表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『日本改造計画』

『日本改造計画外電』その漆<総統閣下と子作り>

作者: 桃太郎

 場所は、陛下より下賜された先日越したばかりの総統官邸である。

 今、私の護衛兼身の回りの世話をする者達が、全員揃っている。

 南風恵美奈はえ・えみな三等陸佐

 東風蝶華こち・ちょうか一等陸尉

 西風四万にし・しま一等陸尉

 北風一香ならい・いちか一等陸尉

「何の用かな。」

「私共全員よりお願いが、ございます。総統閣下。」

 代表して発言するものの、そこはかとない緊張をにじませる恵美奈だった。

「総統閣下の御子を授からせて頂きたいのです。総統閣下。」

「そんなものに何の価値がありましょう。否、私には視えませんね。」

「いいえ。この世界人類にとって損失です。総統閣下の遺伝子には、価値があります。」

「私には、今川氏真か、北条氏政か、ナポレオン三世ぐらいにしか視えませんね。

 それに、ただ単に遺伝子を保存するだけなら冷凍保存可能でしょう。」

「それでは、御子が生まれません。どうか、お願い致します。総統閣下。」

「そこまで言うなら、百人です。病気無、妊娠機能正常な女性のみ、百人用意しなさい。」

「でっ! では、百人全員と妊活さなると言うのですか。総統閣下。」

「私を誰と心得る。用意された女性全員に『種付け』は、しましょう。

 但し、条件が四つあります。」

「何でしょう。総統閣下。」

「一つ、相手の女性、子供の養育費は負担しません。

 一つ、百人用意されるまで、誰にも『種付け』しません。

 一つ、子供は、全員母親から離して児童養護施設で育てる事。

 一つ、相手の女性には、私の個人情報を一切教えない事。これが条件です。」

「かしこまりましたぁぁぁっ! 総統閣下。」


 * * * 


 確かに、生まれた子供が数人なら、例に挙げたような家を滅ぼした無能もあり得よう。が、百人ならどうだ。一人や二人優秀な奴もいるはず。むしろ、中途半端に優秀な奴らが、潰し合って真に優秀な奴が残る可能性もある。そう言う漁夫の利、運の良さも生存戦略の一環。

 これで、後世歴史の教科書に書かれるだろう。総統は、百人の女を要求した女好きだと。

 それもまた楽しからずや。


 * * * 


「だから私が、承諾すると言っているのです。相手の女性は、別途同意書を書かせる。

 特に問題は、ないでしょう。技術的、法律的にも。そこに本人の意思が加わる。

 重ねて言いますが、何の問題がありましょうや。」

「では、こちらの同意書にご署名をお願い致します。総統閣下。」

「……当然だな…………ん? 撮影するのか。私の遺伝子を出すだけですよ。」

「ええ。実験ですから。総統閣下の遺伝子である事を証明しなければなりません。」

「……空の容器を手に密室に入る。密室から出ると遺伝子が入っているでよいのですね。」

「駄目です。遺伝子を出す瞬間を撮影します。これは、あくまで実験ですよ。総統閣下。」

「……なら、コンドームの中に出しても問題ないのですね。」

「そうですね。むしろ不純物が混入するリスク抑制、問題ありません。総統閣下。」

「……同意書を検証したいので、暫し時間をお願いしますよ。」

「では、後日伺います。本日はお時間ありがとうございます。総統閣下。」


 * * * 


「人生には、みっつの『坂』がある。本当に、『まさか』だ。よく百人集めましたね。」

「お褒めに預かり恐悦至極にございます。総統閣下。」

「褒めていませんし、褒めるべきでもありませんし、褒める理由もありません。

 で、私の出した条件、相手の女性から同意書を取り付けていますね。全て。」

「はっ。全てつつがなく完了し、添付資料として保存しております。総統閣下。」

「あぁ……これですね。タッチパネルは、操作性がよろしくないですね。

 ほぉ……私の指示通り、『犯罪者』を混ぜましたね。結構々々。」

「しかし、宜しいのでしょうか。『犯罪者』の子供など。『蛙の子は蛙』とも言います。

 折角の総統閣下の遺伝子を『悪用』されかねません。ご再考なさっては。」

「ご存じない。『犯罪者』の直径子孫は、優秀に育つ傾向にあります。

 かの有名な『郵政民営化総理』も、元を正せばヤクザの息子だったそうです。

 それに、『悪用』など誰でもやります。『犯罪者』に限った話ではありません。

 只単に『犯罪』と言う形にできたか、否かでしかありません。早速準備しなさい。」

「しかし、『犯罪者』の子供ですよ。ご再考なさっては。総統閣下。」

「復唱しなさい。」

「はっ。『試験管ベイビー作成の為総統閣下の遺伝子を取り出します。』

 以上、復唱致しました。総統閣下。」


<END>


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ