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夕日差し込む教室で

掲載日:2018/02/19



「ねえ、今日のあの子のLINE見た?」

友人の視線は携帯を見つめたまま、


横にいる私に尋ねてきた。



「なにかあったの?」

私は唐突に話しかけてきた友人の話の道筋がよくわからずに質問に質問で返した。



「LINEのタイムラインにさ、死にたいって書いていたんだって。」

それを聞いた私は内心ドキッとしながら、


自分の心を騙しつつそうなんだ、と興味がないフリをしながら答えた。



「死にたいなんてマジ陰キャだよね。大体死にたいなら勝手に死ねばいいじゃん。おかしいんじゃないの。」

まるでテレビのお笑い番組を見ているかのような調子で軽く笑いながら言った。



「あんたもそう思うでしょ。」

そう聞かれた私の耳は、友人の声を最後まで聞き取ることはなく、


自分が心の底から思った言葉を、過去を、


友人に話して果たして伝わるのだろうかという緊張感と、

伝わらなかったらという絶望に対する、不安感に押しつぶされそうになっていた。



「それでさ…ねえ、話聞いてた…?」

悩んでいるうちに、なかなか返事を返さない私を訝しんだ友人が顔を覗きこんできた。



「今日のあんたなんか暗いけど大丈夫?難しい顔してなんかあったの?」

言えるわけがない。

今、友人がおかしいって言ったその子と、同じことを、


私も誰にも話さなかっただけで、実は何万回も考えたことがあったなんて。



「えっ、あっごめんね。ちょっと考え事してて。」

でも、そうだ。

友人も最初に会ったとき、


今みたいに私の顔を覗きこみながら手を差し伸べてくれて、


誰よりも優しくて輝いていて、どんなときも明るく笑っていた。



「考え事って?なんかあったの?」

でも、今の友人の言葉には、

あのころの私と出会った時にふと顔を覗かせた、


あの温かいなにか大事なものが、別の、冷たい何かに変わってしまっている気がした。



「……ごめん。実はさ、今のあなたに、言わなくちゃいけないことがあるの。」



だから、もしかしたら、あなたを傷つけることになってしまうかもしれない。


私が今抱いた感情は偽善とされるものなのかもしれない。


そんな人間だったんだって嫌われてしまうかもしれない。それでも気がついてほしかった。



「実は私も死にたいって思ったことがあったんだ。」

たとえ今自分の弱さを、


友人の前に曝け出して一生友人と話すことが出来なくなるとしても、


一生傷つくことになったとしても、



友人にこの思いが、あの時見た友人の優しさに触れることができるというのなら、




「えっ何言ってるの?」

そのときあった友人の目はまるで宝石のように純粋に、

窓ガラスに映った私の瞳とは対照的に、


もうすぐ地平線のはるか彼方に沈む夕日を吸い込んだように光っていた。



「死にたいって気持ちを抱く前の、昔の私だったなら、」

「多分、笑いながらそうだね。おかしいよね。って、死ねばいいのにって、言えたのかもしれない。」



「でも、私も『死にたい』って思ったことがあったの。」



友人が私の様子がおかしいことに気がつき、

私の顔がその瞳にしっかりと映るころには、


私の今まで貼りつけていた笑みは跡形もなく消え去っていた。



「『死にたい』って思っているときの自分はまるで、今、あなたが笑ったその子みたいだった。」



最初、何が起こったのかわからなかった。





だって、いつも笑って私のことを受け入れてくれる彼女が、

突然、いつも一緒にいた私が一度も聞いたことのない、


わけのわからないことを言い出したのだから。


だけど、今まで見たことのないような、

真剣な表情で話出した彼女の姿を見て、


何かよくわからない、自分の起き上がらせてはいけない気持ちが起き上がろうとしているのを感じた。



「『死にたい』って一人で悩み続けて、そろそろ本気で死のうってときにね、変わるきっかけを見出してくれた人がいたの。」

「その人は、それはおかしな感情じゃないって、一人で抱えるべきものじゃないから誰かに話してみるべきだって言ってくれた。」



「それで、やっと、誰かに、大切な人に、話してみようって、決心がついたの。」



彼女のその口から紡がれる言葉のひとつひとつが、

今まで私と話しているときには一度も見ることができなかった、

重厚な感覚を纏っていた。


「それまでの私は、大切な誰かよりも、その他大勢に嫌われないように必死に取り繕ってた。」


「ばかみたいに必死に、隠さなくちゃって、こんな気持ち捨てないとって。」



「もう一人の自分をずっと踏みにじって生きてた。」



そのことを語る彼女の表情はとても苦しそうだったが、



でも、どこか自分にはない清々しさを放っていた。



「でも、私は勇気をくれたその人の言葉が、それじゃだめなんだよって、みっともない自分も含めて自分自身なんだよって言ってくれている気がして。」



「だから大事な人に、両親に、今まで話さないようにしていたその言葉を話してみようと思った。」



「その時は、今のあなたみたいに『おかしい』って笑われるのを覚悟してた。」



「もし、笑われることになったとしても、冗談で片づけられるように、鏡に向かって、両親に向かって、笑って嘘だよって言えるように練習もいっぱいした。」



「でもね、真正面から向き合って話してみたら誰も笑う人なんていなかった。それ以上に『今まで気がつかなくてごめんなさい。』って、『一人で辛い思いをさせてごめんな。』って泣かしちゃった。」



「私のほうが両親にとって辛い思いをさせるような子供のはずなのにね。」



私の背中に冷たいものが走る感覚がした。



「だからさ、私は母親がその時くれた涙が、父親がくれた優しさが、二人がくれた勇気が、感情が、全部大切にすべきものに思えたから。」



これ以上彼女の言葉を聞いてしまったら、

頑張って周りの皆と同じにみえるように張りつけてきた仮面が、



「その子が本当に言いたかった言葉が『死にたい』なんて冷たい言葉じゃなくて、」



「『助けてほしい』っていう心の叫びなんだってことは理解できても、」



「今のあなたが言った『おかしい』って言葉を心の底から受け止めてあげることは今の私にはできない。ごめんね。」



なくなってしまうような気がした。



「…でも、」

まだ、醜い私を、

あなたにとって、気に入らない私を、

善意で絞め殺す気なのだろうか。


仮面をはずすことを良しとしない、私を。



「おかしいって言ったあなたを、今の私は受け止めることができないけれど、」

「今、私の話を真剣に聞いていてくれている、」



「あの時、私に手を差し伸べてくれたあなたなら、受け入れてみせるから、」



「だからさ、今から、本音で、きちんと、喧嘩しよう。」



喧嘩ってそもそもそんなことを言ってから始めるものなのか?

と、今まで自分が考えていたことが嘘のように一瞬、呆気にとられてしまった。


しかし、今の彼女は、私を傷つける一人の、


邪魔な人間でしかないと思った瞬間、我に返った。



「…喧嘩?何言ってるの?そんなこと言ってまた今みたいに自分にとって都合の良い綺麗事を振りかざし続けるだけでしょ。」


彼女が今まで振りかざしてきたものはどれも綺麗事に過ぎない。

どんなに善人が居ようとも、欠点がある自分など、


心から愛してもらえるはずなどあるわけがないのだ。



「そうかもしれない。私の話すことはあなたにとって、」

「全部絵空事だし綺麗事なのかもしれない。」



「そうに決まってるじゃない。だってあんたは現に今までへらへら笑いながら私の言うことにただ頷いているだけだったじゃない。」



「私が、感情を見せることはあっても、あんたからは何の感情も、見えてこなかったし、」

「第一、今の今まで、本音で私とまともに取り合おうとしなかったじゃん。」


私の心はすべからく真実であったし、

私が見たものも、聞いたものも、感じたことも、言ったことも、


全てどんなものも他人から受け入れられる程度には真実であったはずだ。



「ごめん。みっともない、本当の私じゃ、多分あなたとずっと友達でいることが出来ないと思ってたから。ずっと友達でいたかったから。」



「だから嘘ついてたっていうの?」



「嘘か…うん、そうかもしれない。」



「あんたみたいな嘘つきの意見をどうして聞かなくちゃいけないのよ。」



私は今までずっと信じていたのに。友達だと思っていたのに。どうして。



あんたみたいなやつの意見なんて聞きたくない。



「意見なんかじゃない。」



「じゃあ、一体全体なんで喧嘩なんて名前までもってきて、わけのわからないことしようとしてるの?」



「あんたは嘘つき、それが全てじゃない。」


目の前の彼女は嘘つきだ。

仮面を外さないように必死に取り繕う私には、


彼女の言いたいことよりも、

私が攻撃されないことのほうがたとえここで彼女が傷つくことよりも大事だった。



「ちがう…!確かに…私は嘘つきなんだと思う…。」

「でも、それが、それだけが全てじゃない!」


「私が今言いたいことはただの上辺だけの『雑音』なんかじゃない!」



「あなたにきちんと届いてほしいと思う本当の、『言葉』なんだよ!」



初めて聞いた彼女の大声に、

私は富士山が噴火したとしてもあんなにびっくりはしないだろうというくらい驚いた。


今まで彼女に何か言われたら言い返そうと、


考えていた全てが、まるで紙ふぶきのように跡形もなく散っていった。



「私は確かに嘘つきだ。だから、あなたに言葉が届かなくても仕方ないのかもしれない。」


「でも、嘘をつく私も本当の私だから。」



「私にとっては、あなたから見たら絵空事にしか、綺麗事にしか、見えないことも、」


「どんな感情も、綺麗で、それを知る事ができるたびに、」



「凄く悲しくて、嬉しくて、楽しくて、腹立たしくて、全部本当だったんだ。」



「あなたに嫌われることが怖くて嘘をついてしまう自分も、」



「昔のあなたを信じ続ける自分も。全部。全部。本物だったんだよ。」



嘘つき。それしか思い浮かばなかった。でも、何かを、口にしなければ、



「何言ってるの。キモいんだけど。」



そのとき、目の前で永遠と話し続ける彼女の、

今まで耐えていた何かが切れる音が聞こえた気がした。



「本音の喧嘩って言ったよね。だからそのキモいって言うのもやめてほしい。」


「はあ?」



本音の喧嘩ってなんだよ。ふざけてるのか。



「私はね、そんな、どっかそこらへんの奴が替わりに喋っても、


「誰も気にしないような薄っぺらい言葉をあなたの口から聴きたいわけじゃない。」



言葉も何もないんだよ。



「私が聴きたいのは、そんな、その他大勢を気にして仕方なく身に着けたような薄っぺらい言葉なんかじゃなくて、」



「あなた自身の言葉で、あなた自身が思った全部が聴きたいんだ。」




自分が思った言葉なんて、今まで自分がどう思ったかなんて考えたことなかったからさ、わからねえんだよ。



「何言ってるのかさっきから分からないんだけどさ、私はあんたと違っていつも正直者だし。」



そう、正直だ。いつだって真っ直ぐ自分の気持ちに正直に生きてきた。



「そういうことじゃないんだよ。あなたのその強がりで見えなくなってしまったあなたの本心が見たいんだ。」



強がりって何のことを言ってるんだ。



「強がってるって、別に、あんたと違ってまともだから何も強がる必要はないんだけどね。」



「…そうだね。いつだってあなたは強がりじゃなく、本当に強かった。」


「私に手を差し伸べることができるくらい。」



「そこまで、わかっててなんでいちいち突っかかってくるわけ?」



何故だかわからないけど、凄く面倒くさかった。いや、恥ずかしかったのかもしれない。



「本当に見たいものが違うからかな。」


「本当に見たいものってなんのことだ?」



本当に見たいもの?私の何を見たいんだ?欠点か?



「ねえ、なんで強くなったの?」



「突然なんだよ。てかなんでって、そんなの知るわけないでしょ。」



強くなるもなにも、なんでかなんて聞かれてわかるものなのか?そういうのって。



「強くなる人ってさ、強くなりたいって思ってなる人もいるし、いつの間にか強くなってる人もいるよね?」


「くだらない。本当にこんなんが喧嘩なの?」



そもそも喧嘩という喧嘩を私たちは今、していないじゃないか。



「喧嘩なんて今までしたことないから、わからないの。ごめんね。」


「本気で喧嘩したことないの?!信じられない!ってそんなことはどうでもよくてさ、なんだって?」



喧嘩したことがないとか宇宙人かよ!まあ、たしかにこいつ変わったところあるしな…それもある、か?



「そう、私が結局のところ言いたいのはさ、」


強くなりたいと思う理由は違うかもしれないけどさ、行き着く先は結局一緒になってしまうんじゃないかってこと。」



行き着く先?強くなることにそんなものあるのか?



「行きつく先って何のことよ。」


「強くなるってことはさ、」



「自分の力だけで生きて、自分の大切な何かを守れるようになるってことだと私は思うんだ。」



「強くなると、確かに自分の力だけで生きることが出来るし、」


「自分が大切な何かを守れるような、」

「世間一般でいう所の『立派な大人』ってものに、なるんじゃないかと私は思ってる。」


「だけど、それだけじゃ、」



「自分が傷つくことも少なくなるし、痛みにも慣れてしまうんじゃないかな。」



「強くなれば、」


「自分が大切にしている何かも傷つくことはないし、」

「痛みに慣れてしまえば、痛くないからと、何かあっても、動き続けることができるから、」


「ある意味幸せなことなのかもしれないけど、」



「それってさ、」



「自分が感じることの出来ない誰かを想う気持ちに、」


「自分より繊細な誰かが感じるであろう痛みに、気が付けなくってしまうってことなんじゃないかな。」



誰かの気持ちが分からなくなる?そんなことは無いだろう。


現に私はこうやって彼女の言葉を聞いているわけだし。



「人の痛みに、気持ちに気が付けなくなるってことはさ、」

「自分の強さが、何の為にあって、どういうものなのか、」



「それすらもわからなくなってしまうってことなんだと思う。」



「だから、自分の力が強ければ強いほど、」


「自分の考えがしっかりしていればしているほど、」


「強さで自分の気に入らないものを、人を、考えを、」



「無意識に、自分の気持ちのおもむくままに、全てをねじ伏せることができてしまう。」



「やがてそれは、」


「自分自身の痛みにも、自分の本当の気持ちにも、気が付けなくさせてしまう。」



「酷く悲しいものなんだって知っているから。」



そうなのだろうか?

確かに、言われてみれば、

今の私も、彼女の言葉をここまでしっかりと聞くまでは、


獲物に食らいつくハイエナみたいに、



彼女に言葉を紡がせないように食ってかかっていたかもしれない。



彼女は話したいことを一通り話し終えたのであろう。




一息つくと、彼女は急に、私に謝ってきた。




「私なんかが、偉そうにごめんね。」



もしかしたら、彼女が言いたいことは、

私はそのとき、彼女が何でこんなことを突然言い出したのか。



全てを理解することは出来なかったが、分かりかけた気がした。



「私は今のあなたを見て、無理に変わる必要も、」


「一人で強くなろうとしなくても、いいんじゃないかなってそう、思ったの。」



彼女が見たかったのは私の欠点なんてそんな上辺だけのものじゃなくて…



「もう、いいよ。」

「なんかさ、あんたの言ってることって、多分、私が考えていたものとは違う気がするし、」


「それより、あんたは私にまだ言いたいことがあるんだろ?」



それに、なんかさ、お前の言いたいことが何となく理解できる自分になら、


あんたが言ってることが、間違いでも、嘘でも、いいんじゃないかって思えてきちゃったからさ、



「ありがとう。」



本当のあんたの言葉、聞かせてくれよ。



「私はね、あなたが何かを守ることの大変さを知っている人だと思っているから、」


「何か大切なものに、守ることの冷たさに、」

「自分の手が、心がかじかんでしまっただけなんだって、何でかはわからないけど、そう思ったの。」



「今のあなたは、誰かを罵ることで、」


「本当の自分が心から発している『寂しい』とか『悲しい』とか『助けて』って言葉を必死に受け入れないようにしようとしているんじゃないかって。」



「人間は、深い悲しみを、不安を、」


「一人で抱え込めば抱え込むほど、」


「最初は悲しみだけだったのに、」

「そのうち、不満になって、」



「最後には歪んだ憎しみに変わっていってしまうから。」



「だから、今のあなたはその歪んだ憎しみに心を操られているだけなんだって。」


「冷徹でも感情がないわけでもない。」


「あなたの心は、本当は、不満があったわけでも、人を憎みたいわけでもなく、」



「自分の持つ悲しみを、不安を、誰かに知ってほしいだけなんだって。言ってる気がしたの。」



「だから、あの時、あなたが見せてくれた優しさが私の心に響いたように、」


「私には嘘だって、偽善だって、同情だって、何だって良かったの。」



「私の手を取って優しくしてくれたあなたの気持ちを、」



「絶対に憎しみや不満で終わらせたくないから。」



「だから、教えてほしい。」


「あなたの本当に思っていることを。」


「言葉にならなくたって、不器用だって、なんだっていい。」



「あなたの本当の、心の言葉を、もっとよく教えて欲しい。受け入れてみたい。」



彼女の言葉は私から見たら気恥ずかしいものばかりだったが、


今の、大事なものを理解することができた私には、凄く眩しく見えた。



「何だか、最後まで聞いといてこんなこというのは何なんだけどさ、難しすぎて言ってることがよくわからなかったわ。」



あの時、あんたの言葉に、心を、耳を塞いでいただけの私は、難しい言葉の意味なんて何一つ、わからなかった。



でも、あんたから込み上げてくる熱いものが、


私のかじかんだ手を、


心を、温かく、感情あるものにしてくれたから。



確かに大切な、受けとるべき物を受け取れた気がした。



「そうか…ごめんね。変なこと言って。」

「でもこれが、今の私が、本当に言いたかったこと全部。」



「大丈夫。本当に言いたいことは分かったよ。」



「一人で自分の気持ちを抑え込むなって、心配してくれてたんだよな?」



「そうなのかな?」

「言ってる自分も無意識で色々なこと言ってる節があるからよくわからなくなっちゃった。」



「ハッハッハッ!!お前常々おかしいやつだなとは思ってたけどよ、」

「そんな面白いやつだったとは知らなかったぜ。」



「そうかな?というか喧嘩してるのに、何でそんな笑顔なの?!」


「もっと、こう、私の言葉にこう凄い言い返すとかないの?」


「そうかもなあ…本当の喧嘩だったらそうすべきだと思うんだけどさ。」


「あんたの喧嘩は誰かを思ってしてる喧嘩って感じだったからさ。」



「言い返したくなくなっちまったよ。」



「そうなの?まあ、それならいいか…!」



「おいおい、ちょっと待って。さっき、私に嘘ついてるっていってたよな…?」



「ギクリっ…!まあ、その、それは何というか、言葉のあやってやつ…?」



「さっきの自分だったら、謝れとか言ってたかもしれないけどさ、」



「今の私は機嫌が良いから、別に謝ろうが謝るまいがどうでもいいよ。」



「へっ?」



「だけど、そのかわり、私の話が終わったら、」

「あんた自身の辛かったときの話も聴かせてくれないか?」



さっきの話が本当なら、私の本音ってやつを、聴いてくれるんだろ?」



「えっ?話してくれるの?」


「それ以外に何があるってんだ。」


「いいか一度しか言わないから、耳の穴かっぽじってよく聴けよ。」

「あれは私が…」




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