表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/13

謎の飛行機を追って 1

カチャカチャ・・・

整備をし始めて数日が経った。今回の挑戦のダメージだけでなく、詳しく調べると劣化によるダメージが出ている個所がいくつか見つかった。今日は飛行機の下側に入って、機体の整備を行っている。工具箱から必要な道具を手探りで探していると、

「これ?」

という声が上から聞こえた。声がする方を見ると、コックピット周りの点検をしていたすずが探していた工具を手渡してくれていた。

「ありがとう」

と言ってすずが渡してくれた工具を受け取る。


数時間後。辺りが暗くなった頃、整備がひと段落したので今日は終わることに。あとは取り寄せたパーツが届くのを待ち、それを積んで終わりだ。

整備が始まってからずっと手伝ってくれているすずと歩く帰り道も、すっかり慣れてきた。

「今日はだいぶ作業が進んで良かったね!」

笑顔でそう言うすずと共にこれまでの作業のことや今後の作業のことについて話しながら帰った。すずの家に着くころにはすっかり陽も落ちて暗くなっていた。すずが家に入るのを見届けて、自分も帰宅する。すずの家から自宅まで帰るこの時間が一日の中で一番疲れを感じる。やはり誰か話相手がいるのは重要なのだろう。そんな事を思いつつ、薄暗い街灯が照らす道をとぼとぼ歩いていると数分で家に着いた。



夕飯やらお風呂などを済ませているうちにすっかり夜遅くになってしまった。コーヒーを飲みながら今日の整備の進行度をノートに記録し、今日の進み具合を一通り確認した。その後、発注書を見ながら明日以降に届くパーツの確認等を行った。そんなことをしているとふと、少し前に新聞に載っていた飛行機のことを思い出した。あれ以降目立った記事が出ていないが、一体どうなったのだろうか…

例の飛行機のことを考えていると、いつの間にか一時間ほどが経っていた。自分でもなぜここまであの飛行機のことが気になるのか分からないが、相棒の飛行機と似た形のあの飛行機のことがどうしても気になってしまう。



翌朝、右手に痺れたような不思議な痛みを感じて身が覚めた。右手は頭の下敷きになっていた。例の飛行機のことや発注したパーツのことを考えているうちに寝てしまったのだろう。カーテンを開けて、窓の外を見るとまだ外は薄暗い時間だった。机に広げたままになっているノートや発注書、新聞記事などを片付けていると部屋の中が橙色の光に包まれた。窓の外を見ると、朝日がゆっくりと上がってきていた。

しばらく朝日に包まれた景色を眺めていると、ちょうど太陽の前を編隊を組んだ何機かの飛行機が通った。眩しい光の中を目を凝らして見てみると、それは最新のジェット機ではなく確かに相棒の飛行機と同じ時代の古いプロペラ機であった。この時はよく見えなかったのかもしれない、しかし太陽の前を通ったあの飛行機は少し前に新聞に載っていた例の飛行機だという確証があった。


居ても立っても居られなかったのか、考えるよりも先に家を飛び出していた。もちろん向かったのは格納庫。相棒がまだ飛べないのは分かっていたが、自然と格納庫へと向かっていた。


朝日に照らされる畑の中、バイクを飛ばすと数分で格納庫へと着いた。空を見上げると、あの飛行機たちが何故か格納庫の上をゆっくりと旋回していた。こちらが見上げていることに気付いたのか、その後すぐに雲の上へと消えていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ