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異世界最強は仲間を連れてエルフを助けるそうです。

暇な時に読んでくだされば幸いです。


遠い、遠い昔。

この世界で起きた、大きな大きな戦争。

その時代の地には沢山の、本当に沢山の種族が''住んでいた''。

彼らは争い、奪い、そして死んでいった。

人、人ならざる者、そして''全てを超越している者''。

全ての者が等しく''死ねた''。

人は1番弱い。人ならざる者、例えば獣人には勝てず、ましてや全てを超越する者になど足元にも及ばない。

何故、等しく死ねたのか。

何故、バランスが崩れているのにも関わらずそんな事が出来たのか。

誰だってわかる。

バランスを保てるようにするだけだ。

''彼らが手を結んだように''
















人々の怒号が飛び交う。

彼らは剣を使い、弓を使い、魔術を使い、敵を殺す。

人ならざる者の怒号が飛び交う。

彼らも剣を使い、己の拳を使い、魔術を使い、使える物は全て使い、敵を殺す。

全てを超越する者達が空から地を見下ろし、光を放ち、敵を倒す。

人々の矢は全てを超越する者には届く筈がない。

しかし、全てを超越する者は''次々と地に落ち、倒れていく''。

彼らの矢で倒れていくのではない。

彼らが射ているのはあくまでターゲットを決めたという報告だ。

それを受け、''彼ら''は光輝く矢をターゲットに向かい放っているのだ。

それは機械で創られたかの様で、また、騎士の様な形をしている。機械で創られたかの様な光輝く羽を生やし、右手には''聖剣''と呼ばれるやや大きい剣を持つ者もいれば、''聖弓''と呼ばれる光でできた弓を持ち、放つ者もいる。

彼らは、''聖騎神''と呼ばれる者。

彼らは人と契約を交わし、この種族をかけた戦争に終止符を打つ為に''呼び起こされた神''。

戦争は百年で終わりを告げた。

それは全ての総大将を討つ事により、強制的に幕を閉じた。

この戦争を終わらせたのは、聖騎神のリーダー。

名は、''イシュマダル''

戦争が終わると、彼らは人とまた契約を交わす。

それは彼らが人の神器となり、他の種族が戦争を仕掛けない為の抑止力となること。

人ならざる者と人を超越する者が同盟を結び、戦争を仕掛ければ、人達は終わるであろう。

しかし、それはできない。

それらは言葉の意思疎通ができず、また人との区別がお互い''できない''。

ならば何故、と。

何故、人と聖騎神は契約を交わすことが出来たのか。

聖騎神は言葉を話す事ができたのだ。

それはスキルに近いといってもいい。

また、それぞれに意思を持っていた。

そのおかげで彼らは人と契約を交わす事が可能となった。

しかし、契約は長くはもたなかった。

聖騎神のリーダーのイシュマダルの消滅が確認されたからだ。

クーデターが起こり、彼は仲間であった者に消されてしまったのだ。

イシュマダルが消えてからは人と聖騎神との関係は絶たれ、今やほとんど聖騎神を見ることは無くなってしまって今に至る。

これは遠い昔の戦争の話だ。

















「…と、いうのが…この世界で語り継がれる話、です」

黄ばんだローブを纏う小さな少女、ヘレーナは俺たちに言う。

「なるほどな。気になったんだが、そのイシュマダルが消滅したって事は死んだって事だよな?」

「え、あ…そう、だと、思う…?」

そこまでは知らないといった顔で首を傾げているヘレーナ。さすがに、大昔の話でそんな真相まで知るものはこの世界にはいないだろう。

マリーもこの昔話は知っている様で、マリーにも聞いてはみたが、なにそれ?みたいな顔で、こちらも首を傾げていた。

俺たちはイーサンとケレンの情報が入るまでここ、王国内の観光をしている。

あちらこちらに立っている店に入っては、俺のいた世界には無い面白い物などが沢山あった。

また、食べ物もとても美味い。マリーはもちろん、ヨダレを垂れ流しながら通って見つけた物の全てを食べ漁っていた。

「ぷひぃ〜。もう食べきれないですう」

満足といって太りまくった腹をポコポンと太鼓のように叩くマリー。

「おいおい、あまり人がいっぱいいる所で腹を出すな。ていうか恥ずかしいわ!」

「だって〜、食べ過ぎちゃってお腹が出ちゃってるんです〜」

「自業自得だバカ…」

「はは、は…」

俺とヘレーナはマリーのアホさ加減に呆れ返っていた。

「さて、いい時間になってきたし一旦宿に戻るか」

「…それがいいかも、です。持ち物、整理した、いですし、ね…!」

「ギンタァ、ヘレーナちゃあん。歩くの早すぎるです…」

ヒィヒィと言いながら必死に追いついてくるマリー。

俺たちはこの王国内の入り口の門に以外と近いところに宿を取っている。

ここからだと見える所にあるのですぐに帰れるだろう。

俺たちは宿に向かって一直線に歩く。

が、前を見ると人で大賑わいしている。まるでパレードが何かのようだ。

「ん?ヘレーナ、あれはなんの騒ぎだ?」

「…よく、わからない、です…?」

「マリーがちょっと見てくるのです!!」

さっきまで腹がパンッパンに出ていたはずなのに今となってはいつも通りのスリムな腹になっている。こいつ、何かの消化魔法(仮)的なやつ使ったんじゃないのか?そういえばさっき後ろの方で魔法を使った時に放たれる光が見えた気が…。

人混みの中をスラスラとスムーズに入っていくマリー。

俺たちが少し待っていると、マリーが帰ってくるのではなく、逆に人混みが起こる原因が俺たちの前を通り過ぎる。

前に立ってみんなの声援に応えている五人の人。

その中で一番先頭を歩いている爽やかな黒髪の青年。

「ん?あいつどこの出だ?髪が黒いぞ」

「…あ!あの方、勇者様…!突如現れて、数々、の強いモンスターや魔獣を倒しなが、ら旅をしてらっしゃる、方…!」

なるほど、と。

上等な装備に後の4人は絶世の美女。どーせあの中の1人くらいは時期王女姫がいたりする感じか、と。

そして、あいつ、紛れもなく日本人じゃないか…と!

「…勇者様、曰く、この力は、神様から、授かったモノ、らしい…です」

いやいやいや、と。

どこのアニメの主人公ですか?…と言わざる得ない。

手を振りながら歩く勇者がこちらの視線に気づく。そして、俺やヘレーナに笑顔で手を振ってくる。

俺は手を組んだまま、壁にもたれかかったまま無視するが、ヘレーナはペコペコと頭を振る。

「ねぇ、そこのあなた」

それにしてもマリーのやつ、見に行ってからなかなか帰ってこないな。

「ねぇってば、聞いてる?」

「ヘレーナ。ちょっとマリーを見てきてくれないか?

あいつ、入って行ったはいいが、抜け出せないようになったのかも知れないしな」

「…えぇ。構いません、けど…あの、そちらの、方が…」

「ん?どうした?」

何故かソワソワしながら訴えるヘレーナ。何かあったのだろうか。

「無視してんじゃないわよ!」

ガィィイインと鎧に何かが当たり唸る。

「ん?なんだ?」

「どんだけ硬いのよあんたの鎧!?」

下から声がするので下を見る。そこには金髪のポニーテールで気の強そうな少女が立っていた。

「あぁ、すまない。俺に声をかけていたのか。ならせめてわかるように…」

「してたわよ!?ずっとあなたの目の前でね!!何、あんた私が小さいって言いたいの!?」

「いやいや、そこまで言ってないぞ。で?俺に何か用か?」

「…ふん。まぁいいわ。あなた、その鎧はなに?鎧だけじゃないわその兜や腕、足まで。仕事柄、そういう類のは詳しいけど、あなたの防具見たことないわ」

少女はまじまじと俺の防具を見つめる。

「すまないが教えることはできない。言っても理解はできないだろうからな」

「ふーん、あっそ。じゃあまたね。機会が合ったらまた会いましょ」

俺が教えないと理解したのでそそくさと諦めて勇者の元へ走っていく。

「…なんだったんだ、あいつ。態度でかすぎないか?」

はっ。と俺は思う。そーいえばヘレーナはマリーを探しに行ったのだった。

「仕方ない。俺も探すか」

この大きい図体ならすぐに向こうから見つかるだろうと思い、俺も人混みの中に入った。

だが俺は不思議に思う。もう勇者やその御一行らは去って行ったはずなのに何故こんなにも人混みが出来ているのか。

うおおおおおお!と人達の驚きめいた声が入り口の門辺りから聞こえる。俺はマリーやヘレーナがそこにいるんじゃないかと思い、声の元へ向かう。

そこにはおそらく勇者が討伐したであろう何かが物凄く大きい板に乗せられ縛られた状態でゆっくりと運ばれて来ている。

「これは…」

「…はい。これが、あの、聖騎神です。初めて、みた」

横を向くとそこにはヘレーナとマリーが立っていた。

「おいおい。こんなことして大丈夫なのか?」

「…おそらく、大丈夫、です?聖騎神は絶滅していて、指で、数えれる、程しか、いないそうです。それにしても、すごい…」

ヘレーナは物凄く貴重なものを見たという顔で見ている。もちろんマリーもだし、周りの人達もだ。

聖騎神の死体がどんどんと奥へ運ばれて行く。確かあの方面はギルドがあったはずだ。

1つの騒ぎが終わり、みんな仕事に戻ったり、家に帰ったりしている。俺たちもそれに乗じて宿に戻る。

宿に着き部屋に入ると、そこにはイーサンとケレンがいた。

イーサンは軽く手を振る。

「楽しめたか?観光は」

「あぁ。なかなか面白いものが沢山あったし、食べ物も美味しい。マリーの気に入ったものも多そうだしな」

チラッとマリーを見る。後頭部に手を当てて、えへへと笑う。

「そかそか!そりゃよかったわ!せや。勇者が倒したって運ばれてきたっていう、聖騎神やが…本物か?」

「…本物だった、よ?すごく…綺麗だった」

「ギンタ、マリー。そしてヘレーナ。悪い事は言わない。捕らえられたエルフ達を助けたら、この国から出た方がいい」

「…え?どうし、て?」

「あいつらは分かっていない。聖騎神は地上には現れないだけで、何百騎と生存している」

「え!?じゃあ、まさか…?」

マリーが、目を見開く。

「あぁ。十中八九、この国に来るだろうな。あの勇者…それに周りの奴らや貴族もそうだ。この重大さをわかっていない。奴らが復讐しにきたら、この国は終わりだぞ」

「いつ頃来るんだ?」

「そこまではわからない…だが、早くて2日程度じゃないか?あくまで推測だが」

「なるほどな。というより、何故そこまで聖騎神について知っているんだ?」

「冒険者でちょっと上のくらいの奴らなら誰でも知ってんねん。ギルマスがちゃんと聖騎神についての呼びかけを貴族達に訴えてるんやけど、「我々には勇者がついているから」の一点張りで相手してくれへんねん。そんで勇者も自分の神からもらった力?とやらを試すために、何をしよったか知らんけど偶然おった聖騎神を連れの美女やを引き連れて倒してしもたんや」

「なるほどな…」

「確かに重要な事だが、奴らが来てからだと捕まっているエルフ達を助ける事は不可能だ。だから、一刻も早くエルフ達を助けよう。話をするのはその後だ」

一旦、その話は置いといて本来の話に戻す。

テーブルにこの国の地図を広げて説明してくれるイーサンとケレン。

俺たちは位置を確認し、聖騎神達がいつ来るかわからないので、今夜エルフ達を奪還することを決めた。

「今更だが、本当にいいのか?俺たちに手伝ってもらって」

「あぁ。どうせここまで来た仲だしな。それに、助けてもらった恩をしっかり返さないと俺たちの顔も立たないしな」

実際のところ、十分過ぎるほどの情報を貰ったし、もう恩は返せたのではないかと思った。しかし、それだけでは満足できないようで、最後まで付き添うことを決めたようだ。

今まで椅子に座っていたマリーが急に立ち上がり、みんなに頭を下げる。

「皆さん。本当にありがとうございます」

「おいおいマリーちゃん!何言うてんねん!わいら、もう仲間も同然やろ?」

グッと親指を突き立てて言うケレン。

また「ありがとうございます」と今度は笑顔で答えるマリー。

「あぁ、確かにそうだな。誰も怪我をしないよう迅速に行おう。作戦だがー」













日がすっかり沈んでから何時間も立つ。あたりの家から見えていた光もすっかりなくなり、視界がほとんど無いくらいに暗い。

俺たちはニバルレルンの館に着く。

「…分かってはいたが、広いな」

「まぁたしかに腐っても伯爵だしな。それに、これでも小さい方なんだ」

「す、すごいですね…」

俺とマリーは呆気にとられていたが、今はそれどころでは無いと頭を振る。

地上地図マップ

俺の目に館の3D図形が出てくる。そして、赤色の点が所々の部屋にある。この点は人だな。

見る限り、ニバルレルンの館の地下に点が6つ程ある。あとは、2つだったり1つだったりだから、警備兵やメイドといった感じだろうか。

「なるほどな。おそらく、エルフ達は地下に捕らえられているな…イーサン」

「あぁ。俺とマリー、そしてヘレーナで助けに行くんだな」

俺たちは作戦を再確認する。

「なぁ…ほんまのこと言うてええ?わいもそっち行きたいねんけど」

ボソっとヘレーナの耳元で囁くケレン。

「…だめ!ケレン、は、そっち」

ケレンの頼みをきちんと断るヘレーナ。

「せやなぁ…。決めたもんなぁ…」

「ん?どうした?俺と行くのが不満か?」

「えぇ、不満や。めちゃくちゃ不満や!嫌に決まっとるやろ!''俺とアンタで敵を全滅''やなんて!」

潤目で訴えるケレンだが、決まったものは仕方ない。

「よし、じゃあ作戦通りに行くぞ」

指をゴキゴキと鳴らし、首も鳴らす。

「無視!?なぁ無視!?ていうか、何が作戦やねん!!」

俺はすぅ。と息を吸い、一言告げる。

「行くぞ!」

「「「おー!」」」

イーサンとヘレーナとマリーの気合のこもった声が聞こえる。

「こんなん、ただの''出たとこ勝負''やないかドアホー!」

ただ1人不満を叫びながら俺たちは突撃した。



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