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馬車に揺られて

俺はレオン君に、この世界の迷宮にについて、もっと(くわ)しく聞いてみた。この世界の迷宮は人の悪意の塊や人の夢の中の様な、異次元の空間だということだ。そして冒険者と(おとし)れる、罠やモンスターの襲来が沢山あって、とても危険な地域ではあるのだが、其処(そこ)には、金銀や財宝がある可能性が高い為、挑戦する冒険者が数多くいる。

そして、迷宮主と呼ばれる人が存在する迷宮が(まれ)にあるらしく、その中には、街や村があったりするらしい。実は冒険者ギルド、バリスカ西支部で見た、エルフや獣人などは迷宮にある街から、来ている人も居るらしく、レオン君が言うには、おそらく迷宮主が、元エルフの聖者だったり、元獣人の聖者だったのだろうと思っています、との事だ。

このバリスカの街から北西に西ゴンドワナ山脈があり、迷宮が沢山あるらしく、だから冒険者ギルド、バリスカ西支部は冒険者で(あふ)れていたんだなぁ、と今になって理解した。そんな考え事をしていたら、ナラコがアレクサンドルを連れて帰ってきた。


「馬車にのるよ~、馬車、早く、早くぅ~」

「はぁ、マルス、俺の準備もやっと終わった、わりぃ、時間、結構くっちまって」

「いや、大丈夫だ、ヨシッ、行くか」


そして俺達は馬車に乗る、八人乗りのちょっと大きめの馬車だ。冒険者ギルドに行くということで、気になる事を、アレクサンドルに聞いてみた。


「なぁ、アレクサンドル、この街に闇魔術に詳しい人は大体どこにいるんだ」

「闇魔術?、そりゃ、魔術師ギルドじゃないか」

「その魔術師ギルドは冒険者ギルドにあるのかい?」

「魔術師ギルドは冒険者ギルドにあるが、冒険者ギルドにある魔術師ギルドは、仕事の依頼を受けたり、報酬を受けたり、払ったりする場所であって、この街本来の魔術師ギルドは別の場所にある」

「別の場所って、何処(どこ)なんだい?」

「冒険者ギルドのバリスカ西支部の近くだ、マルス、迷宮って知ってるか?」


はいはい、知っていますよぉ~、今さっき知ったばっかりですけどぉ~。なんでも、聖獣の抜け殻らしいが、まだよく解らない、不思議な場所というのが自分の中での認識だ。


「あぁ、知っている」

「ならば、話は早い、バリスカの魔術師ギルドはエレオローラの迷宮の中にある」

「エレオローラの迷宮?、その人の迷宮なのか?」

「あぁ、エルフの聖人、エレオローラ、そして、エレオローラの迷宮はゴンドワナ王国が所有している財産だ」

「迷宮を国が保有してるのか?」

「そうだ、正確に言うと、この国の王室が保有している迷宮だ」


魔術師ギルドは迷宮の中にあるのか?・・、何か理由がありそうだな、それにしてもアレクサンドルは、やけに詳しいなぁ、執事ってこういうものなのか?、聞いてみるか。


「アレクサンドルは、エレオローラの迷宮に詳しいんだなぁ、有名なのか、その迷宮?」

「ん・・、いや、この国の(ほとん)どの人が知っている(はず)だが・・、とにかく、俺が詳しいのは、世話になっているからだ」

「何か、あるのか?、エレオローラの迷宮に」

「小麦だよ、小麦、エレオローラの迷宮で作って貰っているのさ」

「迷宮で小麦?」

「あぁ、その他にも沢山の農作物が作られてるぞ、エレオローラの迷宮があるから、バリスカの街は発展したと言っても言い過ぎじゃないぐらいに大きな存在なんだ、エレオローラの迷宮はな」


なるほどねぇ、この世界の大地にガイアが居なくても、やっていける理由がコレか!、このバリスカのあるゴンドワナ王国は常夏の国と呼ばれているらしく、(あたた)かい国だが、冬はいつ来るのかと聞けば、冬というのは、本やこの世界に伝わる神話などでしか、見る事も聞いた事も無いと言う。

この世界には季節が無い、という事は、常春の国や、常秋の国、が存在する。そして、何だっけ、あのお菓子みたいな・・、ロールバッハ!、ロールバッハというバリスカから、国の首都では一番遠いと言われている街は、おそらく常冬の街だろう。間違いなく街に迷宮がある(はず)だ、たぶん農作物を作る迷宮だろうね。


「じゃ、エレオローラの迷宮に闇魔術に詳しい人が居るのは判ったが、闇魔術による封印が施されている物を解除する場合には、エレオローラの迷宮で封印を解除するのか?」

「間違いなく、そうだろう、魔術師には、いい勉強の教材になるだろうし、沢山の魔術師に教えながら封印を解除するんじゃないか?」

「何だって!、何でそんな危ない事するんだ!」

「あ、危ない、どういう事だ?」

「封印を解除した時に、致死毒が解放されたらどうするつもりなんだ?」

「致死毒が解放・・、そんな事、考えてもみなかった、そんな事ありえるのか?」

「ありえる!、というか、あったんだ、ちいさな街を消失させる程の、封印の解除による致死毒の開放が!」

「それは本当なのか?」

「あぁ、カゲマルじゃなく、違う人がその闇魔術の封印を解除してたら、今頃バリスカ五番街の人が沢山亡くなってたかもしれない」

「バリスカ五番街がそんな事に・・・カゲマル様・・、カゲマル様が解除したんだな、さすがカゲマル様だ!」


う~む、あまり危険な事とは思ってなかったみたいだな、そりゃ、俺だって封印を解除したら、そんな事になるなんて思わないからねぇ、一応、可能性について俺の思ったことを話しておくか。


「とにかく、エレオローラの迷宮で闇魔術の封印の解除をした場合、エレオローラの迷宮が大きな損害を受けることは間違いないし、その依頼をしたのがドワーフに関係しているので、エルフとドワーフの仲に大きな軋轢(あつれき)()む可能性があったんだ」

「なるほどなぁ、ゴンドワナ王国はドワーフとエルフの仲がとてもいい地域なんだ」

「アレクサンドルには伝えておくが、カゲマルは、この事件を、今、この国に起きてる戦争が関わっていると思ってるらしい」

「カゲマル様が!、分かった、大丈夫だ、俺が(しか)るべき人に伝えておく、心配しなくていい」


偉い自信だなぁ、アレクサンドルってこんなに頼もしかったか?、なんか国の偉い人に伝えてくれるらしい。でも冒険者ギルドの関係者だったら、ヤバくないか?、一応それも伝えておくか。カゲマル信者だしな、それを利用させてもらおう。


「アレクサンドル、カゲマルが言うには、レオン君のお父さんの冒険者ギルドカードが偽物の可能性があるらしい」

「なにぃぃぃぃ、なぜ、それ、そ、そうなのか?」

「あぁ、カゲマルが言うには、だけど・・・、だが俺達は冒険者ギルドと(こと)荒立(あらだ)てたくない、冒険者ギルドカードは便利だし、冒険者ギルドには仲良くしていきたい」

「そうか、分かった、その事も、俺があ・・(しか)るべき人に伝えておくから、大丈夫だ」


そうしてるうちに、冒険者ギルド、バリスカ中央に着いた。俺達はアレクサンドルと此処(ここ)で別れる、アレクサンドルは別れ際におしぼりを、俺以外の新入りであるカゲマルやレオン君に手渡した。そして俺に十本のおしぼりを人材登用の時に使えと渡して、冒険者ギルドの中に入っていった、俺達も冒険者ギルドの受付に向かう。


「マルス様、受付の人にに聞いたら、(てい)術師ギルドの場所が掲示板に出るそうですよ、さぁ、向こうの掲示板の方に行きましょう」


モクレンが(すで)に受付の人に聞いて、(てい)術師ギルドの場所を俺達に教えてくれる。そういえば、アレクサンドルと話している時居なかったな、もう中に入って聞いててくれたのか、しかし、何かが引っ掛かる、なんだろうな?。


「マルス様、東の棟の二階の一、だそうです、東の棟に行きましょう」


ん、そうか分かったぞ、モクレンだ、普通に字を読んでる、俺はまだ読めないのに、字を読んでるんだよなぁ、モクレン・・・、そういや、受付の人に訊いたって言ってたな、普通に喋れるんだな、俺とカゲマルは言葉の通じる指輪を付けてるから、喋れるんだが、モクレンは付けて無いよなぁ?


「なぁ、モクレン!、モクレンは、どうしてこの世界の言葉が喋れたり、読めたりするんだ?」

「言葉ですか、それは、イーモリ様から宝珠を頂きまして、その宝珠を体の中に取り込みました、そうする事で、私とナラコはこの世界の字も読めるし、言葉も通じるし、喋れたりも出来る様になりました」


きったねぇぇ~、そんなやり方あんの~、甘やかしすぎだろぉ~、まったく、あのネットゲーム大好きオンナ、相当ナラコが気に入ったんだろうなぁ~、ネットゲームに出てくる神獣みたいなのが、目の前に居て。しかも触れるんだから、そりゃ、テンションあがるわなぁ~。

そうこうしてるうちに(てい)術師ギルドの場所に着いた、場所といっても(てい)術師ギルドを説明する場所であって、(てい)術師ギルドの本部や訓練をする場所ではない、そして猫耳で髪の毛が白、黒、茶色の女の子がやって来た。


「皆様、初めまして、私が(てい)術師ギルドの準ギルドマスターのフェルシオーネです」


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