報告
どこかで呼ぶ声がする。微睡みの中からから自分の意識を引き上げる声だ。
「…。」
まただ。
「…子。」
更に、
「王子。」
今度は、はっきりと。
「何だ。」
覚醒しようやく返事となった。
「お休みのところ失礼します。技術責任者が調査報告をしたいと言うことなので機体の所へ。」
いつの間にか寝ていた様だ。
「判った。」
テントを出ると辺りを夜が支配していた。陣のあちらこちらに篝火が焚かれ明るくしていた。
(こんなに寝ていたのか…。)
正直驚いた。
(起こされなれば、まだ寝ていただろう。)
陣の中で一番明るい場所に新型魔動人が擱座していた。篝火でさえも金色と判る美しさは変わらない。
近付いた王子に気が付いた技術責任者は、
「作業はそのまま進めろ。」
と、技術者達に指示を出し、
「王子。お休みのところ申し訳ない。」
一礼。
「構わん。」
とだけ。
「では、調査報告を。」
「うむ。」
「先ずは、キャノピーの開閉が出来なかった事についてですが…。」
王子の視線がコックピット付近に注がれた。
「機体が全身歪んでおりました。」
「はぁ?」
王子らしくない、素っ頓狂な声がするが出た。
「う、うん。」
咳払いで誤魔化す。
「あの大砲の反動で、機体の骨格が歪み装甲が歪み、キャノピーに干渉していました。」
「なるほど…。」
「更に、歪みは回路をショートさせ機能停止へと…。」
「は、は…。」
もう笑うしかない返事。
「それと…。」
「まだ、あるのか!?」
今度は、怒り。
「はあ…。」
すまなそうに、
「機体の魔力が無くなっておりました。」
「魔力が無くなっているだと!?」
「はい…。」
「では…。」
みなまで言うまでもなく悟った王子。
「直ぐに、後部ハッチを開けろ。」
怒鳴る様に言った。
「只今、作業中でして…。一番歪みが酷く…。」
「そ、そうか…。」
冷静さを取りも出していた。




