1 「国家情報局」と「スパイ防止法」の必要性について
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は26年3月13日に閣議決定した「国家情報局」とこの秋にも国会に提出される可能性が高い「スパイ防止法」が「政府によって悪用」される可能性について複数回にわたって語っていこうと思います。
◇インテリジェンス機関の統合である「国家情報局」の裏側
質問者:
そもそも、「国家情報局」って何をするところとして期待されているんですか?
筆者:
現状の構想としては「内閣情報調査室(内調)」を格上げする形で、事務局として「国家情報局」を新設する模様です。
内調の欠点としては日本の情報収集活動は警察、防衛省、外務省、公安調査庁などの各組織が個別に行っておりそれらの機関がバラバラに動いていたために非効率であったのです。
そこで、首相をトップとする「国家情報会議」と政府全体で上記の省庁の情報を集約・分析し、政策判断に直結させる司令塔としての「国家情報局」が内調から昇格することになったのです。
モデルとしてはイギリス型のMI6などの機関を参考にする模様です。
質問者:
デジタル化している昨今、全ての省庁で情報を共有すればいいだけの気もしますけどね……。
筆者:
日本は縦割り行政の上に上意下達、他の省庁をライバル視しているという奇妙なシステムになっています。
僕はこれらの弊害を無くして情報共有をすれば多くの職員を削減できると思っています。
しかし、官僚としては「ポストを失いたくない」という自己保身の精神があります。
今回の内調からの格上げもそれだけ官僚の幹部ポストが新しくできるので「大歓迎」というところなのでしょうね。
質問者:
非常に残念な理由で室から局に格上げすることは分かりました……。
筆者:
ファイブ・アイズという、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの英語圏5カ国による最高レベルの機密情報共有枠組みがあり、日本もその枠組みに参加を希望しているのですが、
現状日本に提供できる情報を整理できていなかったり、スパイ防止法が整っていないことから加入できていないという現状があります。
そのために、その整備として国家情報局の設置をし、ファイブアイズへの道筋を立てようとしているのでしょう。
◇「スパイ防止法」は必要ではあるが……
質問者:
なるほど……それらのアメリカ同盟国に置いて行かれて孤立するのは避けたいという事ですか……。
関連するお話として、いわゆるスパイ防止法についてのお話がありました。
スパイ防止法については他の法案でも対応できるという話があるのですが、それについてはどうなんでしょうか?
筆者:
確かに他の法案で対応することは不可能では無いですが、「刑が軽すぎる」というデメリットがあります。
2014年にはフラッシュメモリの研究データを不正に持ち出し、韓国の半導体王手SKハイニックス社に提供、2020年、積水化学工業の元社員がスマートフォンの液晶技術に関わる情報を中国企業に漏洩したことが発覚しても「不正競争防止法」程度の罪に問われるだけになっています(民事の損害賠償は別個なされている)。
2020年にはソフトバンク社員がロシアに5Gの情報を流出させたということで懲役2年罰金80万円の罪に問われています。
これらのことも踏まえて、25年6月のロイター企業調査によると、現在の日本の法制度では機密情報や技術の漏洩を十分防ぐことができていないとの見方から、8割超の企業が「スパイ防止法」の制定を検討すべきと考えている」ともあるので企業からの期待感も高いのです。
質問者:
最近制定された特定秘密保護法(2013年施行)や経済安全保障推進法(2022年施行)で対応することはできないんでしょうか?
筆者:
特定秘密保護法は日本の安全保障にかかわる情報を漏らした公務員のみに対する罰則規定があります。
そのために、公務員以外のスパイを直接処罰できる法律ではないんですよ。
経済安全保障推進法は基幹インフラの安全審査、先端技術の管理強化。実際に外国人研究者が情報を持ち出しても、適用が難しいケースが多いと思われます。
確かに他の法律でも適用は出来ると思いますが、現状では「バレても軽い罰」ということでホイホイと海外に情報を横流しが出来るということです。
これではリターンが命令してきている本国からあれば「やり得」状態ではあるのです。
罪が軽ければ盗んだ情報の内容次第で「本国で英雄」になることも十分ありますからね。
質問者:
どちらかと言うと現状では、「無理やり他の罪に当てはめている」状況なんですね……。
筆者:
そうなんです。しかも極めて罪が軽い状況です。
ただ、2000年に防衛研究所所属の海上自衛官(3等海佐)が機密文書2件を無許可で複製しロシア国駐在武官ビクトル・ボガチョンコフ大佐に手渡した事件があったのですが、ボガチョンコフ氏は外交特権をもって警視庁への同行を拒否し、出国してしまったのです。(海上自衛官は罰せられる)
このように「外交特権」を保有している人間がスパイ活動をし、更に本国が守ってくれたら容易に「お咎めなし」ということが出来るんです。
このケースではスパイ防止法があっても同様の形で「形無し」になる可能性は非常に高いです。
質問者:
国家ぐるみでやられたらどうしようもないという事なんですね……。
筆者:
しかし、法整備が全くないことは日本が「スパイ天国」といわれ「やりたい放題」になっている大きな要素の一つだと言われています。
先ほども申しました通り。技術流出が起き、日本の技術競争にとってもマイナスなことが多々起きているわけです。
そのために「スパイ防止法」が必要だ――というのが表向きの理由であるという事です。
質問者:
筆者:
僕はそもそもの話、政治家が善意で日本国民のために仕事をしているとは微塵も思っていないんです。
表向きには「国民生活のため」と称してはいますけど、実情起きていることは負担増と年金減で庶民は制度において幸せにならない状況なんです。
外圧からのLGBT法案(当事者すら反対した)、事実上の移民なのに移民政策ではないと言い張ったり、利権まみれの政策(カジノ利権、太陽光利権、大学天下りなど)国民のために一切ならないことをやり続けている人たちを突然信用しろというのが無理な相談だとは思いますよ。
唯一マシな部類な政策のNISAとて、「年金が足りないから自分で頑張ってね」と制度の失敗の責任を転嫁しているに過ぎないからです。
質問者:
確かに、官僚制度やいわゆる「裏金問題」だって「自分さえ良ければいい」みたいな雰囲気を感じてしまいますものね……。
筆者:
僕も当然ながら政府を信じたい気持ちはあります。しかし現状を分析すると、他国にある法案だから出来れば正常な国家に近づく――と諸手を上げて喜ぶことは出来ないという事です。
質問者:
でも、スパイをするつもりがない方からしたら捕まる危険性は無いのではないでしょうか?
筆者:
僕は日本の将来を憂いている立場で、「純粋に法案を受け取るのであれば」大歓迎して良いと思います。賛成されている方々も良い側面をプラスに捉え、自分がスパイとは無関係だから評価しているのだと思います。
しかし、問題は「スパイを認定する」のが国家側であるという事です。
自分がスパイをするつもりが無くても「これがスパイ行為だ!」と言動を認定してしまえば、捕まってしまう危険性や「この言論を言うとスパイと思われてしまうかも」と「言論の自主規制」してしまうリスクがあるという事です。
以下、具体的な内容のお品書きとしては、
〇 国が「自国民に対して情報操作」をする理由
〇 スパイをするつもりが無くても「誰でもスパイ認定」される構図
〇 「海外ナラティブ」と「政府ナラティブ」
〇 「緊急事態条項」と「政府ナラティブ」との組み合わせ
〇 国民はこれからどうしたら良いのか?




