表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/39

【葉鳥】こっちの世界の君と俺[1]

「貴方に、貴方に莉々様は渡しません!お引き取り下さい」

この国の王の子である俺を睨みつける彼女…。

俺はそんな彼女が欲しかった。


「身分の高い俺がキミを手に入れるためには、莉々と結婚するのが手っ取り早いだろう?」

彼女の顎を持ち上げて、彼女を見つめる。


主人公にも悪役令嬢にも興味無い。俺は君が欲しい。君を手に入れるために、俺はこっちに来た。


「どれにしようかなー」

メニューを見るふりをして、花村さん…いや、杏奈を見る。


偶然なんて嘘。俺はここで君がカフェを開くことを知っていた。やっと手に入れることが出来るかと思ったのに、もう少しのところで俺の目の前から消えた君。


「葉鳥さん、ご注文決まりました?」

杏奈が今焼けたであろうシフォンケーキをオーブンから取り出しながら、俺に問いかける。


「んー、じゃあホットコーヒーとそのシフォンケーキくれる?」

「かしこまりました」

杏奈は屈託のない笑顔を見せる。あっちの頃とは大違い。こうなるまでに俺は今までしたことのなかった努力をした。なんせあっちの世界からこっちの世界に来れたと思ったら、年齢が10歳も上げられていた。こっちの世界の杏奈とは10歳差。この歳の差をこえて距離を縮めるのがとても大変だった。


杏奈と同時期に入社してきた恐らく杏奈に気があったであろう男を自分の課に引き入れ、彼と杏奈を何度も飲みに誘い、杏奈の好きなバンドを勉強し、ライブに誘った。お陰で杏奈はだいぶ俺に心を開いた。


「はい、どうぞ」

「わ、美味そう」

杏奈が出してくれたシフォンケーキとコーヒーはあっちの世界のときと同じ味がした…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ