2 王の依頼
トリシャは、エレベス王国の首都に位置する、エレベス城に着いた。
「いやー、久し振りだわ。5年ぶりか?」
「トリシャ様!お待ちしておりました!」
トリシャの元へ、年配の男性が走ってきた。
「わー久し振り。カリバン」
彼の名は、カリバン・ソーレン。エレベス王国の宰相である。もうかなりの年のはずだが、それを感じさせない姿勢を保っている。
「本日はわざわざお越し下さり、ありがとうございます」
「王様に呼ばれたんだから、来るしかないっしょ」
「トリシャ様の御活躍は、よく耳に入りますよ」
「それほどでもないけどね」
どーせ、いい噂じゃないっしょ。
「ささ、王がお待ちです」
カリバンはトリシャを謁見の場に案内する。
謁見の場では、王が王座に座って待って居た。
「久し振りだな。トリシャ」
「お久しぶりです。王様」
アルベール・エルベス。エレベス王国の王。
いつもは凛々しく何事にも動じない王だが、今日はどこか不安気であった。
「お前でも敬語を使うようになったんだな」
「五年前は、大変失礼しました」
トリシャは戦争の褒美を頂く時に、少ないと我儘を言った伝説を持っている。
嫌な事思い出させやがって・・・。
あの後、散々仲間に叱られたんだよ。
「まあよい。本題に入ろう。トリシャ。ルイーズの救出を依頼したい」
やっぱり・・・。
「俺、騎士ですよ?俺になんか依頼するより、捜索隊出した方がいいと思いますけど」
「引き受けないのか?」
「・・・報奨金は?」
「ほう、姫より報奨金が大切だと?」
トリシャは肩をすくめた。
「この国の立派な捜索隊を出さずに、俺に依頼して来るって事は、ある程度敵の目星は付いてるんでしょ。それで、とっても危険な敵であることに間違いないね。」
「流石。鋭いな。それで、いくら欲しいんだ?」
「命張るなら、それなりの金額はもらわないと」
「ルイーズとの結婚はどうだ?」