈士に向けてダニエル王太子は涙を流しながら言ったそうである。
自分達五人が帰って来なかった時に、一体誰が民を守るのだ、と……
正義の灯を消してはいけない、人々の希望は君達が引き継ぐのだと言って、王太子と側近たちは霧の中へと姿を消して行ったらしい。
隠れて付いて行く勇敢な商人、クリス・ポンダーの追跡に気が付く事無く……
いざとなれば自分を身代わりにしても五人を助けなければならない。
そんなクリスの心配は徒労に終わったそうだ。
強靭な魔人もダニエル王太子と手下達の前には敵では無く、件の魔王ザトゥヴィロですら例外では無かったらしい。
こうして世界は救われたんだそうだ。
更に控えめで謙虚なダニエル王太子はこの偉業を発表する気は無かったんだってよ。
しかし、悪鬼羅刹の様に噂され、時に狂暴とまで陰口を囁かれる事がある、バーミリオン家の人々の身を賭した協力を人々に知らしめる為に、今回の発表に至ったんだと。
特に王立学園でわがままとか暴君とか言われていたアメリア嬢の為に決断したとか抜かしたらしい。
優しいね王子様♪ 良かったね、アメリアさん♪
おしまい。
「もう、私そんな風に言われていたんですの! ショック! アメリアショック! でしてよ!」
迎賓館のテラスでルンザから取り寄せた緑茶を飲みながらエマが非難の声を上げる。
テーブルに着いているのはオリジナル『ノブレスオブリージュ』のメンバーとストラスの六人だけである。
イーサンがカップをソーサーに戻しながら同意の声を発する。
「言われていた訳ありませんよ、イーサンショックでございます! ダニエル殿下、何とかなりませんか?」
デニーがイーサンに答えた。
「デニーで良いってば、ロアには僕から言って直させるからさ、エマ、そんなに悲しまないで、大丈夫だから、ね?」
横合いからストラスが申し訳なさそうな声で言う。
「なんかすまんな、シンシアが調子に乗っちまってさ、俺からも言って置くよ」
マリアは庭の自然石を握り砕きながら小さく独り言を漏らす。
「あのヒキガエル…… 潰してくれようか……」
「おいおい、我慢しろよマリア! かえってお嬢様に迷惑が掛かるだろう、な? な?」
「すまん! ちゃんと叱っておくから潰さないでやってくれ! この通りだ、マリア」
「ぶー」
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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