ドラゴンで合金
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冒険者たちが積極的にレーベン山脈を登り始めたお陰で、資金面ではかなり安定してきている。特にウルガーラで活動できるだけの冒険者が居るのが大きい。冒険者の質も中々な感じなんだよな。これでメギル鉱山に居たんだから訳が解らない所ではあるんだが。こっちの方が稼げるよな？ 連絡手段だったり、そもそもどれだけ稼げるのかが解らないからってのもあるんだろうけどな。
「それで～、合金には出来るのよ～。配合が特殊だけど～、出来ないことはないのよ～。今は～、最適な配合を求めて～、試行錯誤をしている段階なのよ～」
「やっぱりできるよな。ドラゴンの骨とか使えっていっているようなものなんだし。グランドドラゴンの骨は足りているか？ クエストで取って来て貰っているけど、足りないならちゃんと言ってくれないと解らないし」
「大丈夫よ～。研究分は確保しているもの～。合金作りは慣れたものなのよ～。鋼鉄で散々やったもの～。私だってそのくらいは出来るのよ～？」
「いや、実力は疑ってないから。この都市含めて一番腕の良い錬金術師なんだから。それが解っているんだから、自信を持っていいと思う」
クエストで持ってきてもらったが、やはりというか、なんというか。ドラゴンの骨を鉄に混ぜると、かなりの強化率になるらしい。鋼鉄の3倍くらいの強度があり、粘りも5倍近くにはなるそうだ。折れないし曲がらない剣が出来上がるらしいぞ？ 普通は研究するよな？ 俺なら研究するって事で、メルベルメ錬金術店の店主に話を持ちかけた。……色々と地雷を踏みながらも、強化をしてくれることになったからな。今は研究段階なんだが、強化の最適化が出来れば、武器に反映させることが出来る。それには時間がかかるらしいが、何とかしてくれるそうだ。
地雷は簡単に踏み抜いたけどな。ドラゴンの目と、人間の目では、何処が違うのかとかそういう話をしたら、一気に食いつかれたんだよ。魔物の目をどうするのかとか、見えるものが違うなら色々と出来ることがあるんじゃないかとか、そもそもなんでドラゴンは空を飛べるのかとか、色々とな。語り過ぎたんだ。毎度の事ではあるんだけど、トリップして暫くは会話にならなかったんだよなあ。まあ、目とは別の何かがあるんじゃないかって思っては居るんだけど、それが何なのかの研究も行ってくれるらしい。本当に優秀な錬金術師がいると話が早くて良いんだよな。他の錬金術師はどうしているのかは知らないけど。錬金術師はメルベルメさんしか知らないんだからさ。
「それでなんだけど、一応は仲間の錬金術師には色々と教えても良いけど、話さないって決めたことに関してはそれでも良いからな？ 1つや2つは秘密があってもおかしくはないし。全部話せとはいうつもりもないし。まあ、魔眼の事に関しては話さない方がいいだろうなとは思うけど。流石に色々とな。あり過ぎるからな」
「どうして～？ もう言ってしまったわよ～？ 研究をしてもらわないといけないのですもの～。お仲間には言ってあるわよ～。まあ～、協力してくれそうな人は居なかったけど～。真理を求めるのであれば～、協力してくれても良いとは思うのよねえ～」
「……言ったのか。ドン引きされるだけで終わると思うんだがな。まあ、その辺は任せるから、上手くやってくれとは思う。魔眼の件も、合金の後で良いからさ。とりあえずは合金が優先なんだよ。魔眼はまだ先でも良い。本当は空を飛ぶ方のドラゴンを仕入れたいんだけど、そっちは俺もまだ行けてないし、倒せるかどうかは解らないからな。行く事さえ出来れば、何とかなるとは思うんだけど」
「仕方がないわよ～。今は足りないものが多いんですもの～。まずは足りないものを何とかしないといけないものねえ～。私だって自由に研究する時間が減るのは嫌だけど～、しょうがないとは思うのよねえ～。この難民キャンプが潰れたら～、何も残らないもの～」
まあ、そうなんだけどな。難民キャンプがあるから、俺たちも活動が出来ている訳で。自由になんでもって訳にはいかない。そりゃあ自由になんでも出来る方がいいのは確かなんだけど、それだけでは駄目なんだよな。下地は作っておかないといけない。自由に何でもやるのはその後だ。俺だって今すぐにドラゴン討伐に乗り出したいんだよ。俺の砲弾が何処まで通用するのか、確かめたい所ではあるんだよ。まあ、暫くはストーンゴーレムを狩り続ける事になるとは思うけどな。石材が圧倒的に足りていないんだから仕方がない。石材は建築に絶対に必要なものだからな。暫くは石材を確保するだけの仕事になるとは思う。その代わり、難民キャンプが育ってくれるんだから良いとは思うんだけどな？ 難民キャンプが大きくなればなるほどに、自由も増えていくと思うんだよ。自由は良い事だよな。俺も早く自由になりたい。
「じゃあ、色々と任せることになるとは思うけど、任せたぞ？ 良い感じの合金を作ってくれ。そして、皆に共有して、冒険者の質も向上させよう。そうすれば、もっと色々と出来ると思う。まあ、何とかしてくれとは思うけど、何とかなるんだよな？」
「何とかするのよ～。私も自由が欲しいもの～」
何とかしてくれるのであれば助かる。合金が出来たら、色々と問題も出てくるんだろうけどな。特に難民側の冒険者と、都市側の冒険者のレベルの差が大きくなると思うんだよな。今でさえ装備の差があるのに、今後も増えるとなると、かなり大変になるとは思う。その辺は冒険者ギルドから来ているエメラリアさんやロレンさんが頑張ってくれるとは思うんだよ。彼ら彼女らが頑張って交渉をしてくれるに違いない。まあ、こっちが好き勝手しても何も言わないとは思うけどな。言えないんだろうけど。色々と出来るんだから、研究してなかったそっちが悪いのである。
「了解した。まあ、何とかしてくれれば良いからさ。後、飴玉を貰っていっても良いか？ なんだかんだと便利なんだよ」
「良いわよ～。これでいいのよねえ～？ 持っていって頂戴。出来れば～、採取の冒険者たちにも～、使って欲しい物があるから～、声をかけておいてくれると嬉しいわねえ～」
「ん？ 何かまた作ったのか？」
「魔眼の研究をしている副産物が出来たのよ～。採取物を探すのであれば～、かなり便利になる葉巻が出来たのよ～。これで採取量も上がる訳ね～。良いものが出来たとは思うわよ～？」
「そんなものが出来たのか。解った。採取系の冒険者たちにも声はかけておく。……色々と作って貰っているのに、余り貢献できていないんだけどな」
「いいのよ～？ 私の好きでやっていることだもの～。半分は趣味だものねえ～」
まあ、良いか。とりあえず、何かは解らないが、色々と作ったみたいだし。採取系の冒険者の役に立つなら良いか。俺は関係ないとはいかないけど、そこまで大きく関与している訳ではないし。冒険者にとって便利な物は沢山あった方が良いんだよ。それで活躍できるのであれば、活用した方がいいのは確かなんだよな。使えないのと使わないのとでは大きな差が出てくる。是非とも有効に使って欲しいとは思っているんだよ。
さて、俺もまた石材の納品に行って来るかな。石材は本当に足りていないんだよな。もっともっとって言われているけど、石材だって簡単には入手が出来ないんだし。ある程度の冒険者じゃないと駄目だし、そもそも剣じゃあどうしようもないんだよな。ハンマー系統の武器を持っている人なら、楽勝なんだろうけど、ハンマー使いってそこまで数が居ないんだよなあ。
