難民キャンプ
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「そんな!? それじゃあ僕たちはどうやって暮らせば良いんですか!?」
「その辺に開いている土地があるだろう? そこだ。そこで暮らすんだよ。こっちも命令で聞かされているだけなんだ。どうしようも出来ないんだよ。シュツメルツ辺境伯領からの難民に関しては、領地内に来た場合、難民として都市内への居住を禁ずるとなっているんだ。諦めるんだな。因みに、何処までいっても同じだとは思うぞ?」
「そんな……。そんな事って……」
まあ、そんな事になるだろうとは思っていた。だって、お貴族様だぞ? ガロールには住めなくなったわけなんだけど、活火山が大人しくなったらどうするつもりなのかって問題が出てくるだろう? 当然住民を移動させて、鉱山を復活させるつもりなのは間違いない。そうなった場合、元居た住民に戻って貰うのが一番簡単なんだよ。だから、移住の自由を認めない可能性があるとは思っていた。まさか思い通りになるとは思っても、……居たなあ。なんとなくそうなるんじゃないかとは思っていたんだよ。だから遠くが良かったわけなんだけど、どうしても無理そうなら難民キャンプを作らないといけないだろうなとは思っていた。そして、同じように考えていた人たちで溢れ返っていた。既にスラム街が作られて、そこで暮らしている人々が居たのだ。……まだ絶望していないと思うな。絶望するには早いからなあ。まだまだ40日程度しか経っていない訳だし。
「まあ、こうなったら意地でも快適な暮らしをしてやらないといけないですね。そのための準備はしてきましたけども」
「え? でも、どうやって暮らすんだい? これじゃあただのスラムだよ?」
「まあ、今のままだとスラムですけど、ちゃんとした建物を作れば良いんですよ。資材はストレージに入っていますからね。それを使います。まずは、ここまで避難してきた人たちの寝床を確保するんですよ。まずはそこから始めます」
と言う事で、建築を始めるぞ。資材は用意してある。石材がメインで、木材も大量に用意したんだよ。こんなこともあろうかと、無限に近い収納が出来るストレージの使いどころなんだよなあ。
「まずは土を掘り下げて基礎を作ります。それもストレージで出来るので、どんどんと掘り下げていきますよ。あ、ここにはエニュール商会の馬車と馬を配置するので、そのままで良いんですよ。さあ、難民の人たちにここを踏み固めて貰ってください。俺はそれまでに基礎を作る場所を掘ってきますから」
「わ、解った。皆! 手伝ってくれ! まずは基礎を作るそうだ!」
絶望している暇なんて無いんだよ。既に廃材なんかは先に来た難民に使われているから、こっちは手持ちの資材だけでどうにかしないといけない。まあ、そもそも資材とはいうが、倒壊した廃屋から貰ってきたんだけどな? 倒壊していないものも沢山持ってきたんだよ。だって、こうなることが予想できたんだ。工作くらいはするだろう? こんなこともあろうかとって便利だよな。本当にこんなことがあるんだから。準備はしておくものだ。まあ、平屋しか作れないけどな。そんな立派な建築物は無理なんだよ。俺には建築系の加護なんて無いんだし。
「ほい。ほい。ほい。そんな感じですね。まあ、組み立てた平屋ですけど。ここが臨時のエニュール商会になりますから。馬車はここに、馬はこっちに。ここが店になりますからね。メインに食料品を扱ってくれると助かります。お金に関しては、今までの貯蓄があるでしょうし、難民たちもお金は持ってきているでしょうからね。商売は可能だと思いますよ? 余ったら、中の商会に売ればいいんですよ。住む場所だけが壁の外ってだけなんですよ。商売をする権利はある訳です。ここから始めますよ。というか、難民の意思統一をした方が良いので、このバラック全部を建て替えますから。建築なら任せてください。平屋なら作れますから」
「おい、おいおいおい! なんだよ、まともな資材があるんじゃねえか!」
「えっと、貴方は?」
「先にここに来てた奴らの1人とでも思ってくれ。それよりもあんただよ。資材はこれだけしかないのか?」
「いえ? ガロールから大量に拝借してきましたとも。……もしかしなくてもですか?」
「おうよ! 建築系の加護持ちだ! 資材があるんだったら、まともな家を建てさせろ! こんな廃材で作った様な家に住めるかってんだ。ここのリーダーはあんたでいいな? 商人なんだろう? 難民って奴は気に食わねえ。ここを都市の中よりも快適にしてやらあ! あんたがリーダーだ。結構な馬車を持っているんだろう? 丁度いいからまとめ役をやれ! 今は俺が臨時のまとめ役なんだよ。だから変わってやる。俺も手伝うし、他の奴らも手伝わせる。だからよ、資金力があるリーダーが必要なんだよ。やってくれよ。な? 良いだろ?」
「丁度いいじゃないですか。どうせ都市には住めないんですし、こっちを都市に編入しないといけないくらいに発展させましょう。幸いにも、土地はあるんですから。資材もこれから木材と石材を入手してくれば良いんですよ。ここは何処ですか? 山岳都市ですよ? 石材なんてその辺に転がっているんですから、後は加工するだけなんですよ? 出来るんですよね?」
「お? おお! 任せとけ! 石材を加工できる奴も居るからよ。道具もある。予備は買って来ないといけないだろうが、そもそも炉が作れれば、鍛冶師も居るんだよ。自分たちで何とか出来るだけの人材は揃っているんだ」
「おや? 奇遇ですね。こっちも錬金術師が居るんですよ。鉄と石炭さえ手に入れば、後はなんでも出来そうですね? 山岳都市デカレントでは、鉄は取れるんですか? 石炭はどんな感じなんです?」
「鉄はアイアンゴーレムがいるらしい。そこから入手すればいける。石炭は隣の町で掘っている。それを買ってきてもらえれば、何とでもなるわな」
「だ、そうですよ? どうします? エレンリーダー?」
「……ここまで来たのも何かの縁です。大きな商会を目指していましたが、ここの難民キャンプを運営させてもらいます。皆さんの力を借りたいと思います。目指せ! 都市よりも発展した難民キャンプを!」
「その意気だぜ! 建築に関しては任せておきな。資材は、そうだな。その辺に転がしておいてくれ。それをマジックバッグで運搬して、立派な街並みを作ってやらあ!」
「あ、幾つかの家については、そのまま持って来たので、それを置いてしまいますね? 丁度冒険者が活動するにあたって、宿が必要だろうと思って、宿屋を丸ごと貰ってきたんですよ。それと、メルベルメ錬金術店も丸々持って来たので、それも出してしまいますね?」
「なんだよ。準備が良いじゃねえか。気に入ったぜ。とりあえず、出すものは出してけ。そんで冒険者たちは稼いで来い! 稼いだ分をここへ落としていけ! ここにいる奴は運命共同体だ! 任せたぜ、リーダー!」
さあ、面白くなってまいりました。こうなるだろうとはなんとなくだけど思っていたんだよなあ。簡単に難民を都市の中に入れてくれるのかって問題はあったんだよ。懸念が当たらなければ良かったんだけど、当たってしまったものは仕方がない。まあ、ここには色々と出来る人が揃っているんだよ。こっちには錬金術師もいるし、回復魔法使いもいる。商人だっている。後は、冒険者がお金を稼いできて、ここで消費をすれば、都市よりも立派な街が出来上がる。資材は無限に眠っているんだよ。それを取ってくれば良いんだろう? それはストレージの加護の得意分野だ。今すぐにでもやってやるぞ?




