死
「はじめまして」
フードをかぶった人間が口を開いた。
男なのか女なのか声では判別できず、深くかぶったフードのせいで口元しか見えない。
「お前は...誰だ!」
俺が頭を振り絞って、ようやくその一言だけが発せられた。
すると、フードの人間はにんまりと笑って、
「んーなんて言えばいいかな。私は…神だよ!」
-は?-
突然何を言ってるんだコイツは。神ならもっと輝いて白い布まとって、しいて言えばキリストみたいな感じだろう。
それに比べて、コイツはフードを羽織ってみるからにアニメに出てくるニートみたいだった。
その姿には懐かしみを覚えたが、今はそれどころではない。
「神だと?ふざけるな!正直に答えろよ。お前は誰だ?どうして俺はここにいる?何が目的だ!」
「だーかーらー神だって!まじめに。君が死んだから色々とサポートに来たんだよ。」
「お前が神だったら…ちょっと待て…今お前俺が死んだって言ったか?」
「うん。君は死んだ」
いよいよ頭が混乱してきた。何を言ってるんだコイツは。俺が死んだ?そんなバカな。
「自殺した覚えはないぞ」
すると、フードの人間はフッと笑った。
「自殺じゃないさ。君はバイトが終わって帰る途中、信号無視の自動車に轢かれたんだ。」
「証拠は?」
フードの人間は右手を強く握りしめた。そして勢いよく開くとそこには四角いディスプレイのようなものがあった。
それを持ったまま俺のところまで降りてきて1つの動画を見せてきた。
「君が死んだ時の動画だ。」
そこには自動車に跳ねられ、吹っ飛び、横たわり微動だにしない俺がいた。
「え、ほんとに死んだのか?だとしたらここは…天国?」
「うーん...天国の1歩手前ってところかな」
フードの人間は面倒くさそうにまた右手を強く握り開くと1枚の大きな紙が現れた。
その紙を見るなり大声で読み始めた。