会議の締めにバウンティ
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「それと、少しばかり困ったことも発生している。今回のバウンティなんだけど、かなりの規模になってきているらしくてね。なんでも300人から400人の規模に成長してしまっているらしい。既に何人かの賞金稼ぎが返り討ちにあったという噂が入ってきている。しかもそれらが、南下してきているらしいんだよ。あの辺一帯では食料が確保できないから、バウンティがこっちに近づいてきているという情報が入った。まあ、まだこっちまで来ることは無いとは思うけど、商人たちには十分注意してもらわないといけないとは思う。情報はなるべく仕入れるつもりではいるけど、そちらも常に新しい情報を求めて欲しい。こっちまで来られると、本当に困ったことになるからね。出来る限りの事はやらないといけなくなってくる。正直、賞金稼ぎがやられるなんて滅多な事では無いんだけど、その滅多なことが起きているのが現状だ。バウンティの金額も相応にして上がっていくから、今後は賞金稼ぎたちが組むことにはなるとは思うんだけど、警戒しておくことに越したことはないからね。それも頭に入れておいて欲しい」
「……商人としては怖い所ですが、幸いにして、まだ遠いと言う事で。護衛依頼は必要ないのかなとは思うんですが、そもそもバウンティ相手に護衛が役に立つのかが不明なんですよね……」
「……正直無理じゃないか？ 加護に恵まれた奴らが積極的に賞金稼ぎをやっているのに、加護に恵まれなかった冒険者が勝てる未来が見えない。やってやれない事でも無いのであれば良いんだろうが、そもそも不可能な可能性もある。その辺はどうしたら良いんだ？」
「バウンティの場所が特定できたら、難民キャンプ全体で攻略するしか無いだろうね。その時は他の賞金稼ぎも近くにいるだろうから、それらを雇いつつって事になるとは思う。まあ、心配しなくても、賞金稼ぎたちが何とかするだろうけど、何ともならないってなった時には、ここの冒険者の力を借りると思ってくれれば良いかな。……無暗に冒険者に死ねとは言えないんだけど、生存がかかってきた場合に限って、そう言う事をやって貰うつもりで居るから。余程の事が無い限り、バウンティ相手には動かないと思ってくれていい。こっちで対処するよりも、賞金稼ぎが何とかしてくれることを願おう。それ以外では、手を出さない方向で行きたいとは思う。それに関しては領主とも話はしてあるからね。積極的には動かないってさ。こっちにも動けというつもりは無いらしいし。……もっとも、領主的には、賞金稼ぎが解決するだろうと楽観視をしているだけなんだけどね」
楽観視は駄目だろう。最悪の事態を想定しておかないと。まあ、ここの領主は無能と言う事で良いんだろうな。こんな良い立地の都市なのに、まともな貴族を着けられないこの国って一体何なんだろうとは思うが、前世もそう変わらなかったからなあ。それについては何もいうつもりはない。そもそも優秀な人間が貴族になる訳ではないからな。世渡りが上手な奴がなったりするだけである。本当に有能な奴は、貴族をとっくに辞めているって話になるのかもしれない。まあ、そうではないパターンもあるんだろうが、望み薄だよな。
「なあ、賞金稼ぎがどうのこうのって言っていたが、それなら盗賊の類はどうなんだ？ それも一緒に南下してくるんじゃないのか？ 結局は一緒の組織って感じがするんだが……」
「盗賊に関しては、各方面に散らばったから、南下してくるだけでは無いとは思う。ただ、今後は気を付けて貰わないといけないかなって感じなんだよね。盗賊団も来る可能性は十分にあるし、他の都市で止めてくれる可能性も十分にある。ただ、頭の片隅には置いてもらいたいって所かな」
「商人としては、これ以上ないくらいに怖い事ですが、かといって常に護衛を雇い入れる訳にはいかないでしょう。冒険者にも活動をしてもらわないといけませんし、その方が利益になるのですから、常に護衛を雇う訳にはいかないでしょうね」
「人材が多い訳でもないからなあ。所詮は難民キャンプなんだし。大きな都市の冒険者に比べたら、層は全然だしね。上位層も居るけど、少数しか居ないし。難しいけど、商人の皆には、我慢してもらうしかないのかなって思いますね。ずっと護衛を着けている訳にはいかないだろうし、そんな冒険者だけって訳でもないからなあ」
護衛依頼を受けたからと言って、戦力になるとは限らないし、まだまだ盗賊の類は少ない。100回商売に行って、1回でも遭遇したら多いという程度には、内部は安定しているんだよ。大体が外に向かっていくんだしね。この辺では盗賊団なんて見かけないはずなんだよ。それに当たったら運が悪かったってレベルを超える。最悪だったまで行くと思う。まあ、普通は盗賊被害になんて会わないんだから。
「今回の会議はこんな感じですか？ 特に大きな話は終わったって感じで良いんでしょうか？」
「そうだね。今回の会議で言っておかないといけないことは、これで終わりかな。とりあえずは、冒険者の受け入れと、難民の証を作ること。バウンティが南下してきているらしいって事くらいだね。後の事は些事だから、こっちで対処するよ。まあ、悪い様にはしないつもりでは居るけど、そればかりは解らない事だからね。領主が余りにもあれだと、お話にもならないし。まあ、その気が無いとは言えないんだけど、どうも辺境伯家からの圧力が強そうだって感じかな。まあ、現状は特に変わり無しって感じだと思う。また何か大きな事があったら、共有するから」
「今日は集まって貰ってありがとうございます。それでは解散と言う事でお願いします。ただ、エレンさんは少しばかり残ってください。バウンティの情報に関してと、商業ギルドには話を入れたいので、明日、同行してくれると助かります。今後は商業ギルドを頼れるとは思います。流石に商業ギルドも見過ごすことは出来ないと思いますので」
「そうですか。解りました。明日に商業ギルドに行くための打ち合わせと言う事になるんですね」
バウンティが南下してきているのはちょっと困るな。賞金稼ぎが勝てないレベルの相手だと、本気で不味い。それだけの戦力がいるって事になるからな。下手をすれば、都市相手に喧嘩を売れる戦力があるって事になるんだよな。そんな盗賊団はごめん被りたい所なんだけどなあ。こっちに来ないでほしい。もっと手前で止まってくれないものなのかね？ 情報が入り次第教えてくれるんだろうが、出来ればこっちには来ないでほしい。対処できないだろう？ 多分だけど、色々と限界突破した奴らが多いんだろうし、俺も何も出来ない内に負けると思うんだけど。そんな事にはなりたくないから、出来れば、相手をしないでも良い様にして欲しいとは思う。
そのための賞金稼ぎなんだから、負けないでほしいんだよなあ。賞金稼ぎで組んで、一網打尽にしてくれることを願っている。マジで。こっちには来ないでほしい。俺が前線で戦うなんて嫌なんだが？ 加護がストレージなんだから、戦えない訳ではないんだけど、それにしたって、戦闘用の加護を貰っている連中とは戦いたくないからな。普通に生きていきたいだけなんだがなあ。
こうやって難民をやっているのも、本当は辞めて欲しいんだけど。さっさと都市の住民にしてくれとは思う。どうせ火山活動なんて直ぐには終わらないんだから、諦めて都市の住民にしてくれよとは思うよ。辺境伯も何を考えているんだろうな。本当に解らない。
