第27話 人の口に戸は立てられぬ
第27話 人の口に戸は立てられぬ
貴族向けに先行で販売したカイロの売れ行きは上々だった。物珍しさに購入するものの中にも同じく魔力を込めた魔石の販売を試みるものが現れたがその魔石はすぐに砕けてしまう。そのおかげもあり、壊れないカイロは瞬く間に売れることとなった。
『それでも自身のスキルが他のものが使える方法を知った国民は魔物討伐に動いて魔石集めや自身のスキルを販売して儲けるものが増えてきました。他国にこのことが知れ渡るのも時間の問題かと思います。このことで国では販売規制をかける動きが出ておりますが、我が公爵家から販売されたカイロに関しては規制対象外になることを王に進言中でございます。また、販売に際し購入した人物には署名捺印をこの書類に記載していただくようにしております。悪用を考える輩もこれから少なからず多く現れると思いますので念のため用意させていただきました。』
『次にエリザベス。』
『はっ!実験の結果。魔石を使ったところで一時的なコピーでしかないので本来のスキルの能力には及ばず、力加減によっては私の炎魔法のように温度の加減も魔石に反映して流すことができます。また、スキルのない人間にも使えるようにという指示を頂いてから研究を重ねておりますが、魔物の体液で魔石が反応するところまでわかりました。』
この異世界生活を始めてから半月が立とうとしていた。スライム風呂を毎日入っていることで誰も魔力を流していないのに勝手にスライムの部分が暖かくなることが判明した。魔石は魔石回収自動装置のおかげで毎日大量の回収が続いており、家の建設に関しては必要な予定件数分の木材を確保できるまで用意が出でき、匠チームは商品の製造の方へ着手していた。毎日が忙しく、そしてなんの危険もなく充実した日々を過ごしているが、現在は悪役チームが動いてくるお決まりの展開だろうと漫画大好き歴25年の私の感が告げていた。
『エリザベス、聞いているのか?』
『申し訳ございません!ボーっとしておりました。』
そして、今はアインツ邸で作戦会議の真っ最中である。
『スキルの能力についてだが、一度私とエド・ディーチェ・アインツ家もののスキルも見てもらいたい。今後の商品の作成に役立つかもしれない。』
『エリー、宜しくお願いね。』
『かしこまりました。』
ディーチェとは私の義理の母でエドのお母さんである。40前の年齢には見えないほど美しく、聡明で誰とでも仲良くできる笑顔が素敵な方である。優しい人は怒ると怖いものであの笑顔の裏では何を考えているかわからない。この家の要注意人物は義理のお父様ではなく、義理のお母様であると私の本能がまた告げていた。
次回は鑑定のスキルを持つランカを連れてくるとお話し、ロトと共に公爵邸を後にした。
ーーーーーシェードの森ーーーーー
辺りを見回すと誰も文句を言わず、手を止めず、スラム街復興に向けて動いてくれていた。アンがこちらを見て手を振ってくれている姿を見ながら、残り2か月半の間でスラム街で復興準備をすることを考えるともうそろそろ、スラム街への全面的な移動を視野に入れていかなければならない。
『エリザベス様!』
『うわ!スラジイ!』
『ほっほっスラム街へなのですが、わしも連れて行ってはくれませんか?』
スラジイにはいつも驚かされる。そして、予言というよりか私の考えを読めている。以前何回か今後の展開についてその先を聞いたことがあるが見えないと言われるばかりであった。怪しい爺である。まあ、スラム街の長のような存在なのだから他の住民たちともコミュニケーションは取りやすいはず。
『わかったわ、その時はよろしく頼むわね。』
【みんな、聞こえる?今の所、騎士団とかの聴取事態は落ち着いてきたんだけど見回りの人員は前よりも増えた。あと………エリザベス様に賞金がかけられてるらしいって噂が広まってるよ。】
『えっ』
ーーーーースラム街ーーーーー
『なっ聞いたか?あの噂!』
『聞いた、聞いた!』
『賞金の額は一生くいっぱくれしない金額らしい』
『嘘じゃないの?』
『あくまでも噂だからなー』
『誰に渡すんだよ?王様に差し出せばいいのか?』
『さぁ……』
スラム街ではある噂が流れ始めていた。【エリザベスを殺せば賞金が貰える】と。
ーーーーー王城にてーーーーー
真夜中の王城は静まり返っていた。不気味なほどに。
『群衆は皆金さえ積めば動きます。噂に信憑性を出すために次は偽のチラシを作成し、換金所の場所をほのめかす噂を流します。』
『最初からこうすればよかったのよ。
金は命より重い……ってこと』
メアリーの一室でメアリーともう一人、エリザベスを陥れようと暗躍していた。
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