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4 空から女の子が落ちて来た
「はぁ、はぁ、湖遠すぎるんですけど!」
トリシャは汗だくになりながら、歩いている。
プファルツの湖は、城と正反対の場所にあるので遠いのだ。
「ったく、あのクソ王!これで情報間違っていたらタダじゃおかねえからな!」
トリシャは悪態を吐く。
おお見えて来た。プファルツの湖。相変わらず、鏡のように澄んでいる。
「あー喉乾いた」
トリシャは湖の水を手で掬って、飲もうとした。
その瞬間。
「きゃぁぁぁぁ!どいて下さぁぁぁい!!」
「え?うわぁぁぁぁぁ!」
空から少女が落ちて来て、トリシャに激突した。
「いってぇ!」
「すすすみません!!お怪我はありませんか!?」
「取り敢えず、どいて・・・」
少女はトリシャの上に乗っかったままだった。
「あぁぁぁ、すみません!ほんっとうにすみません!」
なんなんだよ。この空から女の子が落ちて来た的な状況は・・・。
トリシャは少女をじろっと見た。
メガネを掛けて、長い髪を二つに分けて三つ編みしている。胸元の紫色のペンダントが特徴的だ。今時珍しいくらい野暮ったいが、メガネの奥の紫の瞳はキラキラしている。