3 「スパイ」かどうかは「国が決める」し、「身内には甘い」
質問者:
多くの方はスパイ活動なんかには無縁だと思うからスパイ防止法は制定するべきだという意見は必ずあるのですが、それについてはどう思われますか?
筆者:
そう思っていらっしゃる方は非常に多いと思います。
「スパイ防止法に反対している奴らはどこかやましいところがあるからだ」
「悪いことをする予定が無ければ大丈夫なはずだ」
「これでスパイが罰せられるのだから反対する奴らはおかしい」
とスパイ防止法に純粋に賛成されている方々は必ず主張されていると思います。
それらの主張に関して共通して言えることは「性善説で捉えるならば」間違っていない判断だという事です。
質問者:
筆者:
結局のところ「スパイ」と定義づけるのも認定するのも政府側であるという事を忘れてはいけません。
現状の自民党案が分からないので何とも言えませんが“スパイの定義”が非常に重要になってくるんですね。
法律を制定する側、取り締まりを行う側が「問題児」だとただの言論弾圧法案になってしまう可能性がありますからね。
アメリカのエスピオナージ法(スパイ防止法)のスパイの定義は
「米国の防衛・安全に関する情報を、外国政府またはその代理人に対して意図的に収集・提供する行為」
とまだまともなのですが、
中国の国家安全法では、
「国家安全を脅かす行為全般」をスパイ行為に含めているんです。
これは、外国組織との接触、情報収集、世論操作まで広く対象としており、
学者や記者の調査活動が「スパイ」とされる事例まであります。
勿論中には本当に常識の範囲外の調査や取材もあったかもしれません。しかし、「よく分からない基準」である以上は何とも言えないのです。
質問者:
中国では「よく分からない理由で逮捕される」という事もあるそうですからね……。
筆者:
また、「最初はスパイの定義がマトモ」だったとしても閣議決定などで徐々に対象を増やすと言った方法をとってくる可能性もあります。
法律を新しく制定する閣議決定は国会の決議が必要ですが、法律の運用方針の閣議決定は国会の決議を経ることなく匙加減で決めることが出来ますからね。
最初の法案可決が一番注目されますが、その後の運用方針についてなんて余程のマニアしか着目しませんからね。
そのマニアの1人として危険な定義に変更しようものならすぐさま発信していこうと思いますね。
質問者:
別段スパイで無いと分かったとしても通報されたり、捜査されたりするだけでも社会的信用はマイナスになりますからね……。
筆者:
そうなんですよね。日本の場合は特に警察から聞き込みされているという情報が入るだけで影響は大きいと思います。
「火のない所に煙は立たぬ」という考えもありますからね。
裁判に起訴されるされないの以前のレベルで社会的信用がマイナスになる懸念もあると言って良いでしょう。
◇権力者側はキチンと罰せられるのか?
質問者:
ところで、政府内や国会議員にも「スパイ疑惑」の方っていると思うんですけど、
スパイ防止法が成立すれば逮捕されることはあるんでしょうか? それとも国会議員の特権か何かで逮捕されないのでしょうか?
筆者:
憲法50条のいわゆる「不逮捕特権」というのは国会が開会中に逮捕されないというものであり、閉会中や開会中でも議院の許可があれば逮捕することが可能です。
言葉のイメージよりも大きな特権ではないことが分かりますね。
つまり、捜査そのものは理論的にはされています。
しかし、僕はある程度裁判所を政府は操ることが可能だと見ておりますので、
「政治的な圧力」でもって回避することも出来ると思っています。
質問者:
筆者:
昨今話題になっているエプスタイン事件において伊藤穣一氏の関与が強く疑われているわけです。
しかも「デジタル社会構想委員会」の委員であるために「公人」と言っても過言では無いわけですが、
「任期途中で辞任」することから調査や聞き取りを行わないという事をすでに明らかにしています(26年3月6日現在)。
伊藤穣一氏は名前こそは日本人名ですが、アメリカ国籍を持っていると思われるので「アメリカ様の盾」が付いているので思った以上に強い立場にいるためにこのようなことが起きていると思われます。
※しかも伊藤穣一氏は千葉工業大学学長の座には居座るつもりのようなので体調が悪いわけでは無さそうです。
質問者:
確かに政府が疑惑について調査すらしないというのはどう考えてもおかしいですよね……。
任期が残っているのに辞任というのも「逃げた」ようにしか見えませんし……。
筆者:
「関与していない!」「知らなかった!」で終わっちゃいそうですけどね(笑)。
また中国の「500ドットコム」(現ビット・マイニング)潘正明元最高経営責任者が裁判の中で日本でIRを開設するため日本の国会議員らに賄賂を配るように指示し、その中で岩屋氏を含む5議員に100万円ずつ渡したと証言しているそうですが、
秋元司元衆院議員のみが罪が立件され起訴されているという状況なんですね。
この事件を巡っては2019年12月に東京地検特捜部が摘発し、日本での捜査は終えているものの「闇が深い」状況となっています。
そもそも「裏金議員」と言われている議員も秘書しか起訴されていない状況ですからね。
法律があっても議員は「トカゲのしっぽ切り」の弱者しか起訴されないのが現状なんです。
質問者:
「身内に甘い」法案で国民だけ厳しく取り締まるような状況だったら本当に最悪すぎますよね……。
筆者:
現状では外国のスパイを裁く力は確かに低いです。
そのために抑止能力が低いために、技術流出が起きているためにスパイ防止法や国家情報局の存在は確かに非常に重要です。
しかし、現状は法律を制定、制度を運用する政府の信頼度そのものに疑義が生じている状況です。
政府が情報工作を行い、政治とカネの問題で政治不信を招き、外国人移民の問題も「移民を受け入れてはいない」で跳ねつける――このような状況で「スパイ防止法」を与えてしまえばどうなるのか?
なんとなく悪い想像しかできないというのが悲しいですが今の日本政府なのかなと思いますね。
質問者:
筆者:
思考停止して何もかも鵜呑みにすることはある意味幸せなのかもしれませんけど、僕はそれが本質的に良いこととは思いません。
なぜなら、それは「シッポを振って餌を待っている飼い犬」と同じようなレベルであり、人間と呼んでいいのか怪しい状況であると考えるからです。
ともかく「スパイの定義」というのが非常に重要な要素だという事を覚えていただければと思います。
次の項目では現状ですら「外国ナラティブ」という事にして、政権側に不都合な情報を封殺しようとする手法について解説していこうと思います。




