前方に馬車、見た事ある風景
OFUSE始めました。
https://ofuse.me/rukea
ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
https://rukeanote.hatenablog.com/
さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
https://twitter.com/rukeanote
「前方に馬車か……。いつぞやの事を思いだしますね?」
「だよね。……今度も盗賊だと思うよ? 昨日は村長の所に止まっていたのは僕らだけだったしね。合流する場所も無かったし、確実に盗賊だよね。こんな所で1日以上も止まっている可能性は殆どないと思うよ」
「馬車は2台ですか。馬も普通に居ますし、また儲けものになりそうですね?」
「これは今後の商売をもっと拡大しろって事なのかなあ。それはそれで嬉しいんだけど、そうなると馬車を置いておく場所も買わなきゃならなくなるしね。出費が怖いなあ」
「それじゃあ、確認の為に行ってきますか。そのままの速度で近づいてきてもらえれば」
「解ったよ」
10回あれば、20回は盗賊だろうというシチュエーション。後ろからの気配は無いし、間違いなく盗賊だと判断できる。……幌馬車って後ろに何があるのかが解りにくいから、本当に判断しづらい。けど、雨風をしのげないといけないから、幌馬車にならざるを得ないのは解るんだよなあ。今回みたいに盗賊団が使うという事も多くあるんだし。普通に勿体ないから馬車も有効活用させてもらうんだけどさ。
「すみませーん。お困りですか?」
「すまねえ! 困っているんだ! こっちまで来てくれ!」
一応声はかける。そして、幌馬車の中を思いっきり覗く。そこには武装した盗賊が2人、何時でも出れるように準備をしていた。……まあ、そうなるよな。と言う事で、逃げながら剣を2本発射する。剣でもそこそこの威力になるからな。抑えるだけならこれでも十分だ。
「ぐわぁ!」
「うぐぁあ!」
「なっ!?」
「バレバレなんだよ! 速攻で殺してやるから覚悟しとけよ!」
そう、バレバレなのだ。ネタは割れているんだよ。だから簡単に対処されるんだ。そして、横の草陰からも数人出てくる。……4人か。それなら潰れておいてくれ。馬車の方に行かれても面倒だからな。潰しておくに限る。
一応だけど、落下させているのは、位置エネルギーを貯め込んでいない大岩だ。加速しきった大岩を使うと、ミンチになるからな。その辺は気を使っているんだよ。全部の大岩を加速させている訳ではないからな。こういう時のために使える手札は増やしておいた方が良いんだよ。こう言うときが多くない方が良いんだけどな。盗賊との戦闘なんて数えるくらいしか経験していないが、そもそも0回が良いんだよ。何度も何度も盗賊に襲われるなんて事になったら面倒なんだから。人生で1回も経験しない方が良いよな。本当に。
残っている男も簡単に処理して、これで7人。今日までで17人の盗賊を仕留めてきたが、楽勝なのもな。例の盗賊団じゃないって事なんだけど、それじゃあ何処に行ったんだよって話にもなってくるからな。組織だっての行動じゃないって事は、色々と問題があるんじゃないかって思うんだよな。何がどうなのかは知らないが、盗賊団が一挙に逃げ出すのに成功したんだろうか。それとも、囮になるような盗賊団を何処かから引き抜いてきたんだろうか? 疑問は大きくなるよな。
「お疲れ様。何事も無かったみたいだね」
「ええ、そこまで強くは無かったですし。……でも、認識は変えた方が良いかもしれないですね。こっちの幌馬車を見て貰えれば解りますから」
「どれどれ? ……これは商人の馬車を乗っ取ったんだね。このマジックバッグの量は、どう考えても盗賊団だけでは使わないだろうし。そのまま置いておくのも不自然だよね。何処かに拠点があるなら、そっちに持って帰るのが普通だと思う。けど、このままにしておくって事は、拠点なんて無いのかな?」
「多分そうだと思う。拠点なんて無い、ただの盗賊だったんだろう。それが小規模の商人を襲って馬車を得たからこのような作戦をしていたんだろうさ。まあ、馬車は普通に2台とも無事だったし、馬も生きている。荷台のマジックバッグも食料が殆どだろうし、儲かったと思えばそうなんじゃないですかね?」
「まあ、そうなんだけどね。その代わり、1人の商人が亡くなったことには代わりが無いからね。僕もこうなっていた可能性があると思うと、運って本当に大事なんだなって思うよ。普段はこんなに盗賊が出てくる事なんて無いんだし。大規模な盗賊団が出ると、その近辺には盗賊が増えるってのは本当の事なんだね。なんでなのかは知らないけど」
「俺も理由は知らないですけどね。まあ、この盗賊団は運がなかった。それだけの事だからな。というか、馬車を囮にするなら、本当に壊しておけば良いのに。無事な馬車を確認しているってのも変な話だからな」
「僕は嬉しいよ? 無事な馬車を新しく2台も手に入れられるんだから。場所の確保が難しいかなって感じだよね。今後は商売を大きくしていかないといけないし。忙しくなるよね」
まあ、そうだろうな。馬車が2台も増える。それは良い事だと思うが、短期で4台も増えたんだ。場所の問題が出てくるだろう。幌馬車を格納する場所も必要になってくるだろうからな。普通に場所の問題が出てくる。それでも、事業の拡大にはなるから、受け入れるべきだろうとは思うけどな? 馬車なんて簡単に作れるかもしれないが、馬の方は入手が限られるんだしな。生き物である馬は消耗品って訳には行かない。無事な馬を何頭も確保するのは難しいんだよ。維持するのも難しいが、繁殖させるとなると余計に難しいんだよな。ノウハウが必要になって来るし。キッサキなら、馬も扱っているとは思うけどな。牧場町なんだから。そこから仕入れるしか方法が無いとは思う。
「それにしても、盗賊が増えてきているから、面倒ではあるけど、実入りは大きいよね。こうやって馬車も手に入るんだし。このマジックバッグの中身だって僕の物になるんだからさ。この馬車の持ち主には悪いけど、僕も商売人だ。この荷物をしっかりと売りさばいてみせるからね。そうやって生きていくんだから」
「良いんじゃないか? 盗賊に利用されるくらいなら、同朋に使われた方がいいだろうとは思う。まあ、ご愁傷さまとは思うけど」
「僕も油断はしない様にしないとね。僕も何時こうなるのか解らないし。今しっかりと商売をしていないといけないからさ。必死になっても駄目な時は駄目だしね。諦めることは最後までする気はないけど、何とか戦わないといけない状況は避けたいかなって」
「気持ちは解るが、今の所、この近辺は危険だらけだぞ? 本気で何人も護衛を雇った方が良い。今回みたいな冒険者じゃあ役にも立たないからな。俺以外は何もしていないんだから。もうちょっと警戒心を持ってくれって感じだよ。これでも報酬をくれてやらないといけないのかって話にもなってくるからな。ちょっとは冒険者ギルドに文句を言ってやるのもいいかもしれない」
「まあ、このまま無事に帰れたらね。まずは帰る事を目指さないといけないんでしょ? ちゃんと帰れるようにしてくれるんだよね?」
「それは勿論だな。安全にとは完全には言えないが、護衛対象は守ってみせるさ」
冒険者6人は自分たちで生き残る方法を探れば良いとは思う。それが冒険者の仕事なんだから。こっちを当てにされても困るんだよな。このまますんなりと帰れるかどうかも解らないんだし。まだ何かある可能性はあるからな。安全に帰って来れたという結果が無いと、まだ信用できない。安全に帰るまでが依頼なんだよ。遠足理論と同じなんだ。帰るまで何があるのかを気を付けないといけない。浮かれていては駄目なんだよ。何かあると心の中で思っていないといけないんだよな。




