第4回難民キャンプ会議
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「えー、第4回難民キャンプ会議を行いたいと思います。いつも集まって貰って感謝をしております。それでは、ロレンの方から説明をさせますので、とりあえずは聞いてもらえればなとは思います」
「任された。それでは説明する。とりあえずは、難民がこれ以上押し寄せることがない事までは確認している。だが、折角建てた家の殆どを使ってしまっているのが現状だ。今回建てていた家は、町村の難民を収容するためではなく、向こうの都市の難民を受け入れるものだったんだよ。それがこのように使われてしまった。このことは大きなマイナスになる。……正直な話、町の人々はまだいいんだ。村の人々は、そもそも農業しかやったことがない人が大半なんだよ。こんな場所で農業が出来る訳も無く。単純労働をさせるだけになってしまう。それでは問題なので、採取系の冒険者に、採取の指導をお願いしている所ではある。が、身に付くかどうかは解らない。同じ植物だから、農業をやっていた関係で、採取が得意な人も出てくるかもしれないが、今まで農業しかやってこなかった人材たちだ。今後もどうなるのかは解らない。今までの農家は、何とか単純労働でやっていけるだけの人数だったが、今回はそうもいかない。それだけの人数が難民化してきていると言う事だ。一応だが、領主様には伺いを立てて、難民ではなく市民として受け入れてくれないかと打診はしてみたが、無駄だった。辺境伯家としては、今回の難民も、バウンティが終われば、農村に戻したいという事を言っているらしい。その方針で動くので、バウンティが倒されなければ、農村に戻れないって事になる。ここまでは良いかな？」
それは問題ない。いや、大きな問題はあるんだけど、早々に難民として受け入れろと言われている訳だ。まあ、想定の範囲内ではあるんだけどな。こうなるだろうとは思っていた。過去の言動から、こうなるんじゃないかってのは予想が出来るからな。難民として扱えってのは当然の話である。
「続きだが、その難民が出たと言う事は、向こうの都市にも悪影響が出てきていることと同義になるんだよ。半分の場所が使えなくなったんだから、食料なんかも足りなくなってくる可能性がある。だから、難民キャンプを切り捨てる可能性も出てきた訳だ。そうなってくると、前の会議でも話していたように、難民がここに押し寄せる可能性が一番高い。向こうの難民キャンプが、複数に別れてくれるのであれば、問題は少ないのかもしれないが、何処の難民キャンプも限界ギリギリの生活をしている。ここくらいなんだよ。まだ元気な難民キャンプは。まあ、ここが元気過ぎるって事もあるんだえけど、余裕のある場所に行こうというのが自然な流れだ。この流れはもう止まらないと思ってもらっていいとは思う。難民キャンプの人間たちがこっちに向かってくるだろう。下手をすれば、都市の人々も難民になって此方にやってくる可能性が出てきた。それはなんとしてでも避けないといけないため、此方でも何かできないかと対策を考えていたんだが、難民を減らす為には1つの作戦がある。それはバウンティを討伐してしまう事だ。……賞金稼ぎを何人も返り討ちにしている訳なんだが、此方の冒険者だけで勝てるのか。それを考えて欲しいと思う」
「……冒険者だけでも勝てるのかどうか、なんだが、勝てない訳ではないとは思う。ただし、冒険者を全員動員させて欲しい。正直、弱い冒険者は足手まといにしかならないんだけど、それは向こうだって同じの筈だ。碌に戦えるのは2人か3人だと思っている。それ以外の雑魚をどうにかしてもらえない事には、こっちだって物量で負ける。というか、この際だから、辺境伯家と子爵家、そして、向こうの難民キャンプの戦力を合わせて、一気に攻勢をかけるのはどうなんだ？ それが一番やって価値のある作戦だとは思うが？」
そもそもの話、誰が討伐しようが同じなんだよ。だから、誰もが討伐したって事にすれば良いんだよな。全軍で潰せばいい。物量作戦を行えば良いんだよ。無敵の個の力はあり得ない。必ず隙が出来る。玉砕覚悟で突っ込むやつも必要になって来るとは思うんだけど、それでも負けるよりは確実だと思う。確かに犠牲は多く出るとは思う。それを許容するのが貴族なんじゃないのか？ 犠牲も許容できないってなると、結構厳しいと思うんだけど。こっちだけの戦力でも出来ないことはない。だが、問題はこっちの戦力も減ると言う事なんだよ。減らない訳がない。こっちの冒険者だって、対人戦闘が得意な人間ばかりって訳ではないからな。
「残念ながら、辺境伯家も子爵家も動く気は無いらしい。賞金稼ぎに任せるそうだ。……まあ、弱い人間が何人いても、強い個人に勝てるとは思わないんだろうね。勝って汚名をそそぐよりも、面子をまた潰される方を恐れている訳だ。正直、面子なんてもう無いんだから、徹底的に消耗戦を仕掛ければ良いんじゃないかなとは思うんだけど、どうにも動く気配は無いらしいんだよね。残念だが、援軍は期待できないと言う事なんだよ」
「それじゃあ、向こうの難民キャンプの冒険者はどうなんだ？ こっちがバウンティの主の相手をするから、陽動や雑魚狩りを任せたいんだけど。はっきり言って、戦力は多い方が良い。冒険者なら連携も多少は出来るだろうし、向こうにもある程度の強さの冒険者が居るとは思う。そっちを引っ張ってこれないか？」
「それだったら問題ないとは思うけど、こっちでバウンティの相手が出来るかどうかなんだよ。それが出来ると断言できるのか。それが問題だろうね。出来ると断言が出来るのであれば、交渉にはなるとは思う」
「出来る。そういうしかないだろう？ こっちも出来るかどうかは未知数だ。何処までの化物なのかは解らないからな。仮定として、ドラゴンよりも強いとしてだ。それが何処までなのかっていうのはあるだろう？ まあ、ドラゴンよりも強いのは当たり前だとは思うんだが、それでも、こっちにもドラゴンを倒せる冒険者は20人近く居るんだ。刺し違えてでもとやれば、何とかなるとは思う。だから、出来ると断言してもらっても良い。出来ない場合は、全滅しかない訳だが」
「……解った。相応の覚悟があると言う事で、話はしておこう。こちらも冒険者に全ベットしないといけないって事だね。出来る限りの事はやらないといけないって事は解った。作戦を考えよう。無策で話を持っていくよりも、作戦があった方がいいだろうからね。暫く残ってくれるかい？」
「それは勿論だ。全力を尽くすしかないと思っているからな。……それよりも、バウンティの場所が問題だ。その拠点の場所は解っているのか？」
「ああ、拠点の場所は既に調査が終わっている。あそこにあることは確定しているから、それは問題視しなくても大丈夫だ。後は勝てるかどうかの話になるんだ。勝てる確率は、どのくらいあると思っているのか教えて貰っても？」
「相手の出方次第ではあるけど、30％だと思う。そこから如何にして確率を上げられるのかって所の勝負だと思うんだ。分の悪い賭けだが、やるしかない」
勝率は99％でも信用してはいけない。100％と0％以外は信用してはいけないんだ。逆説的に言えば、紛れはあると言う事でもある。こちらの戦力でも勝てる見込みはあるって事なんだよ。まあ、戦力の分析が出来ている訳ではないからな。こっちが圧倒しないといけないって訳でもないんだ。苦戦してでも、最後まで立っていれば、それは勝ちなんだよ。
