3 孤児院
佐々木はあれから目が見えるようになっていた。
佐々木が部屋を見渡すとそこには乳幼児用に作られたベットが並んでいる。
佐々木は今まで体を早く動かそうとトレーニングをしていたため、他の子供と比べてふらつきながらではあるが歩くことができるようになった。
しかし言語はすぐには理解できずに苦戦していた。
太陽が出ている時に表れる佐々木の別人格は言葉までは喋れないが順調に育っており、まだバランスが取れないからか木の柵を持ってだが歩くことができるほどにまで成長していた。
佐々木は夜しか行動ができない。理由はおそらく悪魔と言う種族が関係しているのだろう。
そのため夜は動き回れるが朝になると別人格に乗っ取られる
今のところ魔法は未だに使えない、そのため体の方を鍛え続けている。地球とは違い安全が保証されていないため少しでも早く何が起きても対応できるようにしなければならないからだ。
佐々木がいる孤児院には佐々木のほかに自分と同じ年ぐらいの子供が二人いる、
今その他の子供に手を触れようと立ち上がって木のゲージから脱出した別人格が他のゲージの中に手を伸ばしている。
傍から見れば微笑ましい光景だろうが今の俺では笑えない。
そんないつもどうりの日課が過ぎ夜になった今日この時俺は今まで目を背けて来た現実を受け入れる事にした。
実は転生して一つ体に違和感を感じていたのだ。
改めて向き合う現実に息を飲みこみ呼吸を整える。
(うん、ないな俺のあれが)
佐々木は自分が女性という事に産まれて初めて人生挫折並のショックを受けた。
·····························
佐々木が自分が女性だったと気づいてから数年がたち佐々木の精神はようやくなんとか立ち直る事に成功した。
佐々木はあれからある程度喋ることができる様になり体の成長にともなり部屋は乳幼児用の部屋から子供たちがいる大部屋に移った。
言葉がわかり自分の新しい名前がユリスと言う女性の名前だったことを知り再び現実を叩きつけられた。
ユリス·オリシア····俺の名前がユリスだと
佐々木は当時この名前に気づき少しの期間、項垂れていた。
そんな俺を育ててくれたのは俺のと言うよりユリスの母親で名前はリオネス·オリシア。母は俺を産んだ時は家に居たが二人の体調が安定すると俺をこの孤児院へ連れてきた。母が言うには自分が育った場所で育てたかったらしい。
父は夜中になるとたまに俺を見に来る、どうやら父さんは国の騎士らしくその仕事のせいで朝や昼に来れないらしい。
これは一つの騎士団の隊長をしているからでもあるのだろう。
父さんは母が俺を身ごもった事を知らないまま長期間の遠征に行っていたらしく初めてあった時は思いっきり抱きしめられた記憶がある。
俺を育ててくれた人は母だけでは無く孤児院を管理している人で見た目は一言で言えば近所のおばちゃんのような人ですごく優しい温厚な性格の人だ。
母さんや他の子供たち皆がマザーと呼んでおりもちろんユリスもマザーと呼んでいる。
マザーは沢山ある孤児院の中のこの孤児院の管理をしている。
普通は金儲けなど企んでいたりするものだがマザーはそうでは無いらしいまあ見せかけの可能性もあるが。
そしてマザーの手伝いをしている子供がいる名前はフィン、孤児院の子供の中では最年長だ。
そのため、たまに小さい子どもたちを言い聞かせたりしている。
どうやら子どもたちのいわゆるリーダー的存在らしい。
突然だが俺は今日孤児院を出ることになった。
なぜかと言うと母と父の間に子供が出来た為だ。
なので昔いたという家へ向かう。
(しかし子供かー。妹か弟か、今から楽しみで仕方がない。
俺はその子を守るためにも強くならないとな)
佐々木は強く、強く決意した。
†††††††††††††††
エレインの散らかった部屋では天使ハニエルが珍しく荒れていた。
エレインはそんな友人を横目で見る。
友人のこんな姿は見たことがない。
「ああ、あなたは今どこにいるのですか」
正直ドン引きだ、彼女に彼氏くんを奪われたと正直に言ったらああなってしまった。
友人に頼まれた通り設定をいじって設定を人族の女性にし、場所を私の教会が管理している孤児院に設定したまでは良かった。
いやーまさかハッキングされるとは思わないじゃん。
正直防ぎようがなかったねありゃ。
ちなみに調べた結果アザゼルが犯人とゆうところまで分かった。彼女も相当恐ろしいね。
彼女いわく彼氏くんはアザゼルの眷属にされたらしい。なぜ分かるのだろう? 女の感というやつだろうか。
ハニエルは頭をかきむしる。
「私の、私のなのになんで」
おっと、いよいよやばくなって来たな、まあ面白そうだからこれでいいか。
エレインは友人を見ながら目の前のテーブルにおいてあるポテチに手を伸ばす。
それを見てハニエルはエレインに向かって怒鳴った。
「何をのんきにポテチを食べてるんですか! あの女に佐々木様が取られたんですよ!!」
ハニエルに怒鳴られてポテチに伸びていた手が止まる。
「いやーでも彼氏くんの場所とかわからないからどうしようもないじゃん?」
ハニエルはポテチの袋を持って豪快にポテチを食べた。
「あ~あたしのポテチがーーー‼」
ポテチを食べながらハニエルはアザゼルに復讐を誓った。
「あの泥棒ネコ私の佐々木様に手を出したことを後悔させてやる」
くそーこれは早く何とかして追い出さないと私のポテチが全滅する!
エレインはそう判断し口を開いた。
「そういえば天界での仕事は? こんなとこでサボってていいの?」
この指摘は効果的だったようでハニエルは慌てだした。
「はっ私としたことが。
今度は眷属に仕事を頼んで来ますのでそれまでに佐々木さんを見つけておいてください!」
そう言いハニエルは魔法陣を展開し天界へと戻って行った。
そんなハニエルを手を振って見送りエレインは深くため息を吐いた。
「はあ〜、ようやく行ったか」
やれやれ厄介なことになったもんだ。
あ~だる、明日から本気出して探すから今日はゲームで遊ぼうかな。
今日は地球のゲームが発売した日なんだよね〜。
エレインはそんな事を考えながらゲームのリモコンを取った。
いやー文章を書くの舐めてた