2 国家が自国民に「情報工作」をする理由
質問者:
そもそものお話として、国家が自国民に対して情報工作することの意味が分からないんですけど……。
筆者:
いきなり「政府が国民に情報戦を仕掛けている」という話になると普通の人はどうしても「陰謀論だ」「映画の観すぎだ」と拒絶反応を示してしまうかもしれませんからね。
自国の政府ぐらい「自分たち国民を守ってくれる存在」だと信じたいのが人間の基本心理ですからね。
ただ、そういう性善説みたいな考え方は捨てるべきなのかなと思います。
誰でも知るところでは戦時中の「大本営発表」です。
国が国民に対して戦争に向かわせるためのプロパガンダ工作を仕掛け、社会を統制するために都合の良い情報だけを流して「国を応援させるような情報工作」を行って戦争に突入していったことは誰もが知る歴史の事実だと思います。
質問者:
それは知っていますけど、あの頃は全体主義社会に近い形で今とは政治状況が全く違う気もしますけど……。
筆者:
とは言え、あの時だって「民主主義」は一定以上は機能しており、「緊急時」という事で大政翼賛会になっていました。
今も「中道に政権を取らせたくない」と言う思いが強く、「緊急時」という事で予算審議が時間を確保して行われ無いという要素(ただし、野党の質問能力が無さ過ぎて質問時間が潤沢にあっても無意味という説はある)はあると思います。
どうして現代においても自国民に対して工作をするのか? と言いますと、自らに有利な政策を行うことで近親者に対して我田引水を行うことが出来たり、不都合な情報を覆い隠すことが出来るようになるのです。
質問者:
実際に政府が国民に対して”工作している証拠”みたいなものはあるんですか?
筆者:
2019年より環境省では「日本版ナッジ・ユニット連絡会議」というのが実施されています。
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/nudge.html
ナッジというのは動経済学の知見に基づき、人々が強制されることなく、より良い選択を自発的に行うよう「そっと後押し」するアプローチです。
「これをやった方がスマートだよね」「最先端の考えだ」みたいな風潮を広げることで自然に受け入れさせるような「平易なタイプの情報工作」と言えます。
環境省におけるものとしては「脱炭素絶対正義」みたいな風潮を流し、社会変容を行おうとしている活動のことを言います。
皆さんも企業広告などで「脱炭素を実施」みたいなものをご覧になったことがあるでしょう。
「脱炭素スキーム」によって二酸化炭素を排出しないものの他に問題がある太陽光発電や原子力発電などが推奨されるようになる流れというのが出来ています。
太陽光パネルが中国産の上に廃棄に対して環境負荷が借ること、原子力発電も「核のゴミ」が現状「埋めるしかない」と言った不都合なことは覆い隠され「脱炭素に必要なエネルギー源」として注目され続けているのです。
質問者:
確かにそう言った要素はありますよね……。太陽光発電や原子力発電はマイナス側面について報道ではほとんど語られません……。
筆者:
それも「世論形成」を行い利権を獲得している要素と言えるのです。
次に2022年から防衛省では『「インフルエンサー」が、無意識のうちに同省に有利な情報を発信するように仕向け、防衛政策への支持を広げたり、有事で特定国への敵対心を醸成、国民の反戦・厭戦の機運を払拭したりするネット空間でのトレンドづくりを目標』とする指針を策定しました。
2025年の自民党総裁選で小泉進次郎陣営では自らを持ち上げ、当時の最有力候補の高市候補(この選挙で総理大臣への足掛かりを作る)のイメージを下げる「ステマ」のような活動をしていました。
しかし、この自民党総裁選では他の候補はこの一件では問題にすること無く、小泉進次郎陣営の牧島氏が小泉進次郎選挙対策委員長を辞任するだけにとどまりました。このことから、「実は陰で皆やってるんじゃないのか?」という疑惑が浮上したのです。
質問者:
確かにその一件は総裁選にとって大きな影響を与えかねない重大な違反行為だったのに、それだけで終わったのは違和感がありましたね……。
筆者:
表に出ているだけでこれだけしているのですから、他に何も政府が自国民に対して情報工作していないと考えるのは、ちょっとピュア過ぎるんじゃないのかな? と僕は思ってしまいますね。
第二次世界大戦当時はラジオと新聞だった手法が、現代ではアルゴリズムやSNSに形を変え、より見えにくく洗練された『ナッジ』や『戦略的コミュニケーション』としてアップデートされているだけともとれるのです。
実は一般人が想像もつかないような金額が「国民の意識を変容させる」ために使われているのではないかと僕は考えているのです。
質問者:
戦前から形は変えてはいますが、やっていることの本質は変わらないという事ですか……。
筆者:
現代はインフルエンサーを挟むことによって自発的に主張をしているのか? それともお金を貰って発信をしているのか? が分かりにくい側面があります。
第51回の衆議院選挙で自民党が1億6千万回のYOUTUBE広告の再生に10億円使ったのではないか? という事が問題になっていましたが、
「政党色が無い人」が「実はお金を貰っている」という状況は「事実上の政府の工作員」かどうかの見分けがつきにくく「思わぬ洗脳」にかかっている可能性が高いと思います。
質問者:
でも、政党や政治家の支出に関しては政治資金収支報告書などに記載されるんじゃないんですか?
筆者:
基本的にはそうなのですが、政権側には「必殺の財布」が存在します。
それは「官房機密費」です。情報収集、拉致問題対応、外交交渉など「国の機密保持上、その性質等を明らかにすることが適当でない」とされるものと認められているために使途の開示義務が義務付けられていないのです。
しかも実際は「他党との調整」と言った交際費に活用されていたことも昔は多かったという話もあります。
今は他党と調整するより選挙直前であれば「情報工作」に使われても不思議ではないでしょう。
使途を明確にしなくていい予算――つまり「合法的な裏金」が12億円ほど存在しているために「ここぞというところ」に投入されている可能性が高いと思っています。
インフルエンサーなど政府から遠そうな人物を官房機密費を使って買収し、政府に有利になる情報を流させることによって国民の情報障壁を破壊しようとしているという事です。
質問者:
でも、表向きには「国の機密」のために活用されていることになっているので「開示すれば安全保障に問題が生じる」とされたら情報開示させようがない気も……。
筆者:
中にはそういう国家安全保障上の支出が本当にあると思うので、「10年後に使途を公開」みたいなシステムにすることが大事なのかなと思います。
いずれにせよ、使途を永遠に公開しなくていいブラックボックスのような予算があるのは非常に危険です。
ただでさえ他の使途を公開しなくてはいけない政治資金ですら「裏金疑惑」があり、何に使っているか分からないこともあるんですから、官房機密費という「合法裏金」だけは絶対に防がなくてはいけません。
ただ、民主党が政権を一時と奪取する直前には「官房機密費を明らかにする」と公約にしたのに政権を本当に取った後には公開しなかったのですから「よほど旨味がある」ものと思われます。
今大変なことが多く論点が非常に多いですが、こういった細かいところも大事なので機会があれば事あるごとに訴えていければなと思います。
次の項目では、「自分がスパイ活動なんてしなくても大丈夫」と思っていても「スパイ活動にされてしまう可能性がある」ことについて触れていこうと思います。




