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036 疑惑と暴露

「ユウシャサマ……ですか?」

「よく分かったな……って、あ」


 気づいた時にはもう遅かった。ナツキの方を見ると、驚愕の表情を浮かべていた。


「どうしてそれを……知ってたんですか!?」

「……数日前に見たんだ」

「数日前?……ああ、あの時か……でも、顔なんて覚えてないでしょう」


「ん?何の話?」


 ミーナが一人取り残されているが、説明は後だ。


「……なんとなく、かな」

「いや、確信を持っているような言い方でしたよね。昼の発言といい……ちょっと話があります」

「ああ、それなら……宿を取ってからにしないか?時間が遅くなる」

「……分かりました、絶対ですよ」

「……はいはい」


 昼の発言……俺なにか言ったか。そんな絶対にしたい話ってなんだろうか。



「なんでユウシャサマと一緒にいるんですか?」


 コソッとセレノが聞いてくる。


「ああ……暇だから依頼でも受けようと冒険者ギルドに行ったら、向こうからパーティに入れてくれって言ってきたんだ。セレノがその場にいなかったからまだパーティに加わってないけど」

「……なるほど。でも、なんでこんなところにいるんでしょうか。お城にいたんじゃ?」

「そこなんだよな……」


 それは俺も知りたい。その辺の話を聞けるといいんだけどな。


「……早めにお願いします」

「ん?分かった」


 セレノはそう言って、話を終わらせた。ナツキが早く話をしたいのか焦っていたので、時間をかけない為に仕方なく昨日泊まった宿に行く。昨日は俺とセレノで一つ、ミーナが一つで計二つの部屋を取っていたが、男二人女二人になったので流石に性別で分けることにした。セレノは悲しそうな顔をしたが……四人部屋は空いてないんだ、許してくれ。



 

 部屋に入ってすぐ、ナツキはフードを取り、こちらに振り返った。短めの黒髪、平面的な日本人顔がよく見える。


「もういいですかね。あなたは」

「焦りすぎだ、話は座ってしよう」

「……」


 先にベッドに腰掛け、ナツキにも座るように促す。渋々ながら、向かいに座ってくれた。


「どうぞ」

「……あなたは、僕のことをどれだけ知ってるんですか?」


 どれだけ知っている、と来たか。現時点で俺が言えることといえば……


「ナツキが勇者っていうことぐらいだよ」

「本当にそうですか?じゃあ昼のあの言葉はなんですか?」

「なんのことだ?」


「剣道か、って言ってましたよね」


 ……聞かれてたのか。あの時こっちを見ていたのは、なんとなくではなかったのか。……一応誤魔化すか。


「……言ってないよ」

「そうですか……でも、剣道が何かは知ってるんですね」

「……」


 しまった、またやってしまった。ここは言ってないよ、と言うより、ケンドー?ナニソレ?って言う方が自然だった。……俺は誤魔化すのは下手糞らしい。


「後は、僕が生き物を切るのは気分が良くない、って言った時も、僕に同調したかと思えば、ミーナさんが不審に思いだしたら急に話を終わらせるし。何か知られたくないことでも?」

「あぁ……」


 情けない声が出る。全部バレていた。この人、よく見てるな。……いや、それだけ俺が変だったのかもしれない。もう誤魔化せているという自信はない。


「もう一度聞きます、あなたは、僕のことをどれだけ知ってるんですか?」


 正直もう言い逃れが出来ない。嘘をついたところで、また同じように見透かされるだけだ。



 いや……言い逃れる必要、あるのか?

 同じような境遇の者として、情報交換がてらお互いのことを知るのは悪くないことだと思う。というか、その方が仲良くなれそうな気がする。


 今思い出したが、俺には前世目立ちたくなくて事を大きくしないようにする癖があった。それがまだ働いていたらしいが、意味のないものだと今更ながら気づく。

 開き直ったように俺は口を開いた。


「……そうだな、俺と君が日本人だって言うことは分かってる」


 それを聞いたナツキは、一拍置いて驚く。


「……日本人……え、あなたもですか?」

「中身だけだけどな……って、気づいていたんじゃなかったのか」

「……それは想定外です……てっきり、城の人間かと」

「ああ、そういう……そうだ、ナツキはどうやってこの世界に来たんだ?」

「どうやってって……気づいたら、あの城にいました」


 それから、ナツキは自分の身に起こったことを話し始めた。


 

 その日、夜家で寝ていたところ、やけに焦げ臭い匂いがして目を覚ました。不審に思って二階の自分の部屋から下に降りていくと、そこは既に火の海だった。

 ……火事。焦って外に出ようと玄関を無理矢理通ろうとしたら……まさかのドアが開かなかった。必死に開けようとしたが、炎が迫ってきて、咄嗟に腕で顔を隠した次の瞬間には……


「この世界に居ました。国王とか、その他法衣を来た人達が僕を囲んで見下ろしていました」

「……召喚、か」

「なんで知ってるんですか!?」

「……前世の知識だよ。こういうゲームとか物語とかを知ってるからな」

「はぁ……そういうものなんですか。僕はそういうの知らないので分からないです」


 実際は神様からの情報によるものだが、前世の知識でも間違ってはいないので、嘘っぽさが出なかったようだ。

 ナツキは特に神様に会ったわけでも無いみたいなので、神様の存在については言わなくてもいいだろう。

 ただそれなら、神聖王国と神様がどう関連してるのかが気になるところだな……


「レーブさんは」

「ああもう呼び捨てでいいよ。後敬語も相手を選んだ方がいい」

「……分かった。……レーブはどうやってこの世界に?」

「俺はな……」


 そんな流れで、俺達はそれぞれの境遇について語り合った。

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