暴食のスライム
俺はグリフォンのドピィと一緒に雨雲を操って汚水処理場の内側に土砂降りの雨を降らせた、そうする事で汚れを吸い込んだ真っ黒い軽石が、汚水処理場の内側にある幾つもの川に流れて、やがて海に排出されるのだが、今は白いスライムの大地が真っ黒い軽石が海の外側に流出するのを抑えている状態で、海岸と白いスライムの大地の間に真っ黒い軽石があふれている状態だった、俺はレオン君に連絡してお願いをする。
「レオン君!、聞こえるかい!、俺だ!、マルスだ!」
「はい、聞こえています、マルスさん、どうしたんですか?」
「悪いがエリーに馬車ターミナルで待機していてくれと伝えてくれ!、その際ヴァイスも連れている事が重要なんだ、どうやら白いスライムの大地に命令をしなければいけない状態になったので、ヴァイスの力を貸して欲しいんだ、頼むよ、レオン君!、俺は今直ぐ五番街の馬車ターミナルに行くから、エリーを待機させていてくれ!」
「はい、分かりました」
俺は直ぐに五番街の馬車ターミナルに降り立つ、するとエリーがヴァイスを抱えて待っていた、俺はエリーにヴァイスだけを連れていく事は可能かを聞いてみたが、エリーが答えに迷っている様なので、俺はエリーを抱き上げてグリフォンのドピィに乗りベースキャンプの近くまでエリーとそのエリーに抱かれているヴァイスを運ぶ事にした、ベースキャンプの近くまでエリー運ぶ途中でエリーが俺に話しかけてくる。
「あのぅ、マルス様、お願いがあるんですけどいいですか?」
「えっ、エリーが?、エリーが俺に頼み事なんて珍しいな!、何だい、言ってみて!」
「別に珍しい訳じゃないんです、いつもは兄さんがマルス様と一緒に居ますから、話せる機会があまり無かっただけです、それでお願いなんですけど、魔術師ギルドの支部がブリタニアのベースキャンプの近くに出来ますよね?」
「おっ、情報が早いな!、どうやらエレオローラさん達の迷宮の人達が造るみたいだねぇ~、魔術師ギルドの支部を造る目的は迷宮への転移門を隠すのが目的らしいぞ!」
「そうなんですか!、それは知りませんでした!、実は錬金術師ギルドの人達がマルス様の所に魔術師ギルドの支部が出来る事を知って、大騒ぎになりまして………」
「大騒ぎ?、何か問題でもあるのかい、魔術師ギルドの支部が出来る事が?」
「それが問題大有りなんですよぉ~!、魔術師ギルドと錬金術師ギルドは仲がいいですけど、ライバル関係でもあるので、錬金術師ギルドも支部を造ろうと大騒ぎになりまして、私が一応その人達を抑えている段階でした、今まではマルス様と話し合う機会が無いからと言って抑えてきたんですが……」
「あぁ……、五番街から物凄く目立つ形でエリーを連れ出したからなぁ、もう言い逃れ出来なくなったという事か……、そういう事なら錬金術師ギルドの支部も造ればいいんじゃないか?」
「いいんですか?、マルス様が錬金術師ギルドの支部を造ってもいいって言っていると伝えますけど?」
「あぁ、いいよ!、それよりも今はヴァイスにお願いしたい事を優先してくれ、黒い軽石が溢れそうなんだ!」
そしてベースキャンプの近くの降り立つと、エリー達をグリフォンのドピィから降ろして、ヴァイスにお願いする。
「よぉ~し、ヴァイス!、ヴァイスにお願いしたい!、白いスライムの大地に命令して真っ黒い軽石を喰ってくれ!」
「はぁ~い、分かりました」
俺がそう言うとヴァイスは白いスライムの大地と精神を一体化しているのか無口になった、そして白いスライムの大地から大量の触手の腕が飛び出して真っ黒い軽石をペチャクチャと食べだした、あっという間に真っ黒い軽石が減っていく、コレで真っ黒い軽石が海に流出するという心配事が無くなり、俺がホッとしているとヴァイスが俺に尋ねてきた。
「ご主人様、この食べ物がもっと欲しいんですが、作ってイイですか?」
「えっ、この真っ黒い軽石はこの液体を地面に撒かないと出来ないぞ!」
「この液体を地面に撒くんですか……、ちょっと調べさせて貰っていいですか?」
ヴァイスは液体を調べた後、白いスライムの大地から大きな触手の腕を出して、汚水処理場の見るからに汚染されているであろう部分に大きな触手の腕から霧状の液体を吐き出した、霧が晴れると真っ黒い軽石が転がっていた。
「出来ました!、コレを撒けばいいんですね?」
「作ったのか?、体の中で真っ黒い軽石を作る液体を……、お、おぅ、撒いていいぞ!、ヴァイス!、だけどこの汚水処理場の内側だけにしてくれ!」
「ハイ!、それとご主人様、あの岩はどうやら金属の塊みたいです、あの岩も食べていいですか?」
「えっ、あの岩も食べたくなったのか?、アレは金属を取り出すため使う予定だったんだが……、ヴァイスがそんなに食べたいなら食べていいぞ!」
「わぁぁぁ~い、ありがとうございます。ご主人様!、金属は私に言ってくれれば何時でも取り出す事が出来ますから、心配しないでください!」
ヴァイスはそう言って白いスライムの大地から大量の触手の腕を出して汚水処理場の内側に真っ黒い軽石を作る液体を霧状にして撒いていく、それと同時に大きな金属の山に白いスライムの大地から大量の触手を伸ばして、白いスライムの大地に引き寄せていく、俺はアビーさんとアーロンさんに連絡してブリタニアの人々をベースキャンプの近くに集めてくれるようにと指示を出した、アビーさんもアーロンさんもこの場には居ないが、ブリタニアの人達の管理を任せているのでそれぞれの連絡のやり方で、此処にブリタニアの人達を集めてくれるだろう。
そして俺達はエレオローラさん達の元に向かう、昨日の夜に少し話したが、馬車に関しては六十台を注文したが六十台全て用意出来ているらしい、更に馬や乳牛、そしてニワトリなども用意してしまったらしく、俺はエレオローラさん達に案内されて、その様子を見に迷宮に行ってみる事にする、ひとまずエリーにグリフォンのドピィの世話をお願いする。
「ドピィ、直ぐ帰って来るから、此処でエリーと待っていてくれ、ヴァイスのおかげでドピィの仕事が無くなったので、また淋しがったりすると、もっと厳しい仕事を見つけてくるぞ!、俺と一緒じゃないと淋しいのなら仕事をしていた方がいいだろぉ~、グフフ~」
「パパ様ぁ~!、もう、淋しがったりしないよぉ~、厳しい仕事は嫌だよぉ~」
「それじゃあ、行って来るから淋しがらずにおとなしくしてるんだぞ!」
俺はドピィに少しの別れの挨拶をして、エレオローラさん達と共に宿屋にある転移門からエレオローラの迷宮に行くと、其処には大量の馬車や馬や乳牛、ニワトリなどが居たが、馬車の檻にぎゅうぎゅうに詰められて可哀想だった、俺はエレオローラの迷宮からベースキャンプの近くに帰って来るとカゲマル達などの主要メンバーにベースキャンプに帰って来るよう指示を出した、俺の新しく考えた事を話すためだ!、そしてカゲマル達などの主要メンバーがベースキャンプに戻ってきた、俺はみんなにこれからする事を話す。
「ヨシッ、みんな集まったな!、それじゃ新しい計画を話す、プライベートビーチ側にちいさな牧場を造ろうと思う、俺はパインガスさんと話さなければならない為、ちいさな牧場の建設はカゲマルに任せる、ジェシーに相談して牧場に必要な物を買ってあげなさい、あとエレオローラさんと話してブリタニアの人達に馬車を一台プレゼントしてくれ、それじゃ頼んだぞ!、分からないなら無理しなくていいからね!」
実は馬車を用意する話をした時に、馬用の牧草地を用意する為、プライベートビーチ側に簡単な牧場を造る計画はしていた、ただ馬が休める所と言う事で簡素な施設にするつもりだったが、乳牛やニワトリも居るとなるとやはり本格的な小さな牧場を造らなければならない、俺は牧場の管理はブリタニアの人達にお願いしようと思っている、この牧場を村人達の共通の財産にする事で、ブリタニアの人達で牧場を管理してくれるようになるだろう、そして俺は転移門から五番街のラーメン屋の裏に着くと、其処にはアレクサンドル達が待っていた。
「マルス!、パインガスさんに話したい事があるらしいな、残念だがパインガスさんは忙しくてな、俺が話を聞いておくから言ってみてくれ!、それから今日は休憩所を造る仕事は無いのか?、休憩所を造る職人たちがラーメン屋の前に待機して居るが仕事が無いんだったら帰らせるが……、どうなんだ、仕事はあるのか?」
「あぁ、とても重要な仕事をして貰おうと思ってたんだ!、俺がパインガスさんに話したい事はその仕事の事だったんだが、アレクサンドルが代わりにやってくれるならお願いしたい!」
「どんな仕事なんだ?」
「土地を買ってくれ、トンネルから五番街の馬車道に繋がる道の土地を買って欲しいんだ!」
「土地?、良く分からないが、それは何処にあるんだ?」
「これからブラッドさんと一緒に基地に帰ろうと思っているんだ、トンネルから五番街の馬車道に繋がる道の土地はその途中にあるからブラッドさんの行商の馬車に付いて来てくれればいいと思う」
「分かった、直ぐ出発するのか?」
「少し待っていてくれないか、せっかく五番街に帰ってきたんだ、ブラッドさんも足りない物を補充したいだろうし、準備出来たら呼びに来るから!」
「分かった」
俺はブラッドさんの行商の馬車に乗せてもらいトンネルの環状線から基地に帰るという俺の考えをブラッドさんに話した、ブラッドさんは了承したが「少し待って下さい」とお願いしてきたので、俺は商品の補充だと思って「あぁ商品の補充ですか?、それなら手伝いますよ!」と言ったらブラッドさんは「いえ、商品の補充なら既に終わっています、後はレイラを呼ぶだけです」と言うので詳しく訊くと商品の補充は子供達が手伝ってくれたらしく直ぐ終わったらしい、そしてレイラは街で自分達用の生活用品を買いに行っているらしいので、ブラッドさんが持っている天使のカードで呼び出す。
そしてレイラが帰って来て、アレクサンドルに用意が出来た事を報告して、トンネルから五番街の馬車道に繋がる道の土地までアレクサンドル達を案内した、其処でアレクサンドル達と別れて、トンネルの環状線から基地に帰る途中でレイラが俺とブラッドさんの間に座って俺にお願いをしてきた。
「ねぇ、マルスさん、私!、空飛ぶ馬車を操縦したいんです、教えてもらえませんか?」
「あぁ、ブラッドさんとそんな話をしてたねぇ~、分かった!、基地に帰ったら教えてあげよう」
「わぁ~い、ありがとうございます」
はぁ~、やっぱり空飛ぶ馬車を操縦出来たら便利だもんな~、と俺が考えてるとレイラが突然不思議な事を言うので見てみる。
「きゃ~、カワイイ仔牛がいっぱい、あ~子供達が背に乗ってる、なにあれ~」
ちょうどその場所はプライベートビーチ側に繋がる場所なのだが、プライベートビーチ側に向かって大勢の仔牛が歩いていく、その仔牛の背中には子供達が一人ずつ乗っていた。




