融通無碍
文章力向上のために、四字熟語の意味と自分が取り扱いたい問題や風潮を織り交ぜたものを作りました。
大学の夏休み、新生活にも慣れ、落ち着きを得てきた頃、僕はAからバイトに誘われた。Aは隠す余裕がない程にお気楽な奴で、頭の中が空っぽなんじゃないか、と思わされる。そんなAは、どうも高収入バイトを見つけてきたらしい。Aいわく、たった一時間の労働で百万円がかせげるとのことだ。お察しの通り、一時間で百万円稼げるという話からは胡散臭さと法外な匂いがプンプン臭ってくるので、
「そんな怪しいもんに付き合う訳がないだろ。」
と断った。けどAは、
「お前は見てくれるだけでいい。真の自由を得た俺をな。」
と意味がイマイチというか、全くわからないことを抜かしてきた。結局、バイトをやることにした。Aがあまりにも、しつこかったからだ。所謂、根負けというやつだ。
Aにつれられ、あるマンションの一室の玄関前まで来た。
大学の最寄駅に近い、意識が高そうな奴しか住んでなさそうなマンションだ。
「俺が入って、十分経ったら入ってきてくれ。」
とAは言い残し、玄関の先へと消えていった。
「現在時刻、十三時四十八分か。」
Aが部屋に入ったのは十三時四十三分くらいだから、後五分待たねばならない。
「ーーー。」
廊下はやけに静かで、セミの声さえも聞こえない。外に比べ涼しく、快適ではある。けれど、不気味な静けさと季節外れの寒さが、背中から全身を包み込むような不安感を強める。Aはどうなっているのだろうか。僕はなにをさせられるのか。
十三時五十三分ごろ、十分が経った。ドアノブに手をかける。手の感覚は、鉄特有の鋭い冷たさと汗のギットリとした
不快感に支配されている。ガチャリ、キー。
部屋は間取りされてなかった。ただ一部屋、ただの広い部屋があった。そして部屋の真ん中に一つ、高校の生物の時間に見た、グチャリとした腸のようなモノがあった。そして、
ソノ前に耳の揃った現金とその上に置かれたメモ書きがあった。今の僕にはモノを正確に認識する余裕がなく、わかるものが欲しくて、メモ書きに何が書いているか、それだけがひどく気になった。メモを手に取った。赤い文字でこう書かれてあった。
彼自身は自由となった。この狭い部屋で無限の世界を手に入れたのだ。さて、君は彼が自由だと思うかい?
自由って人の認識次第じゃない?という考えと、
「人は脳だけで生きていくことができる。なぜなら世界を認識しているのは脳なのだから」みたいなSF話を織り交ぜてみました。
一話目完了です。ありがとうございました。




