開く
「感応羊水排出します。」
作業していた技術者の一人が周囲に知らせ、魔動人に接続したホースのバルブを開く。
『ゴボッ』という音に続き、タンクへ放出される感応羊水。
最後は『ゴボゴボ』と鳴くホースはお決まりの法則。
「開きます!」
開閉のレバーを引くが反応しない。
「やはり、駄目だ。魔動人を使う。」
待機していたのか直ぐにやって来る。
指示された場所に手をかける魔動人。
「ゆっくりとだ。」
軋む音と共に開かれるハッチ。
「もう、一つ。」
内部ハッチも同じ様に開かれると、梯子が掛けられる。
王子と技術責任者が登りる。中を覗き込むようにしながら王子が声をかける。
「シオン殿…。」
返事は無い。
「シートを出せ。」
「はい。」
技術責任者がレバーを操作する。
シートは出て来ない。
「ロープを使います。」
と、技術責任者が中へ潜り込みシートの後ろに引っ掛けた。
「引け!」
垂らした反対側を技術者達が一斉に引く。
「こ、これは!」
王子が驚く。
「な、なんと」
技術責任者が驚く。
シートに座っていたのは、人の形をした樹の根。正確には、樹の根に見える転生者だったもの。
「これは、どういう事だ?」
疑問を技術責任者にぶつける。
「調査してみないと詳しくことは判りませんが…。現在の状況からの推測でよろしければ…。」
「構わん。」
「新型魔動人の魔力が消失している事から考えますに。おそらくは疑似転生者の魔力の全てがアノ一撃で撃ち出されたのかと…。」
「な、なんと…。」
もう一度、転生者だったものを見る王子。
「では、またやり直しか?」
「さようで…。」
「幾らかかると思っているのだ!」
「では、止めますか?」
一瞬考え、
「今まで、幾ら注ぎ込んたと思っているのだ!」
「ですな…。」
技術責任者の返答はどこか他人事の様に聞こえる。
その声で少し冷静な判断を取り戻したのか、
「あそこまでの大砲の威力は要らんぞ…。」
「試験発射ですから…。」
「試験と言えば許されるとでも。」
「許していただかないと試験ができませぬ。」
「くっ。痛いところを…。」
「お褒めいただきありがとう御座いまする。」
「褒めておらぬ!」
それは、いつものやり取りなのか二人して大声で笑い始めた。




