再びの護衛依頼
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「いやあ、本当に助かるよ。冒険者ギルドからも9人ほど雇い入れてはいるんだけど、レイウード君がいると安心できるからね。ささ、今回も商隊が大きくなったんだから、いつもよりも大規模に商売をしていかないといけないよね。もう少ししたら中規模商人の仲間入りだよ。ここまで大きくなったのも、レイウード君との縁があってのものだしね。こちらとしては嬉しい限りさ。今回も長旅になるけど、よろしく頼むよ。今回は40日の期間を考えているからね。これで食料を買い漁れれば、僕も中規模商人の仲間入りだよ。頑張らないとね」
「それはおめでとうございます。馬車も増えたものですね。今回は12台ですか。馬車を新たに購入したんですか?」
「……いや、譲り受けたんだよ。前回の後に商業ギルドからも話を聞いてみたんだけど、中規模商人が半分になったらしいんだよ。もう商売が出来ないからって、馬車や馬を譲り受けたんだ。そういった商人は多いって話は聞いているよ。僕だって例外では無かったからね。譲り受けたのは良いけど、人材がいる訳ではないからさ。それでも何とか集めたのがこれだけ。馬車と馬だけならまだ5台分はあるからね。今回は使わないで今度使おうかなって思っているんだよ。人材不足は中々辛いものがあるからね。御者は簡単には見つからないんだよ」
なるほどなあ。今回の商いが成功したら、晴れて中規模商人の仲間入りって感じなんだろうな。馬車が合計17台とは、出世したなあ。良い事だよな? 多分だけど。まあ、食料を大量に購入したのにも関わらず、直ぐに護衛依頼が飛んできたことを考えると、結構不味い状況なんだろうなってのは想像に難くないが。本当に食料が足りていないんだろうな。
「それじゃあ出発するよ。まずはキッサキにいかないとね。そこで色々と仕入れてから、農村を回るから。今回も当てにしているよ?」
「まあ、その辺は任せて貰いたいですね。冒険者も前よりはマシになっているとは思いますし、大丈夫だろうとは思いますけど」
「そうなのかい? 前回の冒険者は酷かったからね。そんな調子だと困るのはこっちなんだよ。でも、そこまで心配する事でもないのかい?」
「まあ、冒険者ギルドでも色々とあったみたいですよ? 商業ギルドからもかなり強く言われたみたいですし。まあ、大規模商人にも被害が出ているので当然だとは思いますけど。それに、中規模商人が半分になったのは異常でしょう? 半分くらいは冒険者ギルドのせいですからね。冒険者の選定もしっかりとするようになったって事なんですよ」
「そうなんだね。それは良い事だよね。護衛には命を預けるんだから、しっかりと守って貰わないと困るんだよ。僕だって死にたいわけではないからさ。無事に生きて、しっかりと商売をしないといけないからね。確実に利益を出すのは当然なんだけど、それ以上に生き残らないと話にもならないからね。死んだら何も残らないんだよ」
まあ、その通りだな。死んだら何も残らない。死なない様に立ち回らないといけないのは確かなんだよ。今回の冒険者9人は役には立つとは思う。ここまでしたのに、役立たずを送り込むことは無いとは思うんだよなあ。40日の拘束期間があるとは言っても、給金はかなり大きな金額に変わっていたし。商人の持ち出しは変わりないんだろうけど、冒険者ギルドと商業ギルドから結構な金額を出してもらっているらしいからな。安全なのは良い事なんだろうけど。
ただ、何処かで実力を見ておきたいのはそうなんだよなあ。盗賊団が出てくるのは、もっと後の話なんだよ。ガロールから離れる時はそこまで盗賊団には襲われないんだよな。こっちの道は狙っていないというか、そこまで数が居ないというか。問題は帰りになるんだよ。そっちの方が忙しくなりそうだ。まだまだ気を抜いていても良いとは思う。こんな所で襲われるなんて事にはならないはずなんだよな。何も持っていないんだし。
「でも、ここまで何もないと、本当に盗賊が増えているのか疑問になって来るよね。前回の事を考えれば、増えているのは解るんだけど」
「まあ、こっちから出て行くときには荷物は何も無いでしょうからね。襲っても何も得られないなら襲うだけ損ですから。家畜は大きく育ってから潰すでしょう? 商人も同じだと思うんですよね。帰り際の育ち切った商人の方が美味しい訳です。だからキッサキまでは襲われないとは思いますよ? こっちもまだまだ仕入れの段階ですし」
「まあ、そうなんだけどね。護衛の人には悪いとは思うんだよ。警戒してもらわないといけないからさ。ここまでの道中だって大変だったんじゃないのかい?」
「そこまでですよ? 警戒はしないといけないですけど、前からだけで良いですし、殺気も飛ばしていますからね。敏感な人はそれだけでも逃げますから。普通の人は、殺気を当てられても気が付かないとは思いますけど」
「殺気ねえ。僕は何にも感じないよ? 本当に殺気を飛ばしているのかい?」
「まあ、出来ない事ではないので。ある程度の敵には有効だと思いますよ? 馬もちょっと嫌そうにしてますからね。耳を絞っているじゃないですか。結構機嫌が悪い状態なんですよ。馬には出来るだけ殺気を当てないようにはしているんですが、当たってしまうのも無理はないんですよね。前方に殺気を出している訳ですし」
殺気のコントロールは出来るようになっている。……なんとなくだけどな。なんというか、殺気が当たった相手には、こっちの1手目が解るような気になると思うんだよね。それとは別の行動をする訳なんだけど、そうやってしっかりと警戒をしているんだよ。まあ、出来ることはやっておかないといけないとは思うからさ。キッサキまでは何も無いとは思うんだけどね。
そんな訳で、何もないままにキッサキまでやって来た訳だ。今回もここには2日間滞在する予定である。今回はチーズはもういいかな。暫くの分は買ってあるんだし。今回は何を見ようかな。嗜好品があると良いんだけど。葉巻は、錬金術店から買うから良いんだよ。タバコと似たような感じなんだから、タバコは必要ないかなとは思うんだけど。
でもそうだな。甘いものがあれば良いんだけどな。何か甘いものは無いかなあ? 探してみないと解らないけど、そういうちょっとしたときに摘まめるような物があれば良いとは思うんだよなあ。牧場町で甘い物って何があるのかは知らないんだけど。でも、ない訳ではないとは思うんだよな。砂糖なんてものは無いかもしれないが、他のものなら何とかなるかもしれないし。
砂糖は高級品なんだよ。高級品を入手しても、砂糖はなあ。料理が出来ないと意味がないし。砂糖をそのまま舐めるのもちょっとなあ。流石にそれは遠慮したいというか。黒砂糖をそのまま食べる事もするらしいが、黒砂糖は白砂糖とは違うからな。そのまま食べても味に違いがあるが、白砂糖は本当に甘いだけなんだよな。風味なんて何も無いんだよ。この辺りで手に入るのは白砂糖な気がするんだよな。サトウキビから入手すると黒砂糖になるとは聞いているが、甜菜とかそういうのから砂糖をとりだすと、白くなるんじゃないだろうか? 詳しい事は知らないんだけど。サトウキビから白砂糖を作るよりは簡単なんじゃないかなとは思うんだが、違うんだろうか? 甜菜からも黒砂糖になるのか? そうなることは知っているが、どうやって作るのかまでは知らないからなあ。無知は怖い。何も知らないのが一番怖いんだよ。




