秘密
そこは、闘技場の外周に設けられた待機場所の様だった。
テーブルに着くと直ぐにメイドがワゴンでお茶を運んで来た。
「後はやる。下がってよいぞ。」
人払いした。
お茶を一口し、
「シオン殿。新型魔動人はどうでしたかな?」
「ええ。素晴らしい機体です。初めて乗って動かせるなんて。」
先程の興奮が蘇る。
「正直、驚きました。まさか、最初であそこまで動かせるとは…。流石、転生者…。いえ、シオン殿ですな。」
恥ずかしくくすずったい感じに襲われる。
「いえいえ、この国の技術力の高さでしょう。」
「そう言っていだだけると、携わった者が喜びます。」
笑顔で言った。
「お褒め頂いた、あの新型魔動人なのですが…。実は…。」
「な、何かあるのですか?」
まさか、パイロットを下ろされる!? 心臓がバクバクし始めた。
「あの機体は、更に効率良くシオン殿の魔力を伝達する仕掛けがあるのです。」
ホッとして、
「そんな、仕掛けが…。」
「はい…。」
王子の言い方に引っかかかり
「何か問題でも?」
「問題と言う程では、無いのですが…。」
「では何が?」
「実働する場合には、コックピットを感応羊水で満たすのです。」
その言葉で直に思い当たった。あの、ロボットのコックピットと同じだと。
「そんな事ですか。僕は全く気になりませんが。」
「いえ、操縦と言うよりも…、それ以外が問題でして…。」
言っている意味が理解出来なかった。
「一度、感応羊水で満たすと、おいそれと外に出られなくなるのです。」
「あっ!」
そうか、あのコックピット形状だと簡単に出られない。やっと理解できた。
「そ、そういうことですか…。」
「そうなのですよ…。」
ちょっと申し訳なそうな語尾。
「それに効率良くと言うことは、シオン殿に負担がかかるやもしれないとの事なのです。ですから、戦闘直前までは、極力何もしない…。」
「戦闘に集中しろと。」
「はい。そのために、あの新型魔動人は補助席…、複座式になっています。」
複座式!? コックピットにはシートは二つは無理そうだったけど…。
「もう一つのコックピットは、機体の腹側にあります。」
「離れているんですか、道理で判らなかったわけですね。」
「そういう事です。」
間を置き、
「その補助役を私が行います。」
王子、自らが僕の補佐をしてくれるのか!
「王子がですか…。」
「ご不満でしょうが、よろしくお願いいたします。」
「いえいえ、王子と一緒だなんて光栄です。」
「ありがとう御座います。」
王子から差し出された手を固く握った。




