4話
魔王城から離れた所でのこと。
雲一つない青空の下で街を目指しているソウマは主にスライムを倒してレベルを上げていた。
てれってれー♪
<ソウマはレベル6に上がった!>
メガネをかけているニンジン(名前はインテリキャロット、まんまだ。)を素手で倒すと、そんなメッセージが表示された。
<スキルポイントを振り分けて下さい>
「魔法+5…っと」
<ソウマは普通の魔法使いになった!ゲーテー<飛行魔法>を覚えた!>
MPもだんだんと増えてきて、浮かれるソウマ。
さっそく先ほど覚えたゲーテー<飛行魔法>を発動してみる。
「ゲーテー!」
某RPGゲームのように街に行くかと思ったが、魔法は発動しなかった。
<不思議なちからでかき消された!>
どっかの某RPGゲームで見るこのメッセージを見たソウマは落胆した。
「はぁ……まだ歩くのか…」
肩を落とし、先へ進もうとするとヒュッと目の前を何かが通って行った。
<盗賊に持ち物を盗られた!170ドリー減った\^o^/>
「えええええええ!?しかも何このオワタの顔文字!」
とりあえずデュオ<詮索魔法>で盗賊の後を追う。どうやら俺から見えなくなると速度を落としたようで、案外近くにいた。
あれは女だったと思う。
「俺のドリーをかっえせー!」
盗賊の後ろ姿を確認し、ファイアをうつ。
「おっと!」
盗賊はひらりと俺の魔法をかわし、木の上に登った。
「そーんなトロい魔法じゃーボクに当たらなーいよ♪」
木に座り、足をブラブラさせている盗賊はヘラヘラと笑いながら俺を嘲笑った。
くっ…ガラスのハートが傷付いた……
<ソウマのライフが減った!>
「んな表示いらねーよ!」
表示されたメッセージに突っ込んでからまた盗賊を見る。
「で、タダじゃ返してくれなさそーだな」
「あははー♪分かってるねぇーキミ」
「……条件は何だ」
どんな条件でもドリーの為、だ。
RPGゲームでは最初のお金は大切なのさ。
「うーん、じゃぁー……キミの血ちょーだいっ♪」
「はぁっ?」
盗賊の言葉に目を点にさせる。
「ボク、ヴァンパイアのロザリアってゆーんだ♪と、ゆーことで頂きまーす♪」
「うわっ、ちょ、待て!!」
慌てて俺はシールド<壁魔法>を唱える。
盗賊はピタリと足を止め、まじまじと俺を見た。「キミ、結構やるじゃん。ボク初めてマトモな魔法使いを見たよ」
と、いうことはロザリアがいままで見た魔法使いはまともじゃなかったんだ……
まさか俺が最初想像した「30代ドーテー」になっているのだろうか。
……いやいや、そんなまさか。
「ボクがいままで見た魔法使いはぜーいん“俺はドーテーだ!悪いかぁぁ!!”って叫んでたよ」
……まさか…ね。
俺はハハッと渇いた笑い声をあげた。
いやぁー、マトモな魔法使いでよかった。
「あっ!ねぇねぇ、キミひょっとして冒険してる?」
「あ、ああ、そうだが……」
「やっぱりー!ならボクを連れてってよ!それが条件ってコトで♪」
………それならいいかな。
いや、危険だ。隙を狙って俺の血を吸うかも…
………
「…それならいいが」
金には勝てないのさ。
「やったぁー!よろしく、ソウマさん!」
「な、なんで俺の名前を……」
「知ってるか?ボクのストーク<情報入手スキル>で見たんだ♪」
「ふーん…」
どうやらロザリアは相手の情報を入手する力があるそうだ。
便利だな。
「あっ、ソウマさんってドMが好きだったんですね!」
……訂正、このスキルは厄介だ。
<盗賊吸血鬼ロザリアがパーティーに加わった!>
盗られた170ドリーを返してもらい、俺達は再度街を目指した。