第3回難民キャンプ会議
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「第3回、難民キャンプ会議を開催したいと思います。司会はいつも通りエメラリアが担当します。よろしくお願いします。今回の議題も、解決できるとは思っていませんが、共有しておかないといけない事だとは思いますので、ロレンの方から説明させます」
「それでは説明する。領主から幾つか言われていることではあるんだが、難民キャンプの冒険者が、この都市の冒険者よりも優秀過ぎると言葉を貰っている。多くの冒険者がウルガーラやオレイルに向かっているのを見て、少しばかりおかしいのではないかと言ってきている。まあ、おかしいのは承知しているんだが、そもそもそんな事を言われる筋合いがない。冒険者の質を向上できないのは、全部デカレントの問題で、私たちの問題ではないからね。難民として冒険者を受け入れるのであれば、喜んで受け入れるとは言ってあるんだが、それは拒否してきているからな。向こうでは必要ないのかもしれないが、こちらでは有用な冒険者なのかもしれない。だから、難民として受け入れますよとは言ってある。まあ、無駄な訳なんだが。そもそも、冒険者が難民になりたいとは思わないだろうからな。難民になれば、強制的に資金を回収されてしまう。……言っては悪いが、それが嫌な連中は、既に移民として何処かに行ってしまっているからね。今更の話ではあるんだよ。本来であれば、冒険者は自由の筈なんだけどね。まあ、それは言っても無駄な事だから」
「冒険者の質はそれほどまでに違うのか? 逃げてきた冒険者もそこまで強い訳ではなかったんじゃないのか? 採取を主にやっている奴らも居るんだし、そこまで質がどうのこうのと言う事は無いんじゃないのか?」
「いえ、建前はそうなんでしょうけど、問題はドラゴンやワイバーンを倒せる冒険者が、難民キャンプに居ると言う事が気にくわないだけじゃないですかね? 特にドラゴンなんて、冒険者の上澄みの上澄みな訳です。それが、たかがとは言いたくはないですが、難民風情がドラゴンを討伐するなんてって感じじゃないですか? ドラゴンの素材は僕も扱ってますからね。商人としては有難いとは思いますよ? ドラゴン素材は基本的に高値ですから」
「そう言う事だ。単純に、難民がドラゴンを倒せるのが気にくわないと言ってきているだけだ。そんなものは、冒険者の実力であって、こちらが関与する事ではないというだけの話だな。まあ、一部装備が良いのは、こちらも知っていることではあるが、それに関しては、この土地で取れたものを利用してこちらが作っている物でもある。つまりは向こうでも作れるものなんだ。それの努力を怠ってきたのは向こうの責任だし、私たちには何も問題はない。出来ることを出来る限りやっているだけに過ぎないんだよ。まあ、過剰であるとは認めても良いとは思うが、別にとやかく言われる筋合いは無いと言う事なんだよ」
まあ、当然だよな。向こうが何か言いたいのは解る。それだけの装備がこちらにはあるんだから。それでも、それは向こう側の怠慢なんだよ。こっちでは出来ているのに、向こうでは出来ないなんてことは無いからな。……一部、天才の仕業だと言う事は置いておくとしてもだな。出来る限りの事をやれば、少なくとも竜鉄は出来ると思うんだよ。結局、あのドラゴンの素材を使った鉄の名前は竜鉄と言う事になった。まあ、順当なネーミングだとは思う。何をしたのかは、名前で判断できると思うから、真似したければ真似すれば良いとは思う。
それ以外は真似できるのかどうかは解らない。浮遊のマントや空駆けの靴に関しては、実物があっても真似できるとは思えないんだよな。作り方をしっかりと説明しないといけないものの類だとは思う。でもまあ、それに関しては研究をサボり過ぎた向こう側にも問題はあるんだよ。こっちはこっちでしっかりと研究した訳なんだし。時間があれば、向こうでだって開発できるはずなんだよ。こっちには例外が居たから、圧倒的な早さで出来ただけで。
「冒険者から言わせてもらえば、向上心と行動力があれば、ある程度は強くなれると思うんだがな。そもそもこっちの難民の冒険者は、基本的に休みを返上して冒険をしている訳だ。それだけの密度で魔物を倒している。魔物を倒せば、身体能力なんかも向上していく。それをサボっている冒険者が悪いのであって、こちらの冒険者に難癖をつけたところで、冒険者のサボり癖を治さない限りはどうにもならないとは思うんだが。そもそもの話、他の装備に関してはしょうがないかもしれないが、竜鉄くらいは自分たちで開発できたと思う。それだけの素材があったんだからな。それの開発が出来ていない時点で、生産職もサボっているのは当然の話だ。研究も碌に行っていない証拠なんだよ。それをこっちのせいにされても困る。怠慢は向こうの責任だ。こっちはやることはやっているんだよ。だから結果になって現れているだけなんだ。それだけの話だろう?」
「まあ、そうなるよね。冒険者からすれば、サボってないで魔物を討伐しろって話になるのは当然の事だと思う。こっちからも同じことを言い返したからね。それが嫌なら、こっちを市民として受け入れろとは交渉してみたんだけど、それについては絶対に出来ないって言われているからね。まあ、辺境伯家から圧力があるんだろうとは思うけど、それにしても、排除するのは無理だと思うんだよね。そもそも、火山の活動が何時になったら終わるのかって話もあるし。この間も大きな地震があったけど、あれもメギル鉱山の関係なんじゃないかって言われているしね。調査はまだだけど、結果は50日くらい後で出てくると思う。そのくらいには調査員が帰って来るとは思うからね。十中八九、メギル鉱山が原因だとは思うけど。あんなに大きな地震だったんだ。メギル鉱山では、何処まで大きかったのかは解らないよ? 少なくとも、私たちの世代は帰れないだろうね」
「まあ、そうなるわな。俺たちの世代は帰れない。孫の世代でも帰れないんじゃないか? 下手したら、ここが故郷になってからの移動って事になるかもしれねえ。そんなのはもう、難民とは言えんだろう? ここに住みたいって思うんじゃねえかな。ここも立派な街になったしな。まあ、作ったのは俺たちなんだが。このまま住んでもいい街を作るつもりで作ったかんな。それくらいは許してくれても良いとは思うんだが」
「でも、辺境伯様は許さないんでしょうね。僕たちも、こっちの方が商売はしやすいとまでは言いませんけど、少なくとも慣れてしまいましたからね、この環境に。商売としてはやりやすいですよ? 競争相手が居ませんから。少なくとも、難民キャンプの商会は、皆仲間ですからね。敵が少ない状況では、商売はやりやすいですが、同時に、今度は移動できなくなるとは思います。このぬるま湯を知ってしまうと、競争とはいきませんからね」
ああ、商人としてはそういうデメリットもあるのか。競争相手が居ないってのは、確かに商売としてはちょっとなあ。競争がないと、健全ではないよな。皆仲間なのはそうなんだけど、それじゃあ1つの商会に纏めてしまった方が良いんじゃないですかって言いたくもなってくる。それじゃあ駄目なのかもしれないけど、いうだけなら簡単なんだよな。難しい判断ではあるか。このぬるま湯から一度も出たことがない商人が何処まで通用するのかって話もあると思うし。まあ、生き残りをかけて勝負をしてもらわないといけないから、次代は大変だとは思うな。




