2話
ここは南の大陸、アトゥルス。
この大陸の海沿いにある草原に突如、魔方陣が現れて一人の少年が出てきた。
その少年の名前はソウマ。
―新米冒険者だ。
◇◇
「…きて…起きて下さイ…」
「ソウマさん…ソウマさん!」
「うおっ!!」
誰かに腹を殴られ、飛び起きる。
真正面にはステータス画面が。
HPの数字が減っていった。
きっと今殴られたのでHPが減ったのだろう。「だ、誰…?」
銀の髪に白い服。
背中からは羽が生えていて、天使にしか見えない。
「ワタクシ、カエリと申します。アナタがこの世界に慣れルまで、サポート致しマス」
「は、はぁ…」
カエリは、さっき言ったように新米冒険者がこの世界に慣れるまで付き添って色々と教えてくれるらしい。
いわばチュートリアルだ。
「見て下さイ、そこにモンスターがいまス」
機械的な声のカエリはある一点を指差して言った。
「…これが、モンスター…」
どうやらこの世界のモンスターは個性的なようだ。
…これはどう見てもリスではないか。
この普通の動物なリスを倒せってか。
…残酷だ。
「あ、イエそっちはリスでス。こっちこっち」
「あ、そっち!?」
カエリはリスの奥を指差した。
「!!」
すると突然白い枠が出てきて、<モンスターがあらわれた!>と表示された。
なるほど、どれが敵か分かりやすくなっているのか。
モンスターの名前はスライム。
見たことのある雫形のではなく、楕円の青いやつだった。
「<こうげき>で物理攻撃ができまス。魔法使いはMPが足りない時用なのデあんまり使いませン」
「こうげきは、MPが無くなった時用、っと…」
「向こうから攻撃がきまス。この時、よけてくだ…」
「うおっ!!」
カエリが言い終わらない内にスライムは俺に体当たりしてきた。
スライムなので痛くはなかった。
つまり、ノーダメージ。
「…次に、魔法について説明致しマス」
「使える魔法がレイニー<水攻撃魔法>、ファイア<火攻撃魔法>、レモニー<回復魔法>です。レベルを上げるたびニ魔法を覚えまス」
俺は魔法が使えるということでワクワクした。
が、その気持ちはすぐに萎んでいった。
「MP0じゃねぇか……」「レベル1の時点では魔法は使えませんネ」
がっかりした俺だったが、レベルを上げて魔法スキルを上げるとすぐにMPが貰えるそうだ。
「さて、私はここまででス」
「えっ、回復とかの説明はしなくていいの?」
「自主学習でス」
「……」
そしてカエリはふくろを俺に差し出してきた。
「やくそう2個です。キズついた時に使ってくだサイ」
「あ、どうも…」
「では」
カエリは足元に魔法陣を描いて、帰っていった。
「……とりあえず街を目指しながらレベル上げするか」
そして俺、勇者ソウマならぬ魔法使いソウマの冒険は始まったのだった。