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110. 令嬢、魔王討伐 ⑦

本日四回目の投稿です^^

 ホッと一息ついたエマの耳に、デニーの直前に並んでいた(はず)のデビットの声が狼狽え(うろたえ)たように響いたのであった。


「え、エマ様、デニーが居りません! てっきり後ろを付いて来ているとばかり思っていたのですが…… はぐれてしまった様ですっ! 助けに向かわなければ…… 如何(いかが)致しますか? エマ様!」


「まあっ! んまあ、まあっ! ですのよ! ルンザに戻る迄が魔王討伐だと、あれ程口が酸っぱくなるほど言っていたと言うのに…… んもうっ! デニーったら困った()なのですわ!」


 イーサンが言った。


「どうしましょうか、お嬢様? 全員で戻りましょうか? それが良いですよね? ね、ね?」


 珍しく焦った声を上げるイーサンに対してアメリアは落ち着いた感じで、本心では焦り捲りながら答えるのであった。


「いいえ、全員で入れば捜索に費やす時間も増えるばかりでは無く、二次災害の危険も危惧(きぐ)されるのではなくって! 皆はここに残って、馬たちを安心させて下されば良くってよ! 私一人であれば、精霊カーリーの力を借りて一早くデニーの元に辿り着けるのでは無いかしら? ここは私にお任せあれ! なのでしてよ!」


「「「……はいっ!」」」


 エマはほんの僅か(わずか)な時間だけ目を瞑った(つぶった)だけで、霧の中に一人で踏み出して行ったのであった。

 恐らく精霊カーリーにデニーの居場所を聞いているのだろう、それだけは心配そうな顔で成り行きを見つめる三人にも分かったのであった。


 深い霧の中を迷いの表情を浮かべずズンズンと進むエマの脳内でカーリーの囁きが響く。


――――エマ! 居ましたわよ! デニーは直進して三歩の場所でしてよ!


 エマは心中で答える。


――――ありがとうございまして、ですわ! いつも助けられてばかりで、感謝してもし切れ無いのでしてよ!


――――とんでもないわよ! 私すっかり貴女が気に入ってしまいましたの! さあ、歩を進めて! 貴女の運命の相手に向けて、その足を踏み出すのですわ!


――――えっ? 運命の相手、ですの? で、デニーが私の運命の相手なのですか? それは…… 一体、どういう?


 それっきりカーリーの囁きが(もたら)されることは無く、フラフラと前に進んだエマは、逞しい胸と腕に包み抱かれたのであった。


「えっ! で、デニー? 貴方なのですか?」


 抱きしめた存在は答えた、それは、大好きなデニーと同じ声であった。


「ああ、エマ、僕だよ、君のデニーだよ……」


「で、デニー?」


エマを抱きしめたままで、デニーは彼女に告げたのであった。


「ねえ、エマ…… 君がステハム、ストラスだったかな、彼を愛している事は僕だって分かっている、分からざる得ない感じだったけどね…… でも、でも僕だって、君を思う気持ちなら誰にだって負けないと思い続けているんだよ? ねえ? 駄目かいエマ? 僕では君を愛する事さえ許されないのかい? 僕は君が、いいや君だけを大好きなんだ! そう、大好きなんだよ?」


 強い力で抱きしめられたエマにはそれ以上何も話す事は出来なかった。

 デニーは一頻り(ひとしきり)エマを抱きしめた後、力を緩めながら話し掛けたのである。


「いいかい? エマ! もしも君が嫌でなかったのならば、僕は…… 君を妻にしたいと思っている、いいや、渇望してしまっているんだ! 君と一緒に人生の終わりの時まで、共に過ごして行きたいんだよ! ノブレスオブリージュ…… 自分の責任は分かっているつもりだけど…… もう、そんな事はどうでも良いんだっ! 君と離れ離れになるなんて僕には考えられない…… 家には帰るよ…… そして、許嫁(いいなずけ)の侯爵家の娘との婚約は解消して戻って来るよ! きっと父も近しい人達も許しはしないだろうけど、それですべてを失ってしまっても後悔はしない! そう決めたんだ! ねえ、気が付いていたかい? 初めて会ったあの日から、僕が君に恋をしてしまっていた、その事に、……エマ、僕のお嫁さんになってくれないかい? 何も持たない只のデニー、僕、冒険者デニーと結婚してくれないかっ!」


「え、ええっ!? そんな突然に? で、でも…… はいっ! 私は貴方の妻です! デニー!」


 エマの狼狽えながらも力強い声に答えてデニーが言った。


「デニーは貴女の(つま)だ! 僕の最愛のエマよ、この後は僕の全てを尽くして君と子等の為に生きる事を誓おう! 受けてくれるかい? 可愛くて大好きなエマ?」


 エマはここまでで一番の大声で答えるのであった。


「お受けしますわ! 私のデニー! エマは貴方を愛し続けるのですわ!」


 ガッシっと抱擁を交わす二人だけの霧に包まれた世界であった。


 ほんの二メートルしか離れていない場所では、イーサンとデビット、マリアが二人が交わした恋、いいや愛の言葉を聞きながら、バレてはいけないと必死に声を抑える出歯亀の努力する姿があったのである。


 ドッドドドドドド、ドカドカドカカァッ!


「おお、デビットぉ! マリアぁも無事であったかぁ!」


 霧の外に鳴り響いた声は、巨人の如きパトリック、バーミリオン侯爵家の現当主、『バーミリオンの悪魔』その当人の物であった。


「か、閣下!?」


「ご主人様っ!」


 デビットとマリアが悲鳴のように口にした声に重ねるように凛とした声が発せられた。


「イーサン! そなたも息災であったかぁ!」


 トマス・スカウトの物であった。

 イーサンも目を白黒させながら返した。


「あ、兄上? な、何故ここに!」

お読みいただきありがとうございます。

感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)

まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、

皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。

これからもよろしくお願い致します。

拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

ブクマ、評価を頂けましたら狂喜乱舞で作者が喜びます^^

感想、レビューもお待ちしております。


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