第40話 作戦会議Ⅱ
第40話 作戦会議Ⅱ
みんなから”今日はエリザベス様を休ませて”の言付けを貰っていたライラとウララは外に出ようとする私を頑なに引き止め、洞窟の外から出してはくれなかった。途中、ロバートを使って脱出を試みたがライラとウララの地獄耳の前には無意味だった。
夕方には少しづつ、みんなが洞窟の中に集まってきていた。皆会う度、私のイメチェンに驚いていたり、あまりにも以前より地味な姿に馴染んで気づかなかったりと皆をたわいもない会話をすることで先ほどまでの気持ちが徐々に和らいでいった。
夜には全員集まり、これまでの状況のすり合わせを始めることにした。
『集まったわね。皆、お疲れ様!私が寝ている間までの状況の説明をお願いできる?』
『では、私から説明させて頂きますね!
私とダーウィンは”穴掘り”でこちらの拠点の作りとその後の資材を導入、ドレークさんは”移動”してきた家などの調整、アンさんとクラウスさんには農業を進めるべく畑の”移動”とそのまま畑仕事、ランカさんにはリスタ村にいる人たちや騎士団の人達の鑑定を行っていただきました。他のメンバーには護衛をお願いしておりました。その後、私がランカさんの”鑑定”結果もとに本日の工程の計画を立て、各自に割り振りを支持しました。現在は農業、建築、食料調達と分けて動いております。
そして、ロトさんの部隊は…………伺っているようですね。』
私は少し俯きながら、アンリのいる方を見るとアンリは隅っこに体育座りをしながら罰の悪そうに皆から目線を反らしていた。皆もアロンじいが死んだことを知っているかのように俯き、口をつぐんでいた。
全員を見回すと一人いないことに今更気づく。
『そういえば、ロトは?』
『ロトさんはやることがあるっていって少し出かけています。』
以前からロトの行動は気になっていた。昨日のジャックの言葉から王妃様のスパイではなさそうという事だけは理解できたが…ロトは今何をしているのだろう。
『当初から予定していた。飲食の出店、家庭用の便利用品店、お風呂屋の建設は本日から行っています。』
『チャールズ、ありがとう。他に何か話したい人はいる?』
誰も話を切り出すことがなさそうな様子を確認し、ロバートが手をあげていた。
『それではこの場を借りて、少し話をさせてくれないか?』
ロバートと目を合わせ、私は静かに頷いた。
『今回の件で騎士団一同、リスタ村の方々に感謝をしている。本当にありがとうございます。今後、この村の警備はもちろん、何か力になれることがあったら是非協力させてほしい。
借りは返すよ。
あと、コルトの事だが…
あいつの本当の名前はコイルだ。彼は皆がご存じの通り、王妃様直属の兵士だ。ジャックと共に王妃様の護衛を任されていたのだが、ジャックは5年前に騎士団長に推薦をされ王妃様の元を離れていたがコイルだけはそのまま王妃様の近くにいた。幼いころから城に住んでいたので自身の家族・兄弟などはもうこの世にいないのではないかと噂されている。恐らく、今は城の王妃様の下に戻っているのだろう。』
コルトの話になった瞬間、アンリはこちらの話に真剣に聞くようになり、その目は見開いていた。
『私も聞いたことがあります。昔、隣国で大量の死体が発見されたがあって身元を確認していくとある家族の子供だけ見つからなかった。その子供がコイルなんじゃないかって噂が流れてました。』
ウォルトが騎士団に居た頃の噂話をすると、皆の顔が引きつっていった。
『隣国ってブルテンのこと?』
『そうです。その事件があったのは間違いないそうでアースランドとしても隣国で大量の死者がでた事件だったので感染症などの疑いもあり、数名が調べに行ったそうです。』
『よし、ブルテンにいってみよう!コイルのことがなにかわかるかもしれないし、アロンじいの最後の言葉も気になるし。』
ーーお主は救われる。必ず救われる。だいじょ……う……じゃ……ーー
この言葉はコイルを助けなくちゃいけない気がする。
『私もいく。』
アンリが立ち上がり、こちらを真剣に見ている。
『……わかった。キリトも着いていくんでしょ?』
『当たり前だろ!』
コイルの産まれた村に向かうのはロトが帰ってきてから向かう事になったのだが、
その後、ロトがリスタ村へ帰ってくることはなかった。




