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転生しない  作者: めれ
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第1話 渡る世間はチートばかり




 第1話 渡る世間はチートばかり




 どうやら何かしでかすと疑われ、牢屋にいれられた。


『まあ、この後殺されるとかのお決まりな展開を少しでも回避出来ただけましか』

『ステータス オープン!』


 ーーーーーーーーーーーーーーー

 エリザベス・アインツ♀ (16)


 レベル 10

 攻撃力 10

 防御力 10

 魔法  20

 素早さ 10

 運   100


 ☆スキル

 火魔法、インベントリ

 ーーーーーーーーーーーーーーー



『チートもない感じかー、オワターー!』


 まぎれもない、これは転生である。

 数多ある漫画を人並み以上に読んできた私にはわかる!そして、漫画の中でも唯一嫌いなジャンルの転生漫画。最初は新鮮でとても面白いと思って読んではいたが、次第にどんどん色んな転生ものが出てくる現状に飽きてきて最近はめっきり読んで来なかった。しかも、私には縁遠い悪役令嬢の転生…

 25年オタク人生を送ってきた保家とく子の漫画知識をフル回転させこの窮地を乗り越えねば。


 恐らく、この後国王様の使いの者がこちらにやってくるであろう。私が生きていた日本・地球そして漫画知識というチートを使いこの危機を打破しなければ、恐らく私は死んでしまうだろう。


『インベントリ オープン』


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 記憶1

 記憶2  鍵

 記憶3  鍵

 記憶4  鍵

 記憶5  鍵

 記憶6  鍵

 記憶7  鍵

 記憶8  鍵

 記憶9  鍵

 記憶10   鍵


 ーーーーーーーーーーーーーーー


『えっどうゆうこと?』

 インベントリって物を収納できるチートアイテムですよね?その中に記憶しか入っていない、確かに転生しているこちらのエリザベス・アインツさんの記憶が今のところまったくない、そしてこの世界の知識すらない私にとってこれから国王の使いのような方が現れたとしても商談を行える情報が少なすぎる。


『記憶1に鍵がかかってないってことは開けられるってこと?』


 半信半疑ではあるがエリザベスさんの記憶を開けてみることにした。


『記憶1 オープン』




 体に電撃が走ったかのようにエリザベスの記憶が駆け巡る。


 ここはフラン国王が納めるアースランドという国でエリザベスさんはフラン国王とメイドとの間に出来た子供なのにもかかわらず公にはされず、フラン国王の従妹にあたるアインツ公爵家で育てられてきた。それを知っているキャサリン妃が息子のヘンリーを国王にするべく、侯爵家のメアリー・スチュアートを王子の結婚相手にするように動き、現在断罪の真っ最中ということになる。


『なんで兄妹で結婚!?』


 記憶を見て、エリザベスさんがすべてにおいて優秀すぎることがわかる。魔法・勉学・所作・そして美貌、いろんな人から妬まれてもおかしくないぐらいレベルである。美貌は妖艶に人を魅了する美しい赤毛にエメラルドに輝く緑の瞳をしている。現にキャサリン妃やメアリに相当嫉妬されていたようだ。その優秀さからエリザベスさんを婚約者へと推薦する動きに王もアインツ公爵家も止めることが出来なかったのである。もし、国王の子供という事がわかれば、女王に推薦されることになりかねない。

 エリザベスさん自身、全ての事を理解していたようである。過去の彼女の表情はとても悲しそうでどこか心ここにあらずという感じである。


『エリザベスさん…』

 転生したはいいけど、ではエリザベスさんの魂は今どこにあるのだろう。彼女がこの国で笑顔にハッピーエンドを迎えれるようにしてあげたい。そのためにはなんとしてでもこの窮地を打破しなければ。




『奇跡は諦めない奴にしか降りてこない!!!!!ドーン!』


 両手でほっぺを叩きながら気合を入れ、打開案を考えることにした。



 インベントリに牢屋の床にある石を入れながら考える、アースランドの国はとても豊かで農作物に恵まれ、近くのトルネオ洞窟からは金やエメラルドなどが取れるので他国との貿易でこのままでも十分くらい充実した生活ができている。ただその反面貧富の差は激しく、出生の良し悪しで豊かな生活が出来るかが決まる。今の国王が問題を抱えているのがやはり、スラム街や孤児院などの存在である。


『この前さー、騎士団の奴に頼まれてスラム街の巡回に行ったんだけど、子供たちが群がってきてよー

 おこぼれを渡すまでずーっとついてくるんだよ!気味が悪くてよー』


 とてもタイムリーに看守がお話をしてくれている。その話の通り小さい子供達が騎士たちを囲むようにおこぼれをもらいに来ることもあり、みんな巡回当番にあたりたくないそうだ。

 現在のスラム街は誰も近づかないがスラム街の人間の王都内の窃盗は横行しており、医療もまともに受けることが出来ないので野垂れ死ぬか野犬や鳥などに食い散らかされるかで一生を終えるそうだ。



『ポク…ポク…ポク…チーン!いいこと考えた♪』




 牢屋の出入口がざわついてきた。恐らく国王様の使いのものが来たのだろう、これから始まるプレゼンテーションの用意は万全だ。


『エリザベス・アインツ公爵令嬢、お久しぶりでございます。』


『お久しぶりです。トマス・グレイス宰相』


『……義母さまは私を死刑にしようとなさっているのかしら』


『トマス・グレイス宰相に何たる無礼を!!!!』

 隣にいた衛兵が叫ぶ、本来であれば国王の側近であるトマス・グレイス宰相は王族の次に権限を持つ高貴なお方、その方にする相応の対応ではない。


『……………二人とも少し席を外してくれないか?』

 何かを察した宰相は二人の衛兵を下げさせた。

『お気づきだったのですね、エリザベス王妃。助けることが出来ずに誠に申し訳ございません。』


『トマス、あのバカなお兄様が国王になればこの国は自ずと腐敗の一途をたどるでしょう。国王はどうお考えなのかしら?』


『国王は何としてもあなた様を死刑にさせぬようにご尽力くださっている最中でございます。どうか今しばらくおまちくださいませ。』


『………では、トマス提案があるのだけれど、私にスラム街の管理をまかせてもらえないかしら?』


『なんですと!!!???姫をあの地区に行かせるなど無理に決まっているではありませんか!!!』


『声が大きいわ、トマス。

 私をスラム街の管理者という名目で追放すると話せばお兄様、義母様、そしてメアリーまでも喜んで許可するでしょう。私の苦しむ姿を拝むことが出来るのですから、それとは別でスラム街の早急な復旧をするためアインツ家の森に居住します。インベントリ!』


『これは!!!!』

 何もない牢屋に汚れたベットや枕、見える範囲の小石が50個くらい、看守の腰につけていた牢の鍵が現れた。

 鍵はトマスに返して、トマスは王に伝えるをいい今日の所は帰って行った。


『…ふー……』

 正直、家をインベントリ出来るかは不安であるがいい判断材料になったのではないでしょうか。

 エリザベスの秘密、スラム街の管理という名の追放、インベントリの話で国王は納得し喜んだとしても、問題はお兄様・メアリ、いや一番怖いお義母様が理解するかの問題がある。まずは第一関門を突破する事を祈るばかりであった。



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