ブリタニアの妖怪
俺は新しくラーメン屋ギルドのギルドメンバーになるフェルシオーネさんをアレクサンドルに紹介して、本格的なラーメン屋ギルドの運営について相談しようと、ラーメン屋の前まで来たのだが、エリーが自家製のラーメンを作ったと言うのでラーメン屋ギルドのギルドメンバーだけで試食会を行った。結果は合格点で客に食べて貰っても恥ずかしくないラーメンが完成した。
「ところで、アレクサンドルは一階に居るのかい?」
「いえ、直ぐそこに居ますよ」
俺はエリーにアレクサンドルが何処に居るのか?と聞いてみたら、意外な所に居た、直ぐ近くで俺達の行動を見ていたのだ、何故黙って見ていたのか?と聞くと、実はエリーにラーメンを作らせていたのはアレクサンドルだった、昨日からアレクサンドルはエリーにラーメンを作る許可を与えて、無理やりラーメンを作らせていた様だ。
何故、そんな事をしたのか聞いてみると、レオン君とエリーとの確執が問題だったようで、レオン君としては、エリーが俺達と一緒に行動する事に難色を示していたらしく、それならラーメンを作れる様になって、俺に直接ラーメン屋ギルドに入りたいと申し出るしかないだろうと、アレクサンドルがエリーにアドバイスした様だ、結果は俺が認めた為レオン君も納得した、俺はレオン君に話す。
「へぇ~、意外だなぁ~、レオン君ならそんな事気にしないと思ってたから~」
「僕みたいな役に立たない奴がもう一人増えたら大変なので、やめさせようとしたんです、でもさっきのフェルシオーネさんを思い出すと、のけ者にしてしまったんじゃないかと今は後悔してますよ」
「そうそう、のけ者はいけないぞ、俺は昔、目立たない奴だったから気持ちは良く分かるぞ!、カゲマルがカワイイ少年の姿になってからだなぁ、のけ者にされなくなったのは・・・、あれ?、俺は結局目立たないままだなぁ」
「い、いや、マルスさんには、今は僕がついてますから!」
「嬉しい事を言ってくれるねぇ、ありがとうレオン君、じゃ俺かカゲマル、どっちか選ばなきゃいけなくなったら、俺を選んでくれるんだね?」
「・・・は、はい、もちろんマルスさんです!」
いや、無理してるだろレオン君!、明らかに迷っている変な間があったぞ!、絶対にカゲマルが同じ事を聞いてきたら、カゲマルって答えてるな・・・、まぁ良い、俺にはカッパが居る!、レオン君にはカゲマルを護って貰おう。
「レオン君、俺にはカッパという親友が居るから無理しなくていい、いつまでもカゲマルの友達でいてくれ」
「はい」
俺はその後、アレクサンドルにフェルシオーネさんを紹介した、そしてラーメン屋ギルドに入りたいという、フェルシオーネさんに詳しく事情を聴くため、一階のアレクサンドルの事務所にフェルシオーネさんを連れていくので、俺も付いていった、そこでフェルシオーネさんに事情を詳しく聞いた後、アレクサンドルが俺に尋ねる。
「五十人以上の患者を治療すると聞いたが、どういう事だ?」
「汚水処理場の泥人間の人達は知っているか?」
「あぁ、汚水処理場に居るゴーレムの事だろう?」
「いや、あの人達は、ゴーレムじゃない、人だ!」
「えぇぇっ、あのゴーレムが人なのか・・・、本当なのか?」
「本当だ、アレクサンドルも見ただろう、俺が今日連れてきたアビーさんを、あの人は泥人間だったが治療した結果、あの姿になった」
「あの綺麗な人が・・・」
アレクサンドルは、しばらく言葉を失っていたが、何かに気づいたように俺に尋ねる。
「それじゃあ、治療する五十人以上の患者ってのは、泥人間の人達なのか?」
「そういう事だ、だから俺がラーメン屋ギルドのギルドマスターになって、みんなに冒険者ギルドカードを作ってあげようと思ってる、もちろん金貨が一枚プレゼントされるので、それが目的の一つでもある」
「色々と用意してあげなければならないって事か・・・、あの人達は人として雇って大丈夫なのか?、いや、あまり言いたくは無いんだが、知能が低すぎて使い物にならないんじゃないかと思ってな?」
「あの人達は人というよりは、妖精に近い妖怪で、知能指数は並みの人よりも高いはずだ、魔法も使えるし、空も飛べるから心配しなくていい」
「空も飛べる!?、魔法道具を使って飛ぶのか?、凄いな、それは・・・」
「いや、普通に空を飛べるぞ!、魔法は使ってるかも知れないが、魔法道具は使ってないぞ!」
「そんな!、嘘だろう・・・、今見れるか?」
「ああ、アビーさんに頼んでみよう!」
俺達は直ぐに二階に行って、アビーさんにお願いしようとしたが、その必要はなくなった、既にアビーさんが空中に浮いていたからだ、周りにはラーメン屋ギルドの子供達が居て、おそらく子供たちにせがまれて飛んでいる様だ、アレクサンドルがその光景を見て、俺に話す。
「あの魔法の羽は、かあ・・、いや聖者様が飛ぶときに背中に出る羽に似ている!」
「マァジか、だったらヤバいぞ!、聖者様みたいな姿が出来るのが一気に五十人以上増える、というか一ヶ所に集まることになるな」
「マルス、患者の支援は家が責任を持ってやらせてもらう、何か必要な物があれば俺に言ってくれ、直ぐ届けさせる」
「えぇっ、良いのか・・・、結構お金が掛かると思うぞ、あの人達、人の様に生きる物資は何も持っていないからなぁ」
そして俺はラーメン屋ギルドの面々を一ヶ所の集めて明日の予定を話す、明日は大勢の患者の治療をするため、泊りがけの仕事になる事を伝えた、アビーさんの治療をした結果、少し時間が掛かる事が解っているからだ、だから泊りがけの仕事が無理な人は来ないで欲しいとお願いした、泊りがけの仕事が出来る人は俺達が迎えに来るので、朝八時にラーメン屋の前に集合していて欲しいとお願いして解散した。
「ところでジェシーは今日もレオン君の家に行くのか?」
「は~い、今日もお手伝いをしてきますよぅ、勉強にもなりますしぃ」
「勉強か・・・、色々家事手伝いをしてるんだな!」
「は~い、ご主人様、ちょっと手のひらを出してください」
「ん、何だい?」
「は~い、コレを呑んでください」
そう言ってジェシーは俺の掌に、ジェシーの小さな手から液体を出した、コレってジェシーの体液じゃ・・・、まぁ、いいや、俺はその液体を飲む。
「ん、コレは回復薬だな、それに俺にも判るという事は相当純度が高いはずだ」
「は~い、エリーに教えてもらって、自分の中で調合したんですぅ、今までは毒気を抜くような事しか出来ませんでしたが、これからはもっとお役に立ちますよぅ」
「そういや、エリーは錬金術師だったな、それじゃ、レオン君!、ジェシーを頼んだよ、明日は大変だから直ぐ休んでね」
「はい、お疲れ様でした」
レオン君たちと別れ、モクレン達も基地に帰って休むように言ったが、俺がこれからどうするのかを聞いた後、一緒に付いて来る事になった、モクレンはカゲマルの事が気になって、この世界に来たはずだが、どうやら俺の事も気にしてるようで、俺は改めてモクレンの事をカワイイと思った、そして結局みんなで梯術師ギルドの本部に行く。
「フェルシオーネさん、使って無い梯子は全部貰いますよ、後で新しいのを買ってくださいね」
「えぇ、いいですけど・・・、この梯子は殆ど使い物になりませんけど何に使うんですか?」
「泥人間の人達を運ぶのに使おうと思っています、後は効率よく魔法を循環させるためですね」
そして梯子を体に取り込んでいる時に梯術師ギルドの本部ついてフェルシオーネさんと話し合い、ラーメン屋ギルドの本部としても使うことになった、これからラーメン屋台セットをもう一つ注文して、それを此処に置いてラーメン屋ギルドの研修場にする事に合意した、そして基地に戻ろうとしたが、アビーさんが街を色々見てみたいと言っていたのを思い出し、直ぐ近くに繁華街があるので寄っていく事にした。
「どうですかアビーさん、此処はそんなに治安もよくなくて、怪しいというか、如何わしいというか、ぶっちゃけエロい店も沢山ある場所なんで、違う所へ連れていきたかったんですけど時間がないので、今日は此処で勘弁してください、時間がある時、もっと綺麗な所に連れて来てあげますよ」
「いえ、私は人の多い所には今まで来れませんでしたし、それに観てください、この服凄くセクシーじゃないですか、私、こんな服、着てみたいです」
「えぇっ、コレはダメでしょう、色々危険すぎますよ!」
俺はアビーさんが着てみたいと言った服に全力で反対した、その服は水着の様な感じだが布地は局部を隠せる程しか無くて、下のパンツに至っては物凄い切れ込みのTバックだったからだ、しかし、そのアビーさんの言葉を聞いて、フェルシオーネさんがその危険な服を三着買っていた。
「フェルシオーネさん、それはダメですって!」
「なんですか!、マルスさん、これは私が私のお金で私が着る為に買うんです、何か文句があるんですか、文句を言う権利もありませんよね」(ギギギ
「はい、ありません」
そして梯術師ギルドの本部から基地に帰ると、水に濡れてもいいような服で、銭湯の浴槽に来てくださいとお願いして、俺は銭湯に来て、体の中から梯子を取り出した、その梯子を組み合わせ折り曲げていく、コレもマルスの加護の力であり、金属などは粘土の様に扱える便利な力だ、そうしているとフェルシオーネさんがアビーさんを連れてやって来たのだが・・・。
「どうですか、マルスさん、似合ってますか、よく見てください」(ハァハァ
「げぇっ、エロい服を着てきたんですかぁ~、アビーさんまでぇ~」
「そうです、フェルシオーネさんには、これで魔力が上がるからと教えてもらいましたし、良いですよね?」
「今は良いですけど、患者を治療するときは、普通のエロくない格好にしてくださいね、男性は興奮してしまうし、子供には教育に良くないですから」
全くフェルシオーネさんには困った物だと思いながら作業を頼もうとした時、ナラコの声で「モクちゃん、凄い食い込みだよ~」という声が聞こえて、まさかモクレンが・・・と思い振り返る。
「ど~ぉ、凄いでしょ、マーちゃん!」
そこにはTバックのお尻を魅せつけるかのようにお尻を突き出して俺を呼ぶナラコの姿があった、俺は盛大にズッコケた。




