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転生しない  作者: めれ
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第2話 王との謁見




 第2話 王との謁見




 翌朝、出入口がざわついている音がする。昨日トマスと話したお陰で色んな意味で状況が変わっているのだろう。

 昨夜から寝ずに今後の展開を予測し対応を考え、エリザベスの炎魔法のお試しや、タイミングを見計らいインベントリの練習をしていたら、時間が過ぎるのはあっという間であった。

 徹夜はやはり、体にもお肌にもよくない。急な睡魔に誘惑されながらいつのまにか目を閉じていた。


 ーー私の部屋で私が漫画を読んでいる。

 大事に本棚に並べられた漫画たち、それを眺めながらコーヒーを飲むのがとても至福の時だった。

 自分がせっせと働いたお金で大好きなものに囲まれている充実感がたまらなく幸せである。

 もう少しであの漫画の発売日だとか週刊連載のあの漫画はどうなったかとか、漫画の事ばかり

 考えていた。

 早く続きが見たい。

 テーブルをみると、先ほどインベントリした小石等が山のように積みあがっていた。

 夢と現実がごちゃ混ぜになっているのか、家にはなかった本棚も見つけた。


『……ぉ…………ェ………………ぉ……!』


 なにかに呼び戻されている感覚に戻りたいと縋るばかりに夢の自分に手を伸ばすと


 ーー夢の中の自分が微笑んでこちらを見た気がした。


『起きろ!エリザベス!!!』


 目を覚ますとそこにいたのは幼馴染で騎士団のロバート・ダンテと他数名の騎士たちが私を起こしてくれていた。

『エリザベス、これ使え。』

 小声で私にハンカチをくれたロバートが恥ずかしそうにしている。騎士団の中には笑いをこらえる方もいて、少し寝てしまっている間に顔の寝ぐせがくっきりつき、ご立派なよだれの後もつけたままご対面したようである。


『このことは内緒で宜しくお願いします!!』

 恥ずかしくて赤面しながら、皆さんに告げるのであった。


『んん!!えー、これから、王族との謁見がある。エリザベス・アインツ、王の間へ移動してもう!速やかに移動せよ!』 

 先ほどの茶番を終わらせるかのように仕事モードのロバートに戻り、私を連行していく。その姿は終始、悲しそうに見えた。ロバートはこれから私がどうなるか心配してくれているのだと思う。


『ここだ。…………………エリザベス。』


『……諦めたらそこで試合終了ですよ!』

 ロバートが心配しないように目を細め気味に二十顎を作り、優しい雰囲気で伝え、王の間へ向かった。





『エリザベス・アインツ!お前の企みも今日ここで終わりだ!!』

 扉が開くなり、相変わらず、おバカ丸出しのお兄様である。


『んん!では、エリザベス・アインツの罪状を告げる。』

 要約するとこれまで優秀なエリザベスが国の繁栄の為、尽力した行動は国を乗っ取るために企てたものであったという内容でエリザベスが繁栄の為に関わってきた貴族たちはすでに王妃に買収され、偽りの証言をされていた。そして、婚約者候補だったメアリに嫌がらせを数々行ったとされる偽りの証拠もプラスされたという事となる。

『申し開きがあるか?』

 罪状を話すトマスがどこが心配げに私に質問してくる。


『恐れ入りますが、トマス宰相様がお話下さった内容は事実無根にございます。』


『ここまできてまだ言い訳を申すつもりか!!』


『王族の皆様に大変ご無礼な対応をしていること誠に申し訳ございません。神ミネルヴァに誓い、嘘偽りはございません。』


『神ミネルヴァ?エリザベス様、この国で信仰している神を忘れたのですか??神の名前はアテネ様ですよ。』

 メアリは小バカにするように私に教えてくれているが王族だけに伝えられた、神の名前がある。

 その名がアテネ・ミネルヴァである。私の発言でお兄様はお義母様の方を見て様子を伺っている。そして、お義母様の顔は澄ましているようにみえるが、内心はらわたが煮えくり返るような怒りでこちらを見ているように見えた。今の発言で王族を宣言した私をこの場で死刑にすることは出来なくなった。

『失礼いたしま』


『エリザベス・アインツ公爵令嬢、チャンスをそなたに与えよう。

 スラム街を復興させよ。』

 私の言葉を被せるようにフラン国王はその言葉だけ伝えた。

『スラム街!!死人と盗賊ばかりいる所を復興だなんて!!可哀想!!!』

 そのテンションだけで考えるとバカなお兄様にメアリはとてもお似合いである。



『期日を設けます。雪が降る前に復興させて見せなさい。』


『かしこまりました。神に誓いこの役目果たしてご覧にいれます。』

 復興できないようにするため、無理な期日までお義母様は用意して来た、雪が降るまでとなるとおおよそ3か月ぐらい。恐らく、その間キャサリン妃は私をどんな手段を使ってでも殺しにかかってくるであろう。二人は部屋を出るまで目線を晒さず、火花が飛ぶように見つめあっていた。





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