会議の終わり
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「で? 結局はどうしたら良いんだ? 回復魔法使いにしても、鉄製品にしても、葉巻にしても、難民キャンプで商売をしてもいいって訳にはいかないんだろう? 向こうの商品よりもこっちの総品の方が品質が良いってんなら、それなりの値段設定にしないといけないだろうし、それでもこっちの製品の方が売れるぞ。特に冒険者なんて品質が良いものの方が良いに決まっているからな。そりゃあ値段が手頃ならこっちに買い換えるだろうさ。出来るか出来ないかで言えば、出来ないんだよな?」
「出来ませんね。領主に止められていますから」
「では、実質的に不可能では? 商売の禁止を言われたら、無理なものは無理ですし。欲しければ難民になるしかないのではないですか?」
「ですよね? 難民になれば、色々と解決する話ですし。市民にしても、冒険者にしても、メリットとデメリットが大きくあるような気がしますが、それでも難民になりたいというのであれば、歓迎してあげればいいのではないですか?」
「まあ、そうするしかありませんよね。冒険者ギルドの職員たちでも、結局は同じ結論に達しましたから。そんなに難民が羨ましいのであれば、難民になればいい。その選択権はあるのですし、将来的にずっと難民で居なければならないのかは解りませんしね。何時ガロールに戻るか解らない訳ですし。……もっとも、戻れるのかどうかも解らないのですが」
まあ、戻るのは無理だろうな。本格的に活火山になったのであれば、暫くはというか、下手したら数千年は無理とか言う世界になりかねない。それだけの事なんだよ。休火山が活火山に変化をするってのは、それだけの事ではあるんだよな。俺は既にここに定住するつもりで居るんだけどな。だから、快適に暮らせるようにどんどんといい方向に持っていっている訳で。手伝う事があれば、どんどんと手伝っている訳で。無理な事は無理だと諦めた方が良いとは思うけどな。その内バウンティが拠点にし始めて、賞金稼ぎが都市を破壊するまでがセットじゃないのかね? 生半可な攻撃では無いだろうからな。都市が原型を止めていたら良い方なんじゃないのかね?
「しかし、難民に嫉妬するやつが出てくるとは思わなかったな。難民ってのは、普通は歓迎されないし、ひもじい思いをするのが普通だからな。ここみたいになんでも揃っている所の方が珍しいだろうな。小さな都市と言っても変わりがないくらいには便利だからなあ」
「それはそうですけど、やっぱり商売人はもっと居て欲しいですね。今では3つの商会がありますが、結構頑張って商売をしているつもりですけど、まだまだ必要な物が足りていないので。資金的には冒険者の皆さんが稼いでくれているので、問題はありませんけど、なんと言いますか、1回の商いでは限界が見えてきているんですよね。そろそろ販路も拡大していきたい所ではあるんですが、それよりも食料の備蓄が優先ですからね。それは解っているつもりではあるんですが」
「冒険者としても、今は山岳都市デカレントから山岳町リデールトまでを活動の場所とはしているんだが、上位陣はリデールトから先のウルガーラまではいけるんじゃないかと検討をしている所だ。偵察で何組かを送り出そうとは思っている。肉もそこまで不足している訳ではないからな。奥にいける方が稼げるのであれば、奥に行ってみるって言うのも1つの手だと思っている。まあ、リソースがあれば、って所なんだけどな。行ってもいいなら、近々偵察班を組もうかとは思っている。俺は暫くは石材の担当になっているとは思うが」
「販路の拡大は待ってください。それはまだ先の話ですから。ここはジェロニモ子爵領ですからね。シュツメルツ辺境伯領とは勝手が違うとは思うので、先走ることは止めて欲しいです。こちらでも把握させて欲しいので、行くのであれば、冒険者ギルドの職員を同行させてもらいたい所ですね。それと、冒険者の次の町の派遣についてなんですが、それは出来るのであれば、やって貰っても構いません。正直なところ、資金的に美味しいのであれば、どんどんと遠征をしてもらいたい所ではあります。ただ、最優先は石材になりますので、石材を確保している冒険者以外で組んでもらいたい所ではありますね。石材は出来る限りの量が欲しいので、供給が滞るようなら止めて貰いたい所なんですが」
「販路の拡大はまだ止めた方が良いというのは承知しました。良いと判断できたら、こちらでも編成を考えるので、その時に相談に乗って貰えれば」
「冒険者には得手不得手があるからな。ドッカディアが得意な奴と、ストーンゴーレムが得意な奴は別なんだよ。だから、肉を確保している連中で、次の町へと向かわせるようにする。資金的にそっちの方が美味しいなら、そっちを優先すれば良いしな。まあ、一度話はしてみる。冒険者ギルドの様子を探ってくれば良いのか?」
「そうですね。冒険者ギルドの様子を探ってきて欲しいです。出来れば、何が足りないのかも調べてくれると助かります」
「了解した。出来る限りの事はやってみよう」
「あー、それとだな。そろそろ建築は宿屋の増設になる訳なんだが、本当に冒険者を引き入れるのか? こっちに泊りにくると思うか? 普通は都市から出ないんじゃないのか?」
「普通は、ですね。ですが、デカレントの宿屋がそろそろ限界ギリギリらしいのですよ。こちらで用意しておけば、次の冒険者のなり手がこっちに拠点を構える可能性があります。長い目で見て冒険者の利用を考えていると言う事になります。それ程に大きな都市であると言う事なのですよ。それに、山岳町に向かえるだけの冒険者が居なくなっているという話も聞いているんですよね。どうにも賞金稼ぎの方が忙しいらしいですよ? バウンティが出たので、冒険者の質が下がって来ているらしいので、近々ここの都市から冒険者が溢れて出てくると思われます。流石に大部屋で窮屈な思いはしたくないでしょうからね」
「あー、そういう情報を掴んでいるなら解った。こっちで宿屋を作っておけば良いんだな?」
「ええ、それでお願いします。……では、会議はここまでに致しましょう。また何か議題が出来ましたら、招集させてもらいますので、その時はよろしくお願いします。出来る限り、いい方向へと持っていくようには努力しますので」
会議で話したことは、結局はどうしようもないって事なんだよな。それの報告会だったと言う事なんだよ。まあ、無理なことは無理だからな。それには変わりがないんだ。無茶をやっても仕方がないし、どうしようもない事を言われても、こっちではどうしようもない。まあ、愚痴くらいは聞くけどな。会議というよりも、報告会って感じだよなあ。まあ、良いんだけど。それじゃあ、朝一に冒険者組には通達しますかね。食事の時にでも話をすればいいだろう。多少のお金と保存食を持っていけば、なんとかなるとは思うんだよな。
俺もいきたいんだけどなあ。どんな魔物がいるのか、楽しみでしかない。けど、俺は居残りだ。石材を集めないといけない。それも重要な仕事だからな。仕事はしっかりと熟さないといけない。難民同士で結託しないと厳しいからな。今は仲間割れなんてしている状況ではないのは、冒険者であっても解っていることだし。
市民権が貰えたら話は早かったのかもしれないけどな。貰えないものは仕方がないんだよ。冒険者も一切合切難民認定されているんだから困ったものだよなあ。




