第23話 穴があったら入りたい
第23話 穴があったら入りたい
スライムを仲間にし、知らない人だったABも昔からの知人とういうことが分かり、一件落着と言いたいところだが、現在周りは壁、上を見上げれば私が開けた穴がある脱出が困難な現状に変わりがなく途方に暮れていた。穴の先を見上げると相当下の階層に落ちたように感じる。
『ああ、スコップさえあればなー……』
『バーロー、スコップなんてあってもこんな深いところから出られるわけがないじゃない。』
『バーロー??』
『あれエリザベス様、ダーウィンのスキルをお忘れですか?ダーウィンのスキルは”穴掘り”なんですよ。』
……”穴掘り”、まあ、少しは掘れるかもしれないけどこんな深いところから出られるまで掘り進めるのに何日かかると思っているのやら。
『ーぉーーーーーんーーーーーーぉねーーーーーーんーーーーーーーー』
穴の方から声が聞こえる気がする。
『マリン、さっきみたいに大きくなれる?気に入らなかったかな、あなたの名前よ。』
スライムはマリンと名付けされたことに喜びながら、3人を乗せ大きくなった。
空洞の部分がマリンの体で埋まったがさすがに落ちてきた穴を埋めるぐらいに大きくなることは出来なかった。
『アーーーーーーーーーン!!聞こえるーーーーーー?』
『聞こえるよーーーーー!3人とも無事なのーーー?』
『ええ!大丈夫よーー!ロトさん、ケガしないから落ちてきてーーー!』
ロトさんの”移動”のスキルでマリンと私たち3人はここから出れると考えたのだ。
『えええええええ!僕が下に落ちる!?いやいやいや、僕高いところがダメなんですよ!いや、別の方法ありませんかね?』
『ロトさん、ご使命だ。』
『頑張れ。』
『ロト兄ちゃん、いってらっしゃい。』
クラウス、ウォルト、アンはロトに静かに圧をかけ、そのまま穴の方へ誘導していった。
『わかりましたよ!!!行きます!!行きますから!!自分のタイミングで行かせてください。』
ロトは穴を目の前にして足が震えさせながら唾を飲みこんでいた。
目をつむりながら何度か深呼吸をし、飛び降りる決心を決めた。
『……せーの!やっぱだめだ!、行くぞー!これもだめ。どっこらしょー!……もう無理ぃーーー。…』
何度も飛び込もうとするがなかなか飛び込むことが出来ない。その姿に3人は目を合わせ頷く。
『ロトさん、あれ見て。』
頭を抱えるロトにアンが洞窟の奥の方を指さすとその瞬間、ロトの足が地面から離れていた。
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!』
『ロトさん、ごめんなさい。』
『大丈夫、俺たちは背中を押しただけだ。』
『うんうん。』
3人にエールを送られながらエリザベスの元へ落下していくロトの断末魔はエリザベスの元へ届き、エリザベス・ダーウィン・チャールズは急ぎマリンから降り、穴の方に目を向けていた。
ポヨン、……ドサッ……
『エリ…ザベス……様……』
落ちてきたロトは3人を”移動”させる間もなく気絶した。
『ロト!!嘘……気絶してる…』
ここから出られる最善の手段を失ったエリザベスは頭を悩ませていた。
上にいる3人に現状を伝え、ロトが起きるまでの間の必要な食料や水などを持ってきてもらう事にした。
『スコップもお願いします!!』
途中、ダーウィンがスコップを注文していたが突っ込まない事にした。
お昼ごろにはまだ育ち切ってない野菜やドレークさんが作ってくれたであろう水を入れた木の容器・木のスコップ、魔石が上から降ってきた。
『他にも何か必要なものがあればここにいるから声かけてー!』
先ほどよりも鮮明に上の声が聞こえるようになった。降ろしてくれた魔石に魔力を込めると力がみなぎってくるような感覚がある。アンの癒しがこもったであろう魔石はダーウィンとチャールズにも触れてもらった。上では魔物を倒しながら恐らく3、4人ぐらいが交代で待機してくれているようだ。
『おおお!!エリザベス様見ていてください!!私のスコップ捌きを!』
ダーウィンがスコップで穴を掘るとみるみる土が掘れていき、25メートルぐらいまで掘り進めるをスコップが壊れてしまった。エリザベスはその光景に口をあんぐりさせ、チャールズは感心していた。
『スコップが壊れてしまった……』
『ダーウィン、すごい!まるでゲームみたい……』
ダーウィンは照れながら作業を続けた。人気を博したゲームのような光景は現実ではありえないと思っていたがここは異世界で魔法やスキルがある世界なのだから当たり前なのだと自分を納得させた。
その後はスコップが壊れれば追加して降ろしてもらうを繰り返し、穴を掘ってくれているダーウィンの汗を手術中の医師のように私とチャールズがぬぐいながらスコップを渡すを繰り返し、洞窟の入り口まで掘り進めてもらった。
『嘘みたい、出られた。』
『お姉ちゃん!!!!!』
『アン、色々とありがとう。』
アンに抱きしめられ、空を見上げると一面オレンジ色になっていた。こうして、ロトが起きるまで覚悟していた知らなかった2人との洞窟生活はあっけなく終わった。
『あれ?ここは?』
『もう、洞窟の外よ。へたれロト。』
『そんなーー』
みんなで顔を合わせて笑いながら、拠点に戻っていった。




