ボイコットと行商
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「なんで俺が呼ばれないといけないんだ? 作戦の通達は騎士団主導でやるって話で纏まっていたはずなんだが?」
「それはそうなんだが、騎士団の作戦の内容に納得がいかない。だから全員でボイコットをしたい。その許可が欲しいから、ギルドマスターを呼んでもらった訳だ」
「ボイコットだ? なんでそうなる?」
「まあ、作戦を聞いてもらった方が早い。騎士団の方から説明してもらってくれ」
「??? まあ、いいか。すまないが二度手間になるが、俺にも作戦を教えてくれ」
「ふん。いいだろう。よく聞いておけよ。まずは――」
とまあ、超簡単な説明をギルドマスターに聞いてもらった訳だ。まずは聞いてもらわないと話にならないからな。これで冒険者が折れないといけないなんて事にはならないだろう。冒険者が折れる様な状況になったら、この町から冒険者が居なくなるだけなんだから。それだけの作戦だし、無茶苦茶な要求なんだよ。冒険者ギルドに取っても、面子は大事かもしれない。でも、それとこれとは話が別だ。無駄な作戦に放り込まれる様な事にはなってはならない。
とまあ、作戦を聞いて唖然となっているギルドマスターが再起動するまで暫くの時間が必要になったのは、仕方がないとは思う。俺も何を言っているのか解らなくなったからな。ここにいる全員が同じ気持ちを共有できたと思う。そこから幾つかギルドマスターが質問をしていたが、騎士団からの回答に頭を抱えていた。そうだろうそうだろう。もう面子とかどうでも良いんだ。この作戦では、そもそも今回の盗賊討伐は出来ないんだよ。そう理解してくれれば良いんだ。
「ギルドマスター、そこまでです。今聞いてもらった作戦で、冒険者ギルドの面子が保たれると思いますか? 俺は無理だと思う。だから全員でボイコットを提案する。これでは話にならない。幸いなことに、騎士団はそもそも冒険者は必要ないと言ってくれている。であれば、騎士団のみで討伐してもらえれば良いと俺は提案する」
「……。騎士団としても、それでいいのか? 冒険者ギルドとしては、面子に拘ることはない。今回の作戦には穴が大きく開いていると思う。そのことを考えると、冒険者を向かわせるのは適当ではないと判断した。騎士団がそれでもいいのであれば、今回の冒険者の参加は無かったことにして欲しい」
「腰抜けどもが居なくなったところで、勝利は変わりない。おこぼれをやろうと思っていただけなのだ。俺はそれでも構わん。騎士団で統一した方が作戦としてはやりやすいからな」
「……そうか。それでは失礼する。今日来てくれた冒険者には悪いが、そう言う事だ。それで良いな?」
「当たり前だ。ったく、本当に無駄な話し合いだったぜ」
「精々成功させてくれよな」
「これで失敗したら笑ってやるからな?」
口々に悪態をつきながら退出していく。俺もその流れに従って解散だ。何のためにこんな糞みたいな話を聞かないといかなかったのか。本気で討伐するつもりがあるのかどうかが疑わしい。冒険者を使わないで討伐できるならやってみるが良いさ。突撃だけでは、被害が甚大になるって事が解っていないらしいからな。盗賊はもっと泥臭く生きているんだよ。もっともっと生き汚いんだ現実を見てもらうにはいい機会だと思う。まあ、精々死なない様に気を付けてくれよな。
「時間が出来たな……。エレンさんには話をしておくか。商人だし」
と言う事で、商人として活動をしているエレンさんには話をしておいた方が良いんだろうなって事で、話をしに行くことに。久しぶりに会うけど、元気にしているだろうか? 仕入れなんかをしに行くのであれば、止めておいた方が無難だと伝えた方が良いよなあ。盗賊団が何処に居るのか解らないんだし。作戦では、一応場所は聞いているが、そもそも今もその場所に居るとは限らないからな。既に逃げている可能性もあるんだ。盗賊とはそういう生き物だからな。逃げる時は全力で逃げる。逃げ足が遅い奴から死んでいくからな。
「いらっしゃい。あら? 確か、エレンを助けてくれた人よね?」
「ええまあ、そうなります。エレンさんは居ますか?」
「居るわよ。こっちにいらっしゃい」
と言われて案内されて行く。こっちは馬車小屋だな。馬車の手入れをしているエレンさんが見えた。5台の馬車があるから、修理から戻ってきたんだな。それのチェックだろうか?
「エレン。あの時のお客さんよ」
「ん? ああ、レイウード君ですか。どうですか? 冒険者業は上手くいっていますか?」
「ええ、おかげさまでかなりの金額を稼げていると思います。まあ、装備やその他諸々に消えていくんですけど。お金は幾らあっても足りませんね」
「それはそれは。でも、そんなにお金が必要なのかい? 武器はそこまで壊れるものじゃないと思うんだけど。ここの鍛冶師は腕が良いからね。長持ちするんじゃないのかい?」
「まあ、特殊な武器を使っているので、そのせいですね。加護がストレージなので、普通の戦い方が出来ないんですよ。……それはそうと、近々商売に出るんですか?」
「そうだよ。良く解ったね。って言っても、馬車の点検をしていたら解るか。もうそろそろ次の商売をしに行くんだよ。どうかしたのかい?」
「ええ、実は、盗賊の件が出てまして。大規模な盗賊団が近くに根城を作っているんですよ。それの討伐依頼が出されていたんですが、騎士団との交渉が決裂しまして。どうも騎士団だけでは、盗賊団に勝てない可能性があるんですよ。だから、商売に行くのは止めた方が良いですよ? 少なくとも討伐されたって確認をしてからの方が良いですね。80から100人規模の盗賊団がこの近くに居て、もしかしたら散り散りになるかもしれないです。なので、暫くは商売を控えた方が良いでしょうね」
「……マジで?」
「大マジです。今日、騎士団と打ち合わせをしていたんですけど、あの作戦だと失敗すると思いますよ? だから、暫くは護衛を付けての移動をするか、そもそも商売自体を止めておいた方が良いです。こちらの見立てでは、確実に作戦が失敗するので」
「マジかあ。……いや、それでも商売にいかないといけないんだよね。商売も騎士団絡みでさ。食料が大量に消費されるから、集めておけってね。いかない訳にはいかないんだよ。こっちは小規模商人だしね。儲け話には乗らないといけないんだよ。……たとえ危ないって解っていてもね。護衛は雇わないといけないかな」
「……もしよかったら護衛として付いていきましょうか? それくらいしか出来る事って無いので」
「本当かい!? いやー、助かるよ。腕利きの冒険者が1人居てくれるだけでも違うからさ。でも、それでも1人じゃあ足りないよね。もう少し募集をしてみよう。集まるかは解らないけど、護衛は多い方が良いしね」
「そうですね。他にも何人か居た方が良いと思います。前回の4人も馬車の運転で一緒に行くんでしょうし、最低でも後5人は欲しいんじゃないですかね?」
「そのくらいは欲しいよね。ああ、出費が痛いなあ。でも、命には変えられないしね。襲われないことを祈ることくらいしか出来ないけど。でも、結構長期の旅になるけどいいのかい?」
「まあ、良いですよ。盗賊の件が気になりますし。流石に放置して行ってきてくれとは言えないので」
なんだかんだとな。知り合いが巻き込まれるかもしれないっていう段階まで聞いておいて、はいそうですかとは言えないだろう? 俺もついて行った方が無難だと思うんだ。出来ることは少ないかもしれないけど、盗賊の討伐くらいなら何とか出来ると思うし。




