されど大海は天を摩る

高木真一は天才であった。日本一と言われる国立聖城大学に通い、その中でも常にトップの成績を修めていた。

彼は自分自身を憂いていた。自分にとってこの世界が、あまりにも簡単で退屈だったから………

そんな彼はふとしたきっかけで自殺サイトに興味を持ちだし、チャットに入室してサイトを覗くことを始めた。

「死にたい」と嘆く人、「死ぬな」と励ます人、やはり文字だけのやり取りは真一にとって暇つぶしにしかならなかった。

だがそのチャットで彼はＨＮを「ＸＡ（イクサ）」と名乗る謎の男に出会う………