装備品がやばい
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「おい、レイウードよ。あれは、やばいな。こう、なんと言ったら良いのかわからねえが、やばいな。語彙力が無くなるくらいにやばいものじゃねえか？」
「……どれの事だ？ まあ、全部なんだろうが」
「全部だな。なんだあれ？ 浮遊のマントは便利すぎる。全力でジャンプしても足を挫くことはもう無いと思う。それに空駆けの靴が合わさったら、まあ、酷いことになった。今まで苦労してきたグレアワイバーンを圧倒する様になった。機動力が違い過ぎる。圧倒だぞ？ 普通は人間は空を飛べねえ。だが、俺たちは空を飛ぶというか、駆ける事が出来る。そうなってくると、空を飛ぶ魔物の難易度が根本から変わってくる。それなのにだ。あの武器のせいで、ドラゴンまで余裕になったんだぞ？ 切れ味がおかしいとか、色々と言いたいことはあるんだけどよ。1つ1つがやばいのに、揃っちまったら、俺たちは強さを誤認するぞ？ 道具ありきの力が本物だと錯覚しちまう」
「……まあ、言いたいことは解る。だが、武器はともかく、浮遊のマントと空駆けの靴については、グレアワイバーンまで辿り着いた奴らしか渡してないからな。それなりの強さというか、この町でも最強とまではいかないにしても、準最強クラスの戦闘力を持っている奴らにしか配布していないからな。強さを誤認する様な奴には配布されていない。まあ、武器については配布されているから、時間の問題なのかもしれないが、まだ大丈夫だろうとは思うぞ？ 先駆者が追いかけてくる奴らの指導をすれば良いと思っている。まあ、俺は少しばかり向いていないと思うから、そっちがやってくれれば良いとは思うが。あれがあるだけで、空中戦が出来るようになるのと同時に、地上の魔物から簡単に逃げられるようになるからな。実力を誤認してもしょうがない品物だとは思う。……だが、作れてしまったものは仕方がないだろう？ そこはこの難民キャンプの技術力を褒めてやったらどうだ？」
「褒めるのは褒めるさ。……だが、過ぎたるものは身を亡ぼすぞ？ まあ、それなりの実力の奴らにしか配らないってのは正解だ。あれがあれば、実力は5段階は飛ばせる。武器だけでも2段階くらいは飛ばせるとは思うが、全部集まったら5段階は飛んでしまう。まあ、厳重に管理はしないといけないわな。簡単に渡していいものじゃない。……つうか、あれを魔法使いが使えるとなったら、本格的にやばいと思うんだよなあ。空から魔法を撃たれたら、どうしようもないぞ？ 俺たちがドラゴンとまともにやり合えなかった理由がそれだからな。ブレスをどうやっても、な？ それが頭の良い奴が使えば、色々と出来るぞ。幸いにも、ここには魔法使いが居ないが、居たら酷いことになっていると思う。安全が確保された場所から、一方的に攻撃が出来るんだからな」
「まあ、そうだろうな。魔法使いがどれくらいの魔力を持っているのかにも寄るんだろうが、魔力が無制限にあるのであれば、安全な場所から攻撃が出来るよな。それは俺たちにも言えることではあるんだけど。安全地帯で休憩が出来るからな。それの恩恵もデカすぎる。今までとは戦略が変わってくるからな。悪用はしてくれるなよ？」
冒険者の一部にも、例の2つを装備させている。まあ、目に見えて成果が上がっているんだよな。俺にこの話をしようと思うくらいには、思う所があったんだろう。まあ、言いたいことは解るし、使い勝手も良いから、無暗に要らないとは言えないとは思うんだけどな？ 成果が10倍以上になるからなあ。今までの狩りとは効率が違う。そもそも移動力が違うから、一気に山脈を駆け上ることが出来るんだよ。それだけでもかなり違うんだよな。
「まあ、こっちは自重しないで使おうとは思っている。研究をするにしても、素材が欲しいだろうからな。ある程度効率化出来れば、需要は大きいと思う。特に建築現場では欲しいだろうな。今までは落下の危険性があったとは思うが、これがあれば、落下の危険性は限りなく無くなる。冒険者じゃなくても欲しい物になるとは思うんだよな。まあ、冒険者の方が恩恵は大きいとは思うが。余りにも出鱈目過ぎて、もう何も言う気が起きないんだけど」
「……ああー。確かにそういう面でも使えるのか。つうか、単純に移動するだけでも使えるんだよな？ 山脈を登るのに使っているが、平地でもかなりの速度にはなるだろうし。そうか。冒険者だけしか使わないのかと思っていたが、そういった需要もあるのか」
「まあな。色んな人が欲しい物だと思うぞ？ ……ただ、盗賊に渡ると面倒な事になるから、出来るだけ使える人を限った方が良いとは思うが。盗賊団が空を飛べるようになったら、非常に面倒くさい。それだけは避けないといけないとは思う。商人が安全に移動できないだけで、色々と終わるからな」
「それはそうだろうな。賊が飛んでくるだけでも面倒だろ。普通に相手が出来ないってだけでも面倒なのに。まあ、普及させたいってのは解ったけど、ある程度は制限をつけるんだな？」
「当然だろうな。相応の実力者か、それなりの仕事をしているのか。どちらかになるとは思う。後は、そもそもこの都市の連中には渡さないって方針になるとは思うんだがな？ 交易が禁止されているんだし、今更って話はあるんだが」
領主がそもそも交易を禁止しているからな。こっちの方が色々と品質が良いので、難民キャンプに客を取られてしまう事になると思うからだな。そうすると、産業的に死ぬのは確かなんだよ。今までの製品では売れないって事になるんだからな。特に冒険者向けの商品は特にだな。武器や防具にしても、薬や葉巻にしても。品質が難民キャンプの方が良いから、こっちで商品を買う事になるだろうとは思う。そうなると、価格破壊なんかが起こり、今までの職人たちが生活できなくなってしまう。それは領主としては避けたいことだと思うからな。
かといって、技術力の差を見せつけられるのも面白くないとは思うんだよなあ。技術と言っても、主に錬金術関連の話になるんだけど。ぶっちゃけ、天才が居たのが運の尽きって感じではあるんだけど。天才を放置していたらこうなるって典型例だからな。まあ、俺たちにとってはどうでもいい話ではあるんだけど、今後の事を考えるとな？ どうしてもこっち側にやっかみが来るだろうし。まあ、あの人がそれで懲りてくれるなんて思いもしないんだけど。出来ない方が悪いとか平気でいうとは思うんだよなあ。事実ではあるんだけど。
研究者が味方についてくれると、これほどまでに心強いというか、研究をする人間はちゃんと育てた方が良いんだよな。こっちだって素材を提供したり、色々とやっているんだからさ。研究は大事だよ？ 疎かにしていたら、技術格差が生まれるだけなんだよ。それを放置して良いとは思えないんだよな。確実に広がっていく差を、どうして行くつもりなんだろうな？ 難民キャンプが早々に撤退できるのであれば良いんだけど、無理だからな？ 少なくとも3世代くらいは帰れないから。火山の噴火ってそれくらいの影響力はあるんだよ。そんな直ぐに休火山になるとは思わない方が良いとは思うぞ。
辺境伯も何を考えているのかが解らないし。そもそも難民を手放せよとは思うんだけどな。どうせ帰ってってのは無理なんだし。諦めることも肝心だとは思うんだよな。今後、200年くらいは帰れないとは思う。そのくらいの覚悟は必要だと思うし、それだけの期間があれば、人口も増えると思うからな。移民を募ればいいだけの話なんだよ。
