6 意外と出来る子?
「成る程。ドラゴンの鱗ですか」
マーナは鱗をじっと見つめた。
その間に、トリシャは家の中を見渡す。
マーナの屋敷は怪しげな薬や本で埋め尽くされていた。
流石、魔女の家・・・
「これは、恐らくワイムートの鱗だと思います」
「ワイムート?」
「はい。シドリアの崖に住んでいると言われている、青いドラゴンです」
「見ただけで分かるの?」
「はい。この鱗の薄さと独特の匂いで」
へぇ・・。
「それで、そのワイムートってのは、どんなドラゴンなの?」
「氷になる火を吐くドラゴンです」
「氷?」
「はい。一見普通の火なのですが、触ってしまうと氷になり、敵を完全に凍らす事が出来ます。弱点は、クルの剣です」
「クルの剣?」
「クルという薬品を塗った剣で、心臓部を突き刺せば殺す事が出来ると言われてます」
「その薬品はあるの?」
「今はありませんが、作ることは出来ます。お作りしましょうか?」
「いいの?」
「勿論です!薬品は私の一番の得意分野なんです!」
マーナは嬉しそうに言った。
「じゃあ、早速薬草を取りに行きます!」
「え?材料分かるの?」
立ち上がったマーナに、慌ててトリシャは聞く
せめて、レシピ本でも見ましょうよ。
「必要無いです。全部頭に入ってますから」
この子・・・。意外とできる子かもしれない。
鱗を見ただけで、ドラゴンが分かったし。
材料の名前も何も見ないで分かるなんて。
この子、思ったより使えるかも。
「薬草取りに行きますけど、一緒に行きますか?」
「あ、うん。外に行くの?」
それくらいは手伝わないとね。
「いえ、地下園にあるので」
「地下園?行く行く!」
流石、魔女だね!