ストレージ使いを活用できないか
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「74,125ギレットか。……ここの所毎日だが、体は大丈夫なのか? 疲労なんかが残ったりしていないか?」
「疲労ですか? 大丈夫ですけど、普通に皆毎日魔物討伐をしているんじゃないですか?」
「稼げない連中はな。ここまで稼いでいると毎日いかなくても生活できるだろう? だから休養日をつくったりするのが普通だ。寧ろここまで稼げているのであれば、休養日が多くなるのが普通だ。1日仕事をして、5日間休養とな。まあ、若い内に稼いでおきたいというのは解るが、それにしても無茶はいけない。だから休養はしっかりと取れているのかと聞いたのだ」
「それと、出来ればどうやってここまでの成果を出しているのかを教えて欲しいですね。他の冒険者にも教えておかないといけない事でもあるのかと思いますので」
「休養は特に必要ないかなって思うんですよね。それ程疲れる様な事はやっていませんし。殆どがメギルサーペントですから、大岩を除けて倒すってのを繰り返しているだけですから。そのついでにメギルリザードやメギルゴートが混じることがありますけど、所詮は運ですからね。会わない時は会わないですし。メギルサーペントについても、大体居そうな場所は解るじゃないですか。大岩が3つ以上ある場所に隠れていることが多いってくらいで、特別な事は何もしていませんよ?」
休養は特に必要になるとは思えないんだよな。簡単にいうなら、魔法職と同じなんだよ。いや、魔法使いがどんなのなのかとか、性能はどうなのかとかは解らないんだけど、戦闘でガンガン動く訳では無いんだよな。単にストレージで大岩を片付けてストーンバレットを発射しているだけだし。だから疲れるとかそういうのは殆どないんだよ。歩き疲れる程度で、走り回ったりはしないからな。のんびりしているのが俺の戦闘スタイルなんだよ。
また、メギルサーペントの居る場所は、さっきも言ったように、大岩が多い場所に居る可能性が高い。それだけなんだよな。だから、他の冒険者もそういった場所を探せば、普通に居ると思うんだがなあ。そういう情報が無い訳では無いはずだし。まあ、大岩の撤去が面倒と言えばそうなのかもしれないけど。俺はストレージを使えるから、簡単にしまう事が出来るからな。その差と言えば、そうなのかもしれない。けど、ストレージの加護を軽く扱っているのは冒険者の方だからな。どんな加護でも使い方次第だとは思うんだけど、こればかりはその人がどんな加護を持っているのかにも因るんだ。だから、アドバイス的な事は出来ないんだよ。その加護にあった戦闘スタイルを作らないと、そもそも加護が意味をなさないんじゃないかって思うんだよ。そりゃあ、戦闘には役に立たない加護もあるだろうけど、その場合は冒険者じゃなくて、そういった職業になれば良いんだからさ。
「ううむ。その程度の事は誰でも解っていることだしな。それを今更冒険者に伝えたところで、それがどうしたと言われてしまうだけか」
「でしょうね。加護の使い方を考えろといっても、そもそも加護は自分しか解らないので、何とも言いようが無いでしょうね。何か秘訣があるのであればとは思ったのですが、特に変わったことはしていないようですし、特殊な加護を持っているのであれば別だったのかもしれないですが、そういう訳でもないって事ですしね」
「そうなんですよね。なので、多分ですが力には成れないかなと。俺自身も特殊な加護なら使い方をどうしたら良いのかとか言う事はあったんでしょうけど、ストレージって汎用的な加護でしょう? そりゃあ役には立ってますけど、そもそもストレージって冒険者からは嫌われていますし、そこまで重要視されている訳では無いですよね?」
「そうだな。それを含めても、大岩の回収には役に立つんだが……。それは大岩を回収するやつらと仕事をしろと言う事にもなるからな。冒険者のプライドからして無理だろう。自分の加護と人の加護を比べて罵るような奴らとは、大岩を回収している奴らも一緒に仕事は出来ないだろうしな」
「そうですよね。なんだかんだとストレージの加護を持っている人は多いんですけど、殆どの人は大岩を回収して生計を建てていますからね。大岩も結構な金額で回収してくれるので。まあ、その石材が他の領地の内政に役に立つので、どうしても石材は欲しいんですよ。それが解っているからこそ、冒険者ギルドはストレージ持ちの事も考えて依頼を出している訳ですし」
「そもそもだ。ストレージの加護で大岩を除かした場合、メギルサーペントは逃げるからな。それに止めを指すだけで良い筈なんだが、ストレージ持ちの奴らはそもそも戦闘力を持たないものが殆どだし、冒険者との相性は良い筈なんだがな……。プライドが邪魔をしてそれが出来ないのが辛い所か」
「プライドで食えるのであれば、好きにすれば良いんじゃないですか? 俺はプライドなんて捨てた方が良いと思いますけどね。そもそも戦えない人を連れて行くって考えから、自分たちの有利な状況を作ってくれる人を連れて行くって考えに変えないと、連れて行っても分け前が貰えないとかだと、関係が破城しますけどね」
「ううむ。そうだろうな。戦闘もしていないのに報酬だけ受け取るのかという奴は多いだろうな。そもそも環境を整えることが戦闘行為だと認識しないといけない訳なんだが、それも若い時には難しいだろうし、そのまま歳を重ねても、頭が硬くなって余計に受け入れなくなるだけか」
「そもそもの話、ストレージの加護を軽視する様な人が多いのがいけないって事なんでしょうね。マジックバッグと変わらないって思っているから困る訳です。現実としては、マジックバッグの様で少しは違うものなんですよね。その認識を改めて貰わないと無理ですか。そうなると、冒険者全体の話になってきますし、難しい問題ですね」
「まあ、冒険者の認識はともかくとして、1度組ませてみたらどうなんですか? そもそもメギルサーペントを倒すだけの実力が無ければ、どれだけストレージの加護を使ったとしても、その冒険者には悪いですが、向いてないですからね。戦闘でメギルサーペントを倒せないようじゃあ他の魔物なんて無理ですよ。ここではメギルサーペントが一番弱い魔物なんですから」
連携させてみるのも1つの手だろうとは思う。まあ、ストーンバレットの話は出さなかったけど。自分の手の内を全部明かす必要は無いからな。それに、それを公開したとしても、今度はストレージ持ちの冒険者が増えるだけで、他の冒険者のレベルアップには繋がらない。中々難しい話なのだ。
なんだかんだと言っても、冒険者が自分たちのプライドを捨てられないと意味がない。ストレージの加護持ちに頭を下げるだけの勇気があるのかどうかだよな。そんな事をしてみろ。酒場で笑われるだけなんだよな。それに耐えられるのかどうかだ。プライドが許さないのであれば、そもそもそんな事をする必要はないとは思うし、稼ぎがあるんだったら耐えられるって考えなら、紹介してやっても良いとは思うけどな。
問題は根深いと思うぞ。なんだかんだと加護を馬鹿にしている奴らが多いからな。それに引っ張られて自分たちも馬鹿にしているんだろうし。ストレージの加護は有用なんだって解っても、それを使う事に躊躇するようでは駄目なんだよなあ。稼げるなら良いじゃないかってくらいの感覚で居て貰わないといけないと思う。稼げるなら許せるって思えないといけないとは思うな。




