技の領域
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型稽古をやって、久々に自分の体がどうやって動くのかを真剣に考えていた。……今の状態で、負ける未来が見えない。もうちょっと調整しないといけないだろうが、そもそも集中すればするほど、思考が加速していくと言う事に気が付いた瞬間、カチッと何かに嵌まった気がした。そして、集中力を極限まで上げていくと、素粒子までもが見えてしまう。時間の流れが遅くなる感じがするんだよな。なんというか、思考が加速したまま、時が止まっている感覚なんだよ。
で、そんな事をしていたら、ストレージの悪用方法を見つけてしまった。なんというか、偶然だったんだけど、悪用方法が見つかった。始めは素粒子の性質を調べていた訳なんだよな。そうすると、魔力まで見える様になってきたんだ。魔力は素粒子の1つであり、何故か知らないが、人間や動物の体に引き寄せられるらしい。まあ、それが解って何なんだよって話ではあるんだけど、素粒子が見えると言う事は、光も見える訳だ。光子としての素粒子が確認できる。……これがストレージの中に入っていったのだ。光子はストレージの中に仕舞える。と言う事は、明かりを出すことが可能になると言う事でもあるんだが、使い方次第では面白い事になるだろう?
と言う事で、ストレージに光をどんどんと収納した。そして、束になる様に光子を集めていった。……単純に考えて、レーザー光線が撃てるようになってしまったと言う事である。かなりの時間を要する。……いや、実時間は数分なんだが、精神的に時間が伸びる様に錯覚しているからな。1つのレーザー光線を作るのに、体感5時間くらいの時間が必要になる。そもそも光子を目で終えるということ自体が異常事態だ。集中力を上げていけば、光子よりも時の流れが遅くなる。……真っ暗な空間を認識できるようになるぞ。無数の光子が見える光景になる訳だ。そんなはずがないとは思うんだが、俺の脳はそうやって認識してしまっている。
威力は試してみない事には解らないが、ドラゴン相手には流石に効かないだろうとは思う。それだけの威力は無いとは思うんだよな。……だが、人間には脅威だと思う。レーザーで一瞬で頭を撃ち抜かれたら、それこそ一巻の終わりだ。バウンティに対しての切り札になることは想像できてしまった。これを使えば、精神的にはかなりの負担にはなるが、確実に人間を処理できる。残弾は無限にある。光子なんて無限に存在している。それが集束してレーザーになるのだ。脅威でしか無い。実用化に向けて、1日に50発ずつ作っていった。それでも十分だとは思ったからな。
そして、ある程度慣れたと言う事で、外での狩りを解禁した。まあ、始めは当たり前だが、デカレントの周辺で狩りをして、身体を慣らしていった。だが正直、集中すれば、時間が伸びると言う事を認識した結果、周辺の魔物では相手にもならなくなってしまった。と言う事で勢いよくオレイルまで移動して、そこでドラゴン相手に何処まで通用するのかを試してみた。
結果は、ドラゴンでは相手にならないことが判明した。動きが手に取る様に解るんだ。次に何をしようとしているのかまではっきりと認識できる。半分くらいは未来視出来ている感覚に陥った。身体をこう動かしているから、こうなるだろう。魔力がこう動いているから、こうなるだろう。それが全部解るのだ。これはやばい。色々とやばい。出来ていい事と悪い事がある。決して悪い事ではないが、出来ると異常なまでに強くなる。いや、そういう次元の存在ではないのかもしれない。一種の化物になった様な感覚があるんだよ。
「なあ、やばくねえか?」
「ああ、やばいな。始めはどうなるかと思ったが、自分の体の使い方が解るとやばい」
「ホンとそれな。なんて言うか、ドラゴンが相手にならないんだよ。今までは狩りの相手って感じがあった。浮遊のマントや空駆けの靴を装備していても、負けるかもしれないって感覚はあったんだよ。それがまるでなくなった」
「ドラゴンが狩りの対象から、雑草になるとは思わなかった。しかも、俺も感じているんだが、本領は発揮できていないような感じがするんだよな。そう感じねえか?」
「それは解る。まだ先の強さがあるんじゃないかって錯覚するよな」
「……いや、錯覚じゃねえだろ。今の俺たちは、まだまだ弱いって事なんだろうさ」
「……だよなあ。そう感じるよな。体の使い方が下手なんだろうな。まだ先があるって、目が教えてくれている感覚があるんだよな」
「な。ホンとそれ」
色々と語彙力が失われた会話だったけど、それで俺たちは通じ合ったからな。この目を持ってしまえば、ドラゴンは通過点。雑草でしかない。まだまだ高みの存在が居るんだって認識できてしまう。それ故に、慢心が起きない。強いのは解っている。だけど、まだまだこんなものじゃないというのが認識できてしまうんだ。これでは慢心なんて出来やしない。まだまだ先があるんだから。見えるだけで、ここまで変わるのかとは思うが、見えるからこそ、変わるものもあるんだなってのが解った気がする。
「でもなあ。なんだか違うんだよな。強くなるって感覚はあるんだけど、なんか違うんだよなあ」
「解る。強いのは確かなんだよ。でも、何かが決定的に違うんだよな」
「上手く言えねえけどな。認識が変わったせいなんだろうか?」
「さあなあ? 俺も何が言いたいのかは解るけど、どう違うのかは解らねえからな。なあ、言語化出来ねえか?」
「……いや、俺も無理だな。だが、その道の達人よりは強くなったと思う。けど、達人を超えられていないって感じがするんだよな。なんというか、道が続いてないというか」
そうなんだよな。合気道の型稽古をやっていてそれは常々思ってきたことではあるんだよ。身体能力がどんどんと向上していくのが解る。だけど、それ以上に、決定的に違うというのが解ってくるんだ。なんといえば良いのか。……いや、そうか。
「言語化するなら、技、だな。俺たちの強さには技がない。そりゃあどんな敵でも圧勝できるだけの強さが身についたと思う。けど、まだ先がある様に見えるのは、技が足りないからだ。剣を振るという単純な行為に対しても、身体をこう動かせば良いっていう型が存在する。それを完全に身に着けていないから、最適な動きが解らないんだよ。それが解らないのに、体だけが強くなりすぎた。目が良くなりすぎた。だから、最適な動きが見えてしまう。今の動きが不十分なものに感じてしまうんだ。もっと上手く身体を動かせるはずだってな」
結局は、小手先だけの力でどうにかしていると言う事なんだろうとは思う。確かに身体的には強くなったんだろう。だが、達人の域にある技には勝てない。勝負すれば勝てる。だが、達人も同じ目を持ってしまえば、俺たちは勝てなくなるとは思う。それが自分の目で認識できてしまうんだろうとは思う。余りにも見え過ぎるがために、最適な動きではないと認識してしまう。
「この目を持ったことで、最適な動きが解るようになるわけじゃない。それを日々研究していくしかないんだろうな。俺たちは、まだまだ強くなれるって事だ」
「なるほどな。技、か」
「しっくり来た気がするな」
「まだまだ強くなれってか。俺の目がそういっている訳だ」
まだまだ強くなれる。そういう気がする。技を獲得するには、かなりの時間が必要だとは思う。目指しても良いのかもしれないな。久々に道に戻ってきた気がする。技を極めて見るのもいいかもしれないな。




