クエスト品として納品
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「……凄いですね。これだけの量のドラゴンの素材を持ち帰って来るとは。これで、難民キャンプの最強の冒険者はレイウードさんになる訳ですが、その、少しばかり骨が多くないですか?」
「ああ、全部は倒したわけではないんですよね。骨は向こうの冒険者ギルドで貰ってきました。骨はゴミらしいですよ? こっちとしては有難いので、大量に貰ってきた訳なんですが。向こうはドラゴンの骨の価値に気が付いていないようです。こちらが優位に進められるとは思いますね。合金を作って、冒険者が強くなれば、色々と出来る事も増えるんでしょうし」
「……そうですか。ゴミにされているんですね。活用できると言う事は解っていますから、定期的に入手が出来そうですね。他にも色々と使えるものがあるかもしれませんから、こちらは解体して錬金術師の元に送ります。それでよろしいですよね?」
「はい。問題ありませんね。良い感じにドラゴンの素材を確保できたんですから、有効利用してもらわないといけないですし。これで、合金が完成すれば、色々と出来ると思うんですよね。特に苦戦している冒険者たちの助けになるかと思います。武器だけでかなりの違いが出てくると思いますので」
武器が強くなれば、かなりの助けになるだろうからな。ゴミとして捨てられている物から、有効活用できるのであれば、した方が良いんだよな。それが全体の層の厚さにもなるんだし。有難く活用させてもらおう。それが出来る錬金術師は揃っているんだ。何でもかんでも錬金術師に頼るのはどうかとは思うんだけど、そういう職業なんだから仕方がないよな。錬金術師は必要なんだよ。色々と出来ることが増えるんだよなあ。俺だって色々と考えては居るけど、出来る事ってそこまで多くは無いからさ。まあ、出来る事と言えば、ストレージの加護を使って、オレイルまで物資を届けるとかになるんだろうとは思うけど。
俺なら単独でオレイルまでいけるしな。物資の輸送という仕事も熟せるとは思う。他の冒険者の仕事を取ってしまう事になるので、許可が降りるかどうかが解らないけどな。この町の冒険者の美味しい仕事になっているとは思うし、出来ない可能性もある。利権になっている可能性も十分にあるんだよな。ドラゴンは倒せなくとも、オレイルに行くだけであれば、何とかなるって冒険者もいるとは思うし。そのくらいなら出来るって事だと思うんだよな。グレアワイバーンさえ何とか出来ればって冒険者は多くいるとは思う。彼らの収入源を潰すのはちょっとなあ。
でも、俺でも出来る事ってそのくらいしか無いんだよな。後は今回やったみたいにゴミを持ち帰るとかな。ストレージの加護は有効活用しないといけないとは思うんだよ。まあ、持ち帰りたくないものもあるんだけどさ。汚物は持ち帰りたくはない。ストレージが汚れることは無いとは思うんだけど、なんとなくだな。そういうのは良いかなって。俺じゃなくても他のストレージ持ちが何とかするだろうしな。嫌な事はやりたくはない。
「それと、クエストで他にやらないといけないことはありますかね? 何か急ぎのクエストがあるなら、何とかしようとは思いますけど、そんなのってありますかね?」
「いえ。今のところは急ぎのクエストはありませんね。冒険者の方々には、自由に活動をしてもらって、外貨を稼いでもらう事が重要になってくるのかなとは思います。外貨の流入が止まると、難民キャンプも止まりますから。出来れば稼げるだけ稼いでもらえる方が助かります。今回の様に、素材の持ち込みでも良いですし、お金でも構いません。とにかく色んなものが不足してくるはずなので、今のうちから準備をしておかないといけないとは思いますね。……でも、ドラゴンのお肉は硬くて余り人気では無いんですよね。噛むのにどうしても力が必要になりますから」
「ああ、それは解ります。オレイルでもそうでしたけど、かなり硬いんですよね。煮込んで食べないと厳しいかなって思うんですよ。そうすると、燃料がかかりますし、気軽に食べられるものではないとは思います。それしかないのであれば、食べないといけないとは思いますけど、他に食べるものがあるのであれば、積極的には食べなくてもいいのかなって感じがしますね」
ドラゴンの肉は硬いのである。食べにくいのである。なんか普通の物語だと、美食に入りそうな訳なんだけど、普通に考えたら、あんな動物の筋肉が美味しい訳がないんだよな。普通に筋肉の塊みたいな感じなんだよな。筋しかないって感じなんだよ。食えたものじゃない。美味しいのは美味しいが、それ以上に硬いんだよなあ。高級食材なのかもしれないけど、美味しくないものを積極的に食べようとは思わんね。冒険者は顎の力が強くないといけないって訳でもないんだし。
それとは別に、肉も錬金術で使えるんだろうか? その辺は知らないから、何ともいえないんだけどさ。錬金術って良く解らないんだよな。何かを変換するのが錬金術なんだろうかね? それとも、何かを合成するのが錬金術なんだろうか。詳しい事は加護を持っていないと解らないのかもしれないけど、普通に出来る事とは違うとは思うんだよな。色々と作れるのは良い事だとは思うけど、何を作りたいのかはっきりしないと錬金術でも作れないとかあるんだろうか。
「そういえば、レイウードさんを呼んでいましたよ? エニュール商会の商会長さんが。何か実験品を預かったらしいですが、会う機会が無かったので、渡すことが出来ないって言っていましたし。錬金術師さんから何かを預かったらしいですよ? 特に変わったものではないって聞いてますけど、何なのかまでは解らなかったものですから」
「んー。信用は出来ないですよね。ここの錬金術師さんの普通がどの程度なのかって疑問はある訳ですからね。普通と言いつつも、異常な品物を出してくる可能性は十分にありますし。まあ、一応は貰ってきますけど。とりあえず、ありがとうございます」
「いえいえ。こちらも良く解らないので。実験品とは言っていましたけど、普通の物らしいですよ? 詳しくは知らないですが。なので、常識的な物なのではないかとは思うんですが……」
「いえ、常識的なものではないとは思いますよ? 実験品って事は、今までに無かったものになりますからね。確実に異常な物を作っているとは思います。何なのかは知らないですけど、確実に面倒なものを作ってくれたと思うんですよ。そのくらいは信用しても良いとは思いますね。……多分ですが、グレアワイバーンやドラゴンの素材を卸されているんですから、それらを使った何かなんでしょうが、想像が出来ないのが怖い所ですね。普通の冒険者でも使える品であれば良いんですけど……」
ぶっちゃけ怖い。何が出来上がるのかが怖すぎる。まあ、碌でもないものが出来上がるのは、解り切っているんだけどな? 実験品なんてそんなものなんだよ。こちらが思っても居ないような物が出来上がっているに違いない。何が出てきても驚かない様にしないといけないとは思うんだけど、多分だけど驚くことになるんだろうなあ。一体何を作り上げたんだろうか。それが問題である。
冒険者に使えるものだと嬉しいんだけどな。汎用的な物なら嬉しいが。予想を軽く裏切って来るとは思うので、それの準備だけはしておかないといけないとは思うけどな。俺が予想できるとすると、グランドドラゴンの何かから、異常な道具が出来たとか、そんな所だろうとは思うんだけど。




