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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

とある犯罪者の末路

作者: 末路

注意:この物語は実際の個人、団体、事件等とは少し関わりがないとはいえません。

 私はとある会社のそれなりの地位にいた人間であった。それ故に知り合いも多く、お金もまた通常の生活をするのなら使いきれない程にはあった。そんな私はとある事をやってしまった時があった。齢88にもなり、少々体が思うように動かせなくなってきたと感じてきたある日の事だった。

 その日は妻と共にドライブをしていた。妻と会話を弾ませつつも日々変化を続ける風景を眺めていた。思えば私がこの地に来てから60年もの時が経った。この地に来た当初、まだまだこの都市は発展しておらず、色々と不便な事が多かった。しかし、現在は高層ビルが周囲に並んでおり、不便な事はかなり減った。

 これからもまたこの都市は発展を続け、便利になっていくのだろうなと感慨に耽ていると目の前の信号が変わっていた。慌ててアクセルからブレーキに足を変え、止まろうとしたが、何故か車は減速することなく、速度が上がり続けた。


「危ないよ、どうしたの?」

「あー、どうしたんだろう」


 何度も何度もブレーキを押し続けるが、ブレーキが利く事なく、速度はさらに上がり続ける。何故だと思い、ブレーキペダルを見ようと視線を送ると、急に振動が襲ってきた。慌てて視線を前方に戻すと横断歩道を渡っている男性に衝突した。自転車わき見運転している間にとんでもない事になった。しかし、それで車が止まる事はなく進み続けた。


「危ない!」

「どうしたんだろう‥…」


 再び衝撃が襲う。今度は母子が乗っている自転車に衝突し、眼前にはゴミ収集車が見えた。これは不味いと急いでハンドルを右に回した。次の瞬間にはまた衝撃が車を襲い、その衝撃で車が回転し始め、そのまま対向車線にいたトラックにぶつかった。私の胸がかなり痛いが、それでようやく止まったようだ。

 私は急いで車を降りて、惨状を確かめた。車の周りには数名が倒れており、私が通ってきた道にも倒れている人がいる。車を見ると明らかに大破しており、修理が必要だった。……。

 私は反射的に携帯を取り出して、息子に電話を掛けて、SNS等のアカウントを消す事、インターネットから確認できる自宅をモザイク掛ける事、会社時代にいた自分の証拠を次々と消す事、自宅電話の番号を変える事を指示した。そうしている間にも少し落ち着く事が出来たので息子に聞いてみた。


「アクセルが戻らなくて、人をいっぱいひちゃった。どうしよう?」

「とりあえず警察と病院に連絡してみたら?」


 それもそうだと思い、電話を切って警察と病院に連絡した。すぐに両方とも駆けつけてきて私も搬送された。結果は胸の骨にひびができたくらいだ。対して、ひいちゃった人のうち死んだのは2人、重軽症は数人との事だ。まあそちらの方は根回しすれば何とかなる。


ーーーーー

 あの日から数年が経った。根回しが上手くいったのか私は逮捕される事はなかったが、あの日に受けたひびから何やら変な病気にかかってしまい、体をまともに動かせなくなってしまった。さらに最近は体調がさらに悪化し、今晩が山場だという。しかし、私に後悔はなかった。愛する妻が傍にいる状態で最期を迎えられるのだからだ。


「あなた、死なないで……」

「ああ……」


 返事はしたが、私は既に死期を悟っていた。もうお迎えが来る。さあ、いこうか。極楽浄土へ。


ーーーー


 私は真っ白な空間の中、目が覚めた。眼前には一人の人? らしき者が経っており、薄青い板をひたすらに眺めていた。


「あんた。ここはどこだ? 極楽浄土か?」

「……あなたの罪を述べましょう。あなたは生前に罪を重ね続け、同種族を蹴落とし続け、他種族を殺し続け、確固たる地位を気づき上げました。老後もそれは変わる事なく行われ、病死しました。間違いありませんね?」

「な、何だ。一体」

「さあ、答えなさい」


 目の前の者は私の頭をつかみ、無理矢理言葉を発せられた。


「そ、そうだ」

「分かりました。では、罪を清算しましょう」


 私の眼前は光に包まれた。


ーーー

最後に、人? のような者の視点


「……罪を清算するために魂を削っていたらどの生物にも転生できない。……ならばこの罪と共に地獄に撒きましょう」


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