きっと気のせい[1]
「花村さんー!そろそろ俺帰るわ」
葉鳥さんな帰られるということで私は葉鳥さんの元へ向かった。そして葉鳥さんは
「はい、お金。また来るね、花村さん」
私にキスをしてお金を置いて出ていった。
私の頭は全くこの展開に追いついていなかった。
葉鳥さんは…私のことを…?
「大丈夫か?」
私が戸惑っていると、お客様が声をかけてくださった。
「すみません、お客様がいらっしゃるのに」
こんなこと、お店ではあってならないこと。私はお客様からお叱りのお言葉も受けるつもりでいた。だけれど…
「いや、気にすることはない。恋人といたらそういう雰囲気になることもあるだろう…」
お客様から出てきた言葉はとてもお優しい言葉だった。
「あ、の、お客様の目の前で…その…キスをしてしまったことには変わりないので、私が何を言っても…言い訳になってしまうのですが…その…恋人では、ないんです。」
その言葉に甘えてしまった私はついこんなことを口走ってしまっていた…。こんなことお客様は言われても困るだけだしキスしたには違いないのに…。
「奴…いや、あの客が無理矢理か!?」
そんな私の言葉に、このお客様はとても心配してくださった…。優しすぎる…。
「無理矢理といいますか…私に隙があったといいますか…」
でも、どうしよう、この場をどう収めよう…
カランカランっ
そんな時、お店のドアが開いた。
「本当にお見苦しいところを、すみませんでした」
私はその場を逃げるように頭を下げてドアの方へ向かった。最低な接客だ、私…。
「…今度こそ俺がお前を守ろう」
そんな私に聞こえたこの言葉は…空耳でしょうか…。
…きっと空耳、きっと気のせい。
初対面のお客様がそんなことを言うはずきっとない。
「やっと会えた」
ここ30分くらいの出来事をかき消すように自分の頬を叩いたあと、私の目の前は真っ暗になった。