朝
「お早うございます。」
と共に眩い光が瞼の上から目を刺す。
「よく寝られましたか?」
次第に覚醒していき、質問の意味が分かってきた。
「お早うございます。」
と、次々にカーテンを開けていく。
僕はゆっくりと体を起こすと、寝ていたのがベットだと解る。
「お着替えをここに置きます。」
どう見てもメイドだけど…。
「あの…。どちら様でしょう?」
はっとしたメイドさんは、
「紹介が遅れました。私は、騎士様のお世話をするようにと申し付けられた者にに御座います。」
どうやら、メイドさんには違いないみたいだ。
昨日の出来事…、転生は夢じゃ無かったと解った。
カーテンを開け終えると、
「直にお食事をお持ち致しますね。」
と、出て行く。
僕が着替えを終えるタイミングで、先程のメイドさんがワゴンを運んで来た。
「こちらへ。」
と、花が飾られたテーブルへ促された。
椅子に座ると、飾られた花が気になった。観察すると新しい。摘まれたばかりのようだ。これは、アレだと、
「この花、摘まれたばかりですね。」
メイドは驚き、
「左様でござきます。細かい事にお気づきになる。流石、転生騎士様ですね。」
「朝摘みですか。ありがとう御座います。」
「いえいえ。私は騎士様に喜んでいただければ。」
と、お辞儀した。
これも、第一話で主人公がやっていたのを真似たとも言えず、ちょっと困った。
並べられた朝食。美味しそうだ。
そう言えば、まともな朝食なんていつ以来だろう…。夜更かしの生活で、朝はぎりぎりまで寝てそのまま家を出るが当たり前になったのは…。
朝食は、見た目もさる事ながら味も一流だった。口に運ぶ手が止まらない。
あっと言う間に食べ終える。美味しかったからだと言っておく。
「ごちそうさまでした。」
片づけを終えたメイドが、
「後で、迎えの者が来ると思いますので…。」
言い残して部屋を出た。