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転生しない  作者: めれ
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第47話 料理は愛情


第47話 料理は愛情



『まず、ルールを決めましょうか!お互い今日の夕飯のご飯を作り、より皆に食べてもらえた方が勝ちにしましょう!食材は自分たちで調達、調味料に関してはアインツ家から購入したものを使いましょう。』


『うん、わかった!』

『ふん、シンが勝つに決まってるわ!』

シンの料理の見た目について周りが何も言えないのは側にいるヒトラが怖いのも原因の一つかもしれない。


『お姉ちゃん、頑張って!!』


『ここにいる人は対決の件は皆に内緒ね。』

『わかりました!』

公平にするためにチャールズと試食で来ていた皆には私たちのアシスタントに回ってもらうことにした。




『よし、そうと決まればまずは食材探しね!』

『アン、これをアインツ家の人にお願いしてきてもらえる?』


『うん、わかった!』

アンに必要なものを書いた紙を渡すと以前から作っていたアインツ家に行くことが出来る”移動”の魔石を使い、買い出しへ向かってくれた。作る量はここにいる住人達と最近では騎士団の分も一緒に作るようになったので約60人程の量を用意しなければならない。シンはいつもこんなにもたくさんの分の料理を作ってくれていると思うと感謝の気持ちでいっぱいになった。みんなが頭があがらないのは当然だ。



『ランカ、ちょっとシェードの森についてきてほしいのだけどいいかしら?』

『えっいいけど、どうしたの?』

『ちょっと、晩御飯のおつかいを頼まれて。』

『うん、いいよー。』

ランカとシェードの森に向かい、食べられそうな植物や木の実、そして魔物を狩ったりし、なんとか60人分に間に合う量まで集めることが出来た。途中、リスタ村のダーウィンが耕した畑が日に日に土地を広げていき、クラウスのおかげで実りに実った野菜や果物に驚きつつ、当面人数が増えても食料問題に心配になることがないことに安心した。



村に戻ると時刻はもうお昼を過ぎる頃だった。シンはお昼ご飯の後片付けをしながら、夜ご飯の準備を頑張ってくれていた。帰ってきたアンと合流し、ご飯の仕込みに入る。

今まで一人で自炊をしてご飯をずっと食べていた為、こちらに来てからは皆で食卓を囲んでご飯を食べることがとても楽しかった。今日は料理対決とはいえ、自分が作ったご飯を皆に食べてもらえたことが新鮮で喜んでもらえるかとても楽しみな反面、上手く作ることが出来るかとても不安になっていた。





夕刻になり、皆が夕飯の為徐々に集まってきた。


『おっ今日はやけに豪勢じゃねーか!』

『美味そう!』

『なにこれ!見たことない!』

本日の献立はコカトリスの肉に塩コショウで味付けた焼き鳥とキュウリに似ている野菜のキンバを一本丸々串に刺し切り込みを入れて漬けたお漬物、ケチャップはなかったのでトマトのような味の赤い果実を使いソースを作り、シェードの森で稲と似たような植物を見つけたので焚いたお米のようなものでオムライスを作った。

シンとヒトラの料理はパンに魔物の肉を挟んで水色のソースをかけたサンドイッチとピンポン玉ぐらいの3つの丸い球体を串に刺し緑色のソースが絡んでいる串だった。


『あれ?エドとロバートがいる。…』

『えへへ、私が呼んだの!未来なんてさ、ちょっとしたはずみで、どんどん変わるから。』

『……ありがとう。』

エリザベスの事を心配してくれていたアンは二人をご飯に誘ってくれていた。




『シン、この丸いのは何?』

綺麗なまん丸の団子三兄弟が気になり、聞いてみた。

『それはね湖と海の境界にいる魚たちのめだ』

『それ以上は聞かないでおこう!!』

皆、何かを察してかシンの話を遮り、これ以上聞かないでほしいとお願いするようにエリザベスを見つめていた。シンの料理は原材料はともかく原宿やハロウィンの時などに販売してれば売れそうな見た目をしていた。



『いただきます!』

皆、シンの料理ではなく、私の作った料理に手が伸びていく。


『ちょっと!作るものは串で刺したものか紙で包んで食べれるものって言ったわよね!』

『あっそうだった!ごめん!なんでこれ作ったんだろう……』

ヒトラに巻きつかれながら串にもさせず、紙でも包めないソースでスマイルを書いたオムライスをじっと眺めていた。



『ごちそうさまでした。』

『ああ、食った食った!』

『シン、今日のは一段と美味かった!』

『あの塩漬けのキンバはまた食いたいな。』

『卵でくるんだ赤い粒々も美味しかったなー』

お皿は綺麗に平らげられ、食べかすがない状態になっていた。皆、日ごろの習慣もあり”残さず食べる”ということが体に染みついていた。

人に自身が作った料理を振舞った記憶はもちろんないが、美味しそうに食べてもらえるという事はとても嬉しいことだと感じた。

ただ、たくさんの量を作ったので残ると思っていたがこれでは対決の勝敗がつかない。





皆がご飯を食べ終わり、家から出ていくとアシスタントで手伝ってくれていた皆と後片付けを始めた。

『エリザベス様……負けました。』

片付けながらシンが呟くように声を漏らす。


『いや、シンどちらも残さずみんな食べてくれたのだから引き分けよ。』


『いえ!みんなエリザベス様の料理を褒めていました。今まで美味しいとは皆に言われたことがありますが、食べる前からワクワクするような皆の表情を見たことがなかった。今日エリザベス様の料理を食べる皆の表情は生き生きとしてたんです。そこで気づきました。僕に足りなかったのは……』

料理対決をしたことで見た目の重要さに気づいてもらえたのだろう。料理は愛情ではあるがやはり見た目の大事なのである。




『芸術だったのですね!』

見た目と芸術は一緒と捉えてよいのだろうかと考えながら、頭にクエッションマークが並んでいた。


『そ、そうだね!可愛い見た目とか美味しそうな色とかだと食欲が湧いてくるかもね。』

芸術というところは少し引っかかるが補足も伝えたし、理解してもらえているであろう。きっと。

『ありがとうございます!!明日からまた頑張ります。』

シンは料理の新たな可能性を見出したのかやる気に満ち溢れていた。




その後、シンの料理はさらに独創的且つアーティスティックな作品となり、パリコレのファッションで出てきそうな見た目の食べ物が並ぶようになっていた。

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