鍛冶師へのお願いは却下されました
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そんな訳で、休暇。心身ともに休めないといけないと思う。殺しの反動が大きい。明らかに動揺しているからな。朝の動きでなんとなくだけど解るんだよ。今の状態はよろしくない。こんな精神状態じゃあ魔物の接近にも気が付けないかもしれない。神経を使う仕事なんだ。精神的にきていたら仕事にならないんだよ。
そんな訳で鍛冶屋さんに来た。目的は俺の武器。最大限に活かせる俺の武器が欲しい。……ちょっとお値段的にどうなんだろうなとは思うんだけど、今は何とか金貨50枚くらいはあるんだよ。500,000ギレットがある。それを使って武器を作って貰おうという訳だ。高いかもしれない。けど、鉄塊ってそのくらいの値段はすると思うんだよな。武器にするならなおさらだ。非常に高価な品になると思うんだよ。
「いらっしゃい。ギムレット鍛冶店へようこそ。何かお探しですか?」
「オーダーメイドで武器が欲しいんです。職人さんを呼んでくれませんか?」
「えっと、店頭の武器では駄目なんでしょうか?」
「ちょっと軽すぎるので、重い武器が欲しいんです」
「重い武器ならそちらの方にもあるんですが……」
「いえ、もっと重い武器なんですよ。なので、職人さんを呼んで欲しいんですが」
「……解りました。重い武器のオーダーですね。ちょっと待っていてください」
重い武器のコーナーには、30kgくらいありそうな大剣が置いてある。まあ、確かに重いだろうな。重いんだけど、そんな重さでは駄目なんだよ。もっと重くないと。1撃でなんでも倒せるような武器じゃないといけないんだ。だから、オーダーメイドしか無理だと思う。たった30kg程度では、この辺の魔物なら倒せるんだろうけど、他の魔物に効果があるのかが解らない。もっと強い魔物にも効果があるような、とてつもなく重いものが必要なんだよ。
「……おう、ひょろい兄ちゃん。重い武器っていっても、あんたじゃあ振れないんじゃないのか? 重いから強いってもんでも無いんだぞ?」
「ああ、いえ、なんと言いますか、俺が剣を振るう訳では無いんですよね。でも、重い武器が欲しい訳です」
「……はあ。まあいい。どんな武器が欲しいか言ってみろ。話はそこからだろうな」
「そうですね。円錐形の鉄塊が欲しいんです。重さは1トンくらいでお願いしたいです」
「……はあ!? 重さ1トンの円錐形の鉄塊だあぁ!?」
「そうなんですよ。予算は500,000ギレット用意したので、何とかなりませんかね?」
「金の問題じゃねえ! お前なあ、そんなもんを作れると思っているのか!?」
「……無理ですかね?」
「当たり前だ! 何処のどいつが鍛冶場でそんな馬鹿でかいものを作れると思っているんだ!」
「いや、鋳型でも良いので、何とかなりませんかね?」
「鍛えるなんて無理に決まっているだろうが! そもそもやるって言っても鋳型に決まっているだろうが! そんなもんを打てるか! そんな注文は錬金術師の奴にやらせろ! 鍛冶師の仕事じゃねえ!」
「……錬金術師、ですか?」
「そうだ。そもそもだ。そんな馬鹿でかいものをどうやって鍛えろって言うんだよ。鋳型じゃないと作れないどころか、そもそもただの鉄塊じゃないか。そんなもんを鍛冶屋に頼むもんじゃねえ。始めから錬金術師の仕事だ。そもそもインゴットで良いって話じゃねえのか? まあ、馬鹿でかいって注釈は付くけどよ」
「……まあ、鉄塊で良いので。後は折れず、曲がらず、ある程度の鋭さがあれば完璧なんですが」
「そんなもん、始めから錬金術師に頼むもんだ。鍛冶師には無理だ」
「そうなんですか?」
「……当たり前だろう。そんな馬鹿げた注文なんて初めて聞いたぞ」
「それなら、腕のいい錬金術師を知りませんかね?」
「あん? それならまあ、うちが取引している錬金術師を紹介してやる。ちょっと待ってろ。こっからの道を描いてやるから」
……無理だそうだ。鋳型なら何とかなるんじゃないかとは思ったんだけど、錬金術師か。そこは想定外だったなあ。いや、砲弾が欲しかったんだよ。それで、自由落下の時に、なるべく空気抵抗が無くなる方が良いから、そうなると円錐形かなってなるんだよ。尖っている方向を下向きにしたら、殆ど自由落下と同じくらいになり、重さが1トンもあれば、戦車砲並みに強くなるんだよな。多分だけど。まあ、当たらないと意味がないし、砕けるようなら問題なんだけど、流石に鋼鉄なら何とかなるんじゃないかとは思ったんだがなあ。当てが外れた。鍛冶師では無理らしい。
「ほれ。これがここの地図だ。こっち向きで、こっから南に5つ通りを過ぎたらこっちに曲がれ。そうしたらメルベルメ錬金術店が見えてくる。……なんかファンシーな見た目をしているから、いけば直ぐに解る。見た目はそんなでも、腕は良いからな。そっちで頼め」
「解りました。ありがとうございます」
と言う事で、ギムレット鍛冶店を追い出され、目的地へと歩いて向かう。錬金術師の領分かあ。錬金術って似非科学者って感じ、じゃないんだろうなあ。まじもんの錬金術なんだろう。多分だけど、加護が関係してくる職業になると思う。そうじゃないと説明がつかないとは思うんだよなあ。鉄も製鉄しているのは錬金術師って事になるんだろうし、鍛冶師がやっていれば、こっちに仕事なんて回さないと思うしな。錬金術か。マジックバッグを作れるのも錬金術師なんだろうか? それはちょっと違うのかね? マジックバッグ職人はマジックバッグだけ作っているようなイメージがあるし、別の職業、加護なのかもしれないよな。
……そして、道順通りに来たと思うんだが、ここか。ここか? まあ、うん。ファンシーだね? なんか他は石の色が関係してくるから白から灰色って感じなんだけど、ここだけ蛍光色のピンクに塗り替えられていて、しかもなんか、人形? でもどちらかと言えば藁人形の様な何かが沢山くっ付いているんだけど、錬金術師って言うよりは、呪術師? そんな感じなんだけど、本気か?
「……お邪魔しまーす」
「ようこそ~。ようこそメルベルメ錬金術店へ~。あ~んなお薬から、こ~んなお薬まで、なんでも作れるのが錬金術師なのよ~。さて~、貴方はどんな薬を所望なのかしら~」
「えっと、作るのは薬じゃないんですけど……」
「あらあら~。それは珍しいですねえ~。お薬じゃないのであれば~。何を御所望で~」
「鉄塊なんですけど……。その、鍛冶店にいったんですが、錬金術師の仕事だってこっちに振られてしまいまして」
「鉄塊ですか~? インゴットとは違うのですか~?」
「インゴットと同じようなものなんですけど、その、もっと大きくて重い物が欲しいんですよ。円錐形の鉄塊で、重さは1トンくらいは欲しいんですけど、大丈夫です?」
「ん~? 素材は鉄で良いんですか~?」
「出来れば鋼鉄でお願いしたいんですが」
「鋼鉄とはなんですか?」
「えっと、純鉄、鉄100%に0.9%の炭素、純石炭を混ぜたものにして欲しいんですけど」
「純鉄! 炭素! ああ~素晴らしい響きですねえ~。ああ、純粋な鉄に、純粋な炭。純粋な炭の事を炭素というのですねえ~。ああ、良きかな~」
あ、なんかこれ地雷踏んだ? なんか恍惚としだしたんだけど。なんかトリップし始めたんですけど? 何がそこまで? 何のトラップなんだ? よく解らないけど、とりあえず、この人やばい人なんじゃないのか? 錬金術師が全員おかしいとは思わんけど、この人がとてつもなくおかしいのは解った。腕のいい錬金術師ってお願いしたけどさ、性格に難があるとは思わないじゃん? いや、店の雰囲気で察しろって事なんだろうけどさ。なんか何処かおかしいぞ?




