当たり前の襲撃
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馬車旅は続くよ何処までも。のんびりとしては居られないんだけどな。索敵重視。敵を見つけたらそのまま処理しなければいけない。この辺りに魔物は居ないから、居たら殆ど間違いなく盗賊なんだよな。商人が困っていることもあるんだろうけど、そういうのは稀だから。なんだかんだと言いつつも、商人が困っていたら助けるしか選択肢がないんだけどな?
「そんなに甘くはないか……。エレンさん、後ろからきているのは、多分盗賊ですね。前方は問題ありませんし、処理してきても良いですか?」
「後ろに居たのかい!? 勿論だとも。というか、後ろにも冒険者は配置してあるよね? 何をしているんだろうか……」
「気が付いていないなんて事は無いと思いたいですが、実力的にはそこまでじゃないですからね。気が付いていないのか、気を抜いているのか解らないですよ」
正直、ここまで露骨に後をついてきているんだから、気が付けよって話なんだけどな。多分だけど、この先で挟み撃ちをする予定なんだろう。そこまでは追跡しておいて、横道から追い抜き、情報を伝えると。そこそこの規模の盗賊団が居るな。これだと多分だが10人程度は居てもおかしくない。合流する前に各個撃破をしていきたいとは思う。
「それじゃあちょっと行ってきます。馬車は止めて貰えると助かりますね。そこまで時間はかからないとは思います」
「そうかい? じゃあ止めるよ。頑張って来てね」
「ええ、それじゃあ行ってきます」
後ろに向かって走り抜ける。5台の馬車を通り過ぎて、一気に敵に接近する。……向こうもバレたと見て襲い掛かってこようとしているな。数は……3人か。この程度なら余裕だな。一気に接近戦に持ち込む。向こうも遠距離武器は無いみたいだな。それは好都合だ。
「うぉおおりゃぁあああ!」
馬鹿でかい戦斧の使い手か。まあ、そんなものは仕舞ってしまえば良いだけなんだ。ストレージで相手の持っている武器を回収する。それだけで相手は体の重心が変化し、一気に前のめりになる。体勢を立て直す時間なんて与えない。そのまま腕を捻り上げて関節を外す。これで痛みで立ち上がれないだろうからな。痛みに耐性が無ければ、これだけでも十分なんだよ。
後はナイフを持っているだけの2人だからな。躱して股関節を破壊して終わりだ。勝ち目なんて無いと解ったら逃げるのも選択肢としてはあったんだろうが、逃げる判断が遅れたな。こういう戦闘は得意だから、何も問題ない。相手の首を刎ねて、ストレージに仕舞って終了だ。後はマジックバッグを3つ手に入れた。これは中古で売ってしまう方が良いんだろうが、そもそも俺にその選択権はない。盗賊の持ち物は依頼人であるエレンさんのものだからな。俺が決めても良い事はないんだよ。
「後ろからきているのに、警戒もしていなかったのか? 見つけられないのは仕方がない。それだけ向こうの隠れ方も上手かったんだろう。だが、警戒もしていないのはマイナスでしかないぞ? 馬車で揺られているだけが仕事じゃないんだ。依頼を受けた以上は、しっかりしてもらわないと困る」
「っく。……すまない。こっちも警戒する」
全く、遊び半分で来られても困るんだよなあ。食い詰めているのであれば、しっかりと仕事をしてもらわないと困るんだよな。冒険者の格が落ちる様な事になったら困るだろうが。釘を刺しておかないといけないだろうなって思って釘を刺しに行ったら、まさか寝ているとは思わなかった。……お前らさあ。何のための護衛なんだよって話である。寝ているだけで稼げるとか思っているんじゃないだろうな? 無能は死んでくれても構わないんだが?
「全く、処理はしてきましたよ。これが戦利品です。死体だけはこちらで処理しても問題ないですかね? 門番にはみせますが、その後はこちらで死体を預かっても良いですか?」
「いいよいいよ。死体なんて盗賊を処理した証拠でしか無いんだから。それを使って何をするのかは知らないけど、死体なんて別に誰に渡しても良いものだと思うしね。……それにしても寝てたのかあ。危機感がなさすぎるんじゃないかな。もうちょっとしっかりとしてもらいたいよね。冒険者って本当にピンキリなんだね」
「こんなことでミスしないでほしいんだけどなあ。っと、多分ですが前方にも潜んでいると思うので、少しばかりゆっくりと進んでくれると有難いです。色々と判断するには移動速度が早いと、ミスることになると思うので」
「了解したよ。ゆっくりでも次の村までは今日中に着けるからね。多少は問題ないよ」
ならいいが。時間がかかると言う事でもあるからな。時間をかければかける程に危険になっていくんだよ。出来れば早く移動してしまいたい所でもあるんだが、こういうことは念には念をってね。対処は出来る時に出来るだけの事をやっておかないといけないんだよ。
そんな訳で数十分後、前方に隠れている盗賊が確認できた。数は、5いや、7だな。2人はかなり潜伏に慣れている感じだ。ベテランといっても過言ではないだろう。苦戦をするかもしれないが、こういうのは見つかったら終わりなのだ。だから、一気に処理をしていく。
接近したら、流石に7人も相手にしなければならなくなる。その前に勝敗をつけておくのがベストだと判断した。という訳で、ストレージから大岩を、相手の背中に出す。そうする事で動きを封じられるんだよ。大岩から逃げられるとも思えないしな。かなりの重さがあるんだ。簡単には抜け出せないとは思うぞ。
「悪いが、これも仕事なんだ。死んでもらう」
大岩で身動きの取れない盗賊の首を刎ねるだけの仕事だ。それだけで大丈夫なんだから、この戦法は強いよな。まあ、死体は少しばかり汚いけどな。体や足が潰れてしまっているからな。重い物を死角から乗せられるんだから、堪ったものでは無いとは思う。これが俺のやり方だ。まあ、死体を確認しないでも良いなら、もっと簡単に片付けられるんだけど、死体は無いと困るからな。討伐証明は必要になるんだし。
「あっという間だったね。盗賊もまさかこんな手練れが守っているなんて思わないだろうからねえ。僕は本当に運が良いよ。なんだかんだと切り抜けられるんだからね」
「その言葉はガロールに帰るまで口にしない方がいいですよ? そういうのは全てが終わってからじゃないと面倒な事になることがありますから」
フラグって奴だな。安全だと認識してしまったがために、盗賊に襲われるなんてことはよくあることなんだから。しかし、今回は割と杜撰な方法で襲ってきたな。これは例の盗賊団の手法では無い気がする。もっと狡猾にやっているだろうからな。こんなに杜撰な計画を建てる訳がない。
警戒するべきだろうな。まだまだ襲ってくる可能性はある。安全を確保するのが冒険者の務めなんだから、しっかりと安全を確保しないといけない訳だ。その程度の認識も持っていない後ろの連中は、役にはたたないんだろうな。そもそも移動中に寝るなんて論外だから。何のために仕事を受けたのかが解らなくなる。最低限の警戒はしろよとは言いたいな。俺だって出来る事と出来ないことがあるんだからな。
今回みたいに真っ正面から戦わなくて済むなら問題にはならないが、正面から10人も来られた場合や、2方向から襲われた場合など、どうにもならない事もあるんだよ。それをカバーできるだけの戦力は欲しいんだよな。それが当てにならないとなると、話が変わってくるんだよなあ。もうちょっとまともな冒険者を着けてくれないものか。冒険者ギルドの教育も、多少は関わってくると思うんだが。




